日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

人手不足と海外実習制度

2018年04月25日 09時01分56秒 | 日々雑感
 茨城労働局によると、2017年9月現在、県内で働く外国人労働者は3万777人で、このうち海外技能実習生が36%を占めるそうだ。実習生以外は、留学生のアルバイトや不法就労者と思われるが、外国人労働者は本県農業を下支えする戦力として今や欠かせない存在となっているそうだ。

 茨城県はメロン栽培が盛んであり、収穫時には土日・祭日も含め連日収穫・出荷を行う必要があり、1997年頃より、JAが相次いで外国人実習生の受入れを開始したそうだ。

 しかし、実習生には国の制度上年間を通して給与を支払う必要があるため、季節もののメロン栽培はこの10年間で半減し、年間を通して収穫可能な小松菜の栽培が急増したそうだ。今や外国人労働者が農家の生産形態まで変えている。

 茨木県の日本人若者は都会に就職し、残された農業は外国人が担っている構図である。昔に比べれば楽になったと思われる農業もまだまだ土や汗にまみれるイメージが強く若者に敬遠さるのであろう。この傾向は茨木県ばかりでなく東京近県にまで広がっているようだ。

 また、農業ばかりでなく、コンビニ業界でも人手不足は広がっている。最近、都市部のコンビニに外国人店員がどんどん増えているが、彼らの多くは留学生という資格で日本にやってきて、勉学の合間に働いている建前になっているが、本末転倒の場合が多く、本来の趣旨から逸脱している行為となっている。

 これを正当化するためか、コンビニ各社が加盟する業界団体も、外国人技能実習制度の新たな職種に、コンビニの運営業務を加えるよう国に申請している。大手各社は海外展開を進めており、日本で経験を積んだ実習生に母国での店舗展開を担ってもらう狙いとの旨く考えた理屈である。

 厚労省によれば、昨年10月時点の外国人労働者は128万人、このうち2割の26万人が技能実習生だそうだ。アベノミクスの効果であろうか、現在日本は空前の人手不足状態のようである。2年前に発生した熊本地震の復興が遅れているが、一因に労働者不足があるとのことだ。

 政府は、人手不足を補うため、昨年末には実習期間を最長3年から5年に延長すると共に対象職種に介護職を加えた。更に、今年2月の経済財政諮問会議で安倍首相は移民政策をとる考えは無いと言いながらも、人手不足対策を早急に検討する必要があると指示したそうだ。

 そこで政府は、技能実習制度を更に推し進めようと、外国人労働者向けの新たな残留資格を設ける方針で検討に入ったそうだ。最長5年の技能実習を終えた外国人が、更に最長で5年就労できるようにするそうだ。コンビニ業が新たに追加されたかは未定である。

 技能実習制度は日本の優れた技術を海外に伝えようとする素晴らしい制度の筈であるが、現実的には安価な労働力として悪用される場合が多いとの評判だ。賃金不払いや長時間労働などの人権侵害を監視するため、外国人技能実習機構が昨年1月に設けられた。

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護する目的であり、実習現場に立ち入り検査し、不正行為を取り締まる。違反通知を受けた機関は不正行為の終了時点から最大で5年間、実習生の受け入れが禁止されるとのことだ。

 外国人技能実習機構をネットで検索すると、法務大臣及び厚生労働大臣の監督の下、立派な組織が出来上がっているが、4月現在機能しているか不明である。

 政府は、法務省の入国管理局にも受け入れ先の監督機能を担わせる方向だそうだが、先の外国人技能実習機構との関係はどうなるのであろうか。この機構の動きが鈍いため、競争相手を作りはっぱをかけたと見れなくも無いが、単に役人の天下り先の確保のために組織を増やしたと見れなくもない。2018.04.25(犬賀 大好-436)