栗駒山と違い、鳥海山の紅葉が話題になることはあまり多くない。
何故だろうか。
私がざっと見た範囲では、鳥海山山頂部はハイマツや笹、ミヤマハンノキなどに覆われている。
これらの植物はいずれも紅葉しない(ミヤマハンノキの葉は紅葉する前に風に飛ばされてしまう)。
これでは紅葉しろと言うのも無理な話である。
そのかわり、西側中腹にある鳥海湖付近や千畳ヶ原では素晴らしい草紅葉が見られる(例えばこちら)。
一方、北側の祓川斜面は落葉広葉樹が比較的多いので、
例年ならば9月下旬~10月上旬になるとそこそこ紅葉するものだが、今年はどうだろう。
9月29日に行ってみたところ、まだほとんど紅葉してなかった(記録はこちら)。
栗駒山など奥羽山系の高山では例年よりも一週間以上も早く紅葉しているというのに今年の鳥海山は遅れている。
10月10日ならばそろそろ好いかなと思い、また出かけてみた。
6時ちょっと過ぎ、標高1200mの祓川駐車場に到着したら、大勢のカメラマンが三脚を立てていた。
こんなに朝早くから紅葉の撮影に来るとは凄いなと思ったら、皆さんのカメラは一様に東の方を向いていた。
ここはカメラマン諸氏にとっては日の出の撮影スポットだったのだ。
というわけで、 (´π`;)私も釣られて・・・。
祓川駐車場から見た日の出
カメラマン諸氏からは怒られるかもしれないが、日の出や日没シーンの写真にはあまり興味がない。
露出補正しながら、10数枚撮ったところで、何だかあほらしくなって止めた。
肉眼で見た印象に最も近いかなと感じた一枚で放免頂きたい。
ところで今日の鳥海山は・・・
と南側を見ると、山頂部はスッポリと雲に包まれていた。
祓川・竜ヶ原湿原から見た鳥海山
それでも中腹の紅葉を見るには支障ないと判断し、登ってみることにした。
竜ヶ原湿原を通り過ぎ、これから登るタッチラ坂を祓川神社跡地から眺めると、まあまあの色付きだった。
坂を少し登って左側の斜面を見下ろすと、こちらもほどほどに赤味が出ていた。
その後は、うす暗い樹林帯の中を歩くので、見通しは好くない。
以前は紅葉のトンネルをくぐって登ったように記憶しているが、今回は紅葉している実感があまり無かった。
曇って光量が足りないせいだろうか。いずれにしろ、色がめそっとしている。
紅葉トンネル
オオカメノキの紅葉 タケシマランの実
タッチラ坂の道端には凄い形相のダケカンバの老木が幾つか有った。
夏場は木の葉に覆われ、見えにくいのだが、秋も深まって葉が落ちだすと目立つようになる。
ダケカンバの老木
向かいに生えていたナナカマド
林の切れ目から遠くの斜面の紅葉がちらりと見えた。
いろんな色が混じって油絵を見ているようだった。
遠くの斜面の紅葉
六合目・賽の河原が近づくと、鳥海山(七高山)が見えるはずだが、今日は雲をかぶっていた。
この先、高い樹木は少なくなる。
賽の河原から、鳥海山(七高山)方面を覗く。
ダケカンバの樹形がおみごと。
こちらは下山時に撮影したもの。朝の登山時は逆光になり、よく見えない。
下山時、賽の河原の雪渓跡を俯瞰。
こちらも朝の登山時は陰になりよく見えない。
モミジカラマツの残花 御田の池塘
御田の眺めは9月29日とほとんど変化なし。
御田のこの付近は紅葉が奇麗だった。
康ケルンを過ぎ、七つ釜、八合目まで上がると、樹木の紅葉はいよいよ終わり。
康ケルン付近から下側の紅葉を俯瞰
八合目付近、最後の紅葉。
ナナカマドとミヤマセンキュウ ネバリノギランの草紅葉
チョウカイアザミの残り花 康新道の台
今回は祓川ルートの紅葉を見ることが目的なので、山頂には行かない。
ここで引き返してもいいのだが、
折角、八合目まで来たのだから、少し先、康新道のカルデラ断崖まで行くことにした。
カルデラの中の紅葉を覗き込みながら、それをおかずにして昼飯を食べようと思う。
鳥海山本体は雲をかぶったまま。
康新道に紅葉は無かった。
今日の終着点、康新道のカルデラ断崖に到着した。
カルデラ断崖から稲倉岳を望む。
前回(9月29日)と違い、カルデラ対岸の稲倉岳はよく見えるものの、
鳥海山本体にかかる雲の影響でカルデラ内部には暗い影が差している。
そのため期待していたカルデラ内部の紅葉はあまりよく見えなかった。
それよりも今回は風が凄く強い。断崖のへりに立つと吹き飛ばされそうだった。
肝試し。断崖から下を覗く。以前、見たものに較べると赤味が足りないように感じた。
北側の断崖
よって断崖上での昼飯は諦めた。来た道を少し戻り、風の弱い草むらに陣取り、握り飯とした。
祓川まで下山したら鳥海山から雲が取れて来た。
10月18日は寒かった。予想通り、鳥海山には初冠雪。例年よりは8日遅いとのこと。
翌19日の朝は秋田市の自宅付近からも雪姿の鳥海山が見えた。
いきなり大量の雪が中腹、1000mくらいの高さまで降っていた。
紅葉はかなりのダメージを受けたことだろう。
あまり奇麗とは言えなかったが、一週間前に見ておいてよかったと思う。
以上。
シーズン到来の使者が舞い降りてきた感じがします。
深山を自由に歩く登山者達へのご褒美を持って・・
私にはケーブルに乗らない限り見る事が出来ない景色です。
写真にすると、奇麗なものもありますが、肉眼で見る限り、
今年の北東北の紅葉は総じて色が好くありません。
奥羽山系の高山に関しては、9月下旬の天候不順(気温が高く、雨が多かった)、
鳥海山など日本海側高山は晴天には恵まれましたが、気温が高く推移したため、
いずれも色付きはイマイチのまま終わってしまいました(10月18日以降、大量の降雪に見舞われ、そのまま終わっております)。
今年は高山の紅葉は残念でした。これからの中腹や低山の紅葉に期待するばかりです。