日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

トランプ大統領の人気は副大統領に支えられている

2018年02月10日 09時25分58秒 | 日々雑感
 トランプ大統領は、これまで政権存続の危機が何度か言われてきたが、無事一年を乗り切り、1月31日、恒例の一般教書演説を行った。内政・外交の基本方針、好調な経済を前面に押し出し、税制改革などの実績を強調した。 

 2月5日に、米株式相場は暴落したと言っても全般的には好調の米国経済である。この背景は、トランプ政権の今後10年間で110兆円規模インフラ投資政策と、レーガン政権以来の30年ぶりの税制改革があるそうだ。後者においては、法人税35%から21%に引下げ、所得税率を幅広く引き下げ、今後10年間で165兆円規模の減税政策になるとのことだ。

 トランプ大統領には将来に対する洞察力が欠如していることは周知のことであるが、それでもなお、米国内における大統領支持率は40%に近いそうで、この根強い人気の原因はよく理解できない。一般教書演説で実績を誇っても、インフラ投資に対する実行力の、法人税減税の先にある赤字財政の懸念があり、支持率の回復があったとしても僅かなものであろう。

 米国のある調査機関によれば、驚くことに若い有権者であればあるほど、トランプ政権の支持率が高まっているとのことだ。18歳から29歳に至っては、トランプ大統領は過去最高の大統領であり、極めて質の高い仕事をしている、と答えた人が58%にも上るそうだ。この調査が全米であるか、ある地方かは不明であるが、トランプ政権を支持する若者たちが多く住む中西部や中南部は、とにかく仕事が無く、社会に対する不満が鬱積しているのだろう。しかし、全米の雇用統計では昨年12月の失業率は4.1%で近年では最も少なく、経済の好調さを示しており、米国全体ではそれほど高い人気に繋がるとは思われない。

 また、トランプ大統領の地球温暖化に反対するパリ協定からの離脱は暴挙と思うが必ずしも一般的ではないようだ。ちなみにアメリカの気象学専門家の中には、地球温暖化へ懐疑的な見方をする人は少なくなく、最近の寒さを体感すれば、地球は温暖化ではなく寒冷化にあると納得しそうになる。

 また現在、トランプ氏はロシア疑惑で窮地に立たされているとの報道が専らであるが、本物のロシア疑惑は、米国ウラン資源の20%の権益を持つカナダ企業をロシアに売却する件で元ヒラリー・クリントン氏が関わっていた方であると信じている人も大勢いるとのことだ。

 トランプ大統領の支持者は減っているのは事実であっても、熱心な支持者が根強く存在しているのも事実であろうが、40%近い支持率はどうしても納得できない。

 さて、韓国で開催される平昌オリンピックに合わせ米国の副大統領マイク・ペンス氏が先日来日した。氏はトランプ氏の影に隠れてほとんど話題にならないが、トランプ氏の人気はペンス副大統領の宗教的な背景の影響が大いにあるのではないかと確信するようになった。氏は共和党内でも保守派として知られ、キリスト教右派であり、エバンジェリカル(福音派)を自称しているそうだ。

 米国は伝統的にキリスト教が圧倒的多数であるが、宗派別で見ると、伝統的な主流派プロテスタントの信者の数は全体の18%を占めるに過ぎず、これに対してエバンジェリカルと呼ばれる原理主義的なプロテスタントの信者の数が26.3%を占め、主流派プロテスタントを圧倒するまでになっているそうだ。

 筆者はキリスト教の考え方、増して宗派ごとの考え方の差異はよく知らないが、福音派で思い起こすのは、進化論を信じていないと言うことである。従って、同派に属するペンス氏が中絶の反対、同性婚に反対するのは当然のことと思われる。技術面では世界の最先端を進む米国において、進化論を否定する福音派が急増しているとは、どういうことか考え込んでしまう。

 副大統領の保守的な宗教観はキリスト教保守派などの支持固めにもつながる筈である。福音派の信者数は国民の25%~30%とのことであるので、トランプ大統領の支持率40%弱の大半は福音派が占めているのではないかと推測する。宗教的な信仰心は強い。トランプ大統領が多少へまをしたところで、ペンス副大統領がいる限り、支持率の更なる低下は無いと思う。2018.02.10(犬賀 大好-415)

生物北限の北上

2018年02月07日 09時46分10秒 | 日々雑感
 地球温暖化は世界的に認知されつつあるが、動物や植物の世界では既にその影響が顕在化している。すなわち動物や植物の北限がどんどん北の方向に広がっているのだ。北限とは北方向の限界との意味であり、限界が広がることは印象的には良さそうであるが、そうも言っておられない。

 イノシシは、30センチ以上の積雪が70日以上続く地域では越冬できないと言われ、かっては宮城県が北限とされてきたが、山形、秋田でも2010年頃より農作物が食い荒らされる被害が出始めたとのことだ。温暖化の影響で積雪が減り越冬し易くなった影響らしい。

 これは動物の世界における温暖化の一例であるが、植物の世界でも同様である。これまで、筑波山麓や武蔵村山市では古くからみかん栽培が行われており北限と言われていた。また、栃木県那須烏山市小木須地区では1980年代ぐらいから観光農園が出現し、北限のみかん産地として宣伝しているそうだ。

 山形県では2010年3月に「地球温暖化に対応した農林水産研究開発ビジョン」を策定し、その中で、果樹王国の山形県がかんきつ類の栽培に挑んでいる。かんきつ類は寒冷地での栽培に向かないとされてきたが、地球温暖化によって県内にも適地が生まれる可能性があり、それを見越して比較的温暖な庄内地方で、かんきつ類の北限栽培に取り組み成果をあげつつあるのだ。

 温州ミカンの栽培適温は15~18度といわれる。昨年の酒田の平均気温は過去十年間で最も高い13.5度と、半世紀前の1965年より2度も上がっているそうだ。これでミカン栽培に適するようになったと喜んでばかりではおられない。一方では県の特産品のサクランボの変形や日焼けしたリンゴ、白く濁ったコメなどに温暖化の影響とみられる深刻な被害が出始めているからだ。

 農研機構果樹研究所は長野県果樹試験場および青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、過去30~40年にわたるリンゴの品質データを分析し、温暖化に伴ってリンゴの食味が変化していることを2013年に明らかにした。酸含量は徐々に減る一方、糖含量はやや増加しており、その結果、リンゴが甘く感じられるようになってきているそうだ。これまで、温暖化が原因で作物の収量や収穫日が変化していることは知られていたが、青果物の味が変化している知見が示されたのは世界で初めてのことだそうだ。

 このような変化が起きた原因は、春先の温度上昇で発芽や開花が早期化し、果実の生育期間が長くなる傾向にあることと、果実の成熟期の温度が高くなり酸含量の減少が進み易くなることにあると原因分析されている。

 推定では、平均気温18度以上の高温域が、2040年代には関東・北陸の平野部全域にまで迫るらしい。近い将来、温州ミカンの主産地は九州や四国が地図から消え、山形県あたりになるかも知れない。一方サクランボやリンゴの主産地は何処に移っているだろうか。

 北限産地は年々北上しているようだが、これは気候条件の変化ばかりでなく、栽培技術の進歩と品種改良によることも大きいだろう。日本人の創意工夫に対する努力はすごい。気候の変化を指を咥えて茫然としている人ばかりではない。先の山形県では8年も前から温暖化を予知して対策を検討しているのもその一つである。九州や四国のみかん農家も高温に適した柑橘類の品種改良やパイナップル、バナナ等のトロピカル果樹栽培を考えていることだろう。2018.02.07(犬賀 大好-414)

地球温暖化対策は簡単には進まない

2018年02月03日 09時46分13秒 | 日々雑感
 トランプ米政権は昨年11月、”地球温暖化は進行しており、人類の活動以外の原因は見当たらない” と結論付ける全米気候評価報告書を公表したそうだ。これまでのトランプ政権は温暖化について ”人類の活動との関連は議論の余地がある” として地球温暖化対策には消極的であり、トランプ大統領もいよいよ政策転換と思われたが、本件も大統領の気まぐれの表れのようである。

 トランプ政権はこれまで、オバマ前政権が導入した温室効果ガス排出規制の撤廃を決めたほか、温暖化対策の国際枠組みパリ協定からの離脱も表明し、環境保護局(EPA)や内務省のホームページから、温暖化に関する情報を削除するなど地球温暖化に逆行する措置を取っている。

 オバマ前政権は2014年に、地球温暖化防止対策のため、既存の火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)を2030年までに全米で2005年比32%削減するとし、CO2を回収して貯留する設備がなければ、石炭火力発電は存続できないことを決めた。

 これに対し、トランプ現政権は昨年暮れ、火力発電所からの温室効果ガス排出量を制限する規制を撤廃すると正式発表した。これは、前回の大統領選挙で米国東部、炭鉱地帯の票の取り込みの為、石炭生産増を訴え、石炭復活を公約の1つにしたからだ。

 トランプ氏は、メキシコ国境に壁を建設することやオバマケアの撤廃も公約であったが、議会の承認が得られず頓挫しており、この規制撤廃は単に公約の実行であり、実績作りであろう。

 しかし、米国ではシェール革命により天然ガス利用の火力発電が低コスト化されたため、石炭火力発電の廃止が相次ぎ、シェール革命直前の2007 年に600基以上あった石炭火力は今や400基を超える程度まで減少したそうだ。トランプ大統領のこの規制撤廃でも、石炭火力のかっての繁栄は望めず、石炭労働者の復権は余り期待できないようである。

 しかし、2016年全米で天然ガスや石炭利用の火力発電は全体の65%もあり、その内訳はおおよそ半々である。コスト低減された天然ガス利用発電の増加と規制撤廃による石炭利用発電の増加のせめぎ合いとなろうが、当面劇的な変化がないだろう。従って米国における温室効果ガスの大幅な低減は期待できない。

 しかし、大統領の方針に拘わらず米国内で多くの自治体や企業にパリ協定の履行を目指す動きがあることは、せめてもの慰めである。

 さて、温室効果ガスの内CO2の世界の総排出量は2014年、330億トンであり、中国28.3%、米国15.8%,インド6.2%、ロシア4.8%、日本、3.6%だそうだ。

 世界トップの排出国である中国は、パリ協定は世界の発展の方向と一致していると、協定に背を向ける米政権をけん制し、世界を引っ張る大国となったことを誇示している。しかし中国にとって石炭は最重要エネルギーである一方、大都市における大気汚染の主因となっている。

 世界的な大気汚染対策の流れに乗って、習近平指導部は脱石炭の姿勢をアピールしているが、中国国民に温暖化対策の必要性が浸透しているとは思えず、その効果は疑問視されている。折りしも、中国の五つ星ホテルにおいて、トイレと食器の洗浄ブラシを共用していたとの報道もあり、中国国民の公徳心に不安を感ずる昨今である。

 現在なお重要エネルギーである石炭燃料に従事する人々もさぞかし多いであろう。もし、習主席号令の下、中国国内の石炭消費量が減少すれば、当然石炭の輸出に積極的とならざるを得ないであろう。石炭はCO2を沢山出すと言っても、簡単に燃やせる安価な燃料であり、世界を見渡せば必要とする人はいくらでもいる。

 世界で排出量断トツ1位の中国に、石炭利用の規制を強めてもらうのは当然であるが、世界中の人々にまで規制をお願いするのは困難であろう。この意味で温暖効果ガス削減の取り組みは極めて見通しが悪いと言わざるを得ない。2018.02.03(犬賀 大好-413)