日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

食料安全保障は米食から

2023年05月20日 15時20分48秒 | 日々雑感
 現在、日本人の朝食にはご飯よりパンが多いだろう。これは、戦後アメリカの余剰小麦を支援として受ける形で再開された日本の学校給食が、”パン食”を前提として1954年に成立したことから始まり、現在70歳前後までの膨大な数の日本人が小さい時からパン食になじむ習慣が出来上がったことが背景にある。

 また1950年代後半から1960年代には、政府自らが「コメと野菜では日本人の身体は強くならない」と、パンや牛乳等の動物性タンパク質などを食する食の洋風化を奨励したことも日本人がコメ離れを加速させた。そのため2011年には、パン代よりもコメ代が多くなったとの家計調査結果もあるそうだ。

 また、日本人の生活環境の変化、すなわち“食事作りの簡素化”と、家族の“バラバラ食”の進行とも深く関わっているようだ。戦前は家父長中心に家族は動いていたが、戦後、何事も家族それぞれの好みや都合を尊重し、食事も家族がバラバラな時間に違うものを食べる傾向が強くなった。

 朝にパンを食べるメリットは調理不要ですぐに食べられることである。パンは焼かずに、もしくは軽く焼くだけで食べられる上、サンドウィッチや菓子パンであればおかずの準備も少なく、調理時間や手間を必要としない。特に時間のない朝食にパンが選ばれ、コメを食べる食事が減るのは自然の流れだ。

 この結果、日本人のコメの消費量は減り、小麦の消費量が増える結果となり、小麦は海外からの輸入が主である為、日本人の食料自給率は38%となってしまった。ロシアのウクライナ侵攻を切っ掛けに日本は輸入先の多様化だけでは対応が難しくなっており、食料の安全保障を確保するため自国生産の拡大に向け抜本改革が求められ現在の状況である。

 小麦の自国生産の拡大が手っ取り早い手段であるが、国土が狭い日本では大規模生産が出来ず外国産に太刀打ちできない。しかし、日本人のコメの消費量が減ったと言っても、少しでも消費量を増やそうと関係者は努力を続けている。その一つが米のブランド化である。米の品種改良は、食味がよいことや、寒さ・高温に強く収穫量が高いこと等を目的になされ、日本各地にブランド米が発表されている。

 また、それとは別にコメの食べ方の工夫もなされている。その一つが米粉パンである。米粉パンは小麦の高騰があった時代に注目されたが、製粉にコストがかかるため小麦粉なみの安価にはならなかったり、またパン作りは小麦粉のように簡単でなく、一般家庭に思うように普及しなかった。

 食料安全保障が重要視される昨今、日本人の米食回帰が必要かも知れない。この為にはコメをパンと同様に簡単に食べれるようにする工夫、またそれに適した米の品種改良が必要となろう。最近地方の活性化の必要性が叫ばれ、農業に目を向ける若者が出てきたことは、将来に対する僅かな希望である。
2023.05.20(犬賀 大好ー916)


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