トランプ大統領は、これまで政権存続の危機が何度か言われてきたが、無事一年を乗り切り、1月31日、恒例の一般教書演説を行った。内政・外交の基本方針、好調な経済を前面に押し出し、税制改革などの実績を強調した。
2月5日に、米株式相場は暴落したと言っても全般的には好調の米国経済である。この背景は、トランプ政権の今後10年間で110兆円規模インフラ投資政策と、レーガン政権以来の30年ぶりの税制改革があるそうだ。後者においては、法人税35%から21%に引下げ、所得税率を幅広く引き下げ、今後10年間で165兆円規模の減税政策になるとのことだ。
トランプ大統領には将来に対する洞察力が欠如していることは周知のことであるが、それでもなお、米国内における大統領支持率は40%に近いそうで、この根強い人気の原因はよく理解できない。一般教書演説で実績を誇っても、インフラ投資に対する実行力の、法人税減税の先にある赤字財政の懸念があり、支持率の回復があったとしても僅かなものであろう。
米国のある調査機関によれば、驚くことに若い有権者であればあるほど、トランプ政権の支持率が高まっているとのことだ。18歳から29歳に至っては、トランプ大統領は過去最高の大統領であり、極めて質の高い仕事をしている、と答えた人が58%にも上るそうだ。この調査が全米であるか、ある地方かは不明であるが、トランプ政権を支持する若者たちが多く住む中西部や中南部は、とにかく仕事が無く、社会に対する不満が鬱積しているのだろう。しかし、全米の雇用統計では昨年12月の失業率は4.1%で近年では最も少なく、経済の好調さを示しており、米国全体ではそれほど高い人気に繋がるとは思われない。
また、トランプ大統領の地球温暖化に反対するパリ協定からの離脱は暴挙と思うが必ずしも一般的ではないようだ。ちなみにアメリカの気象学専門家の中には、地球温暖化へ懐疑的な見方をする人は少なくなく、最近の寒さを体感すれば、地球は温暖化ではなく寒冷化にあると納得しそうになる。
また現在、トランプ氏はロシア疑惑で窮地に立たされているとの報道が専らであるが、本物のロシア疑惑は、米国ウラン資源の20%の権益を持つカナダ企業をロシアに売却する件で元ヒラリー・クリントン氏が関わっていた方であると信じている人も大勢いるとのことだ。
トランプ大統領の支持者は減っているのは事実であっても、熱心な支持者が根強く存在しているのも事実であろうが、40%近い支持率はどうしても納得できない。
さて、韓国で開催される平昌オリンピックに合わせ米国の副大統領マイク・ペンス氏が先日来日した。氏はトランプ氏の影に隠れてほとんど話題にならないが、トランプ氏の人気はペンス副大統領の宗教的な背景の影響が大いにあるのではないかと確信するようになった。氏は共和党内でも保守派として知られ、キリスト教右派であり、エバンジェリカル(福音派)を自称しているそうだ。
米国は伝統的にキリスト教が圧倒的多数であるが、宗派別で見ると、伝統的な主流派プロテスタントの信者の数は全体の18%を占めるに過ぎず、これに対してエバンジェリカルと呼ばれる原理主義的なプロテスタントの信者の数が26.3%を占め、主流派プロテスタントを圧倒するまでになっているそうだ。
筆者はキリスト教の考え方、増して宗派ごとの考え方の差異はよく知らないが、福音派で思い起こすのは、進化論を信じていないと言うことである。従って、同派に属するペンス氏が中絶の反対、同性婚に反対するのは当然のことと思われる。技術面では世界の最先端を進む米国において、進化論を否定する福音派が急増しているとは、どういうことか考え込んでしまう。
副大統領の保守的な宗教観はキリスト教保守派などの支持固めにもつながる筈である。福音派の信者数は国民の25%~30%とのことであるので、トランプ大統領の支持率40%弱の大半は福音派が占めているのではないかと推測する。宗教的な信仰心は強い。トランプ大統領が多少へまをしたところで、ペンス副大統領がいる限り、支持率の更なる低下は無いと思う。2018.02.10(犬賀 大好-415)
2月5日に、米株式相場は暴落したと言っても全般的には好調の米国経済である。この背景は、トランプ政権の今後10年間で110兆円規模インフラ投資政策と、レーガン政権以来の30年ぶりの税制改革があるそうだ。後者においては、法人税35%から21%に引下げ、所得税率を幅広く引き下げ、今後10年間で165兆円規模の減税政策になるとのことだ。
トランプ大統領には将来に対する洞察力が欠如していることは周知のことであるが、それでもなお、米国内における大統領支持率は40%に近いそうで、この根強い人気の原因はよく理解できない。一般教書演説で実績を誇っても、インフラ投資に対する実行力の、法人税減税の先にある赤字財政の懸念があり、支持率の回復があったとしても僅かなものであろう。
米国のある調査機関によれば、驚くことに若い有権者であればあるほど、トランプ政権の支持率が高まっているとのことだ。18歳から29歳に至っては、トランプ大統領は過去最高の大統領であり、極めて質の高い仕事をしている、と答えた人が58%にも上るそうだ。この調査が全米であるか、ある地方かは不明であるが、トランプ政権を支持する若者たちが多く住む中西部や中南部は、とにかく仕事が無く、社会に対する不満が鬱積しているのだろう。しかし、全米の雇用統計では昨年12月の失業率は4.1%で近年では最も少なく、経済の好調さを示しており、米国全体ではそれほど高い人気に繋がるとは思われない。
また、トランプ大統領の地球温暖化に反対するパリ協定からの離脱は暴挙と思うが必ずしも一般的ではないようだ。ちなみにアメリカの気象学専門家の中には、地球温暖化へ懐疑的な見方をする人は少なくなく、最近の寒さを体感すれば、地球は温暖化ではなく寒冷化にあると納得しそうになる。
また現在、トランプ氏はロシア疑惑で窮地に立たされているとの報道が専らであるが、本物のロシア疑惑は、米国ウラン資源の20%の権益を持つカナダ企業をロシアに売却する件で元ヒラリー・クリントン氏が関わっていた方であると信じている人も大勢いるとのことだ。
トランプ大統領の支持者は減っているのは事実であっても、熱心な支持者が根強く存在しているのも事実であろうが、40%近い支持率はどうしても納得できない。
さて、韓国で開催される平昌オリンピックに合わせ米国の副大統領マイク・ペンス氏が先日来日した。氏はトランプ氏の影に隠れてほとんど話題にならないが、トランプ氏の人気はペンス副大統領の宗教的な背景の影響が大いにあるのではないかと確信するようになった。氏は共和党内でも保守派として知られ、キリスト教右派であり、エバンジェリカル(福音派)を自称しているそうだ。
米国は伝統的にキリスト教が圧倒的多数であるが、宗派別で見ると、伝統的な主流派プロテスタントの信者の数は全体の18%を占めるに過ぎず、これに対してエバンジェリカルと呼ばれる原理主義的なプロテスタントの信者の数が26.3%を占め、主流派プロテスタントを圧倒するまでになっているそうだ。
筆者はキリスト教の考え方、増して宗派ごとの考え方の差異はよく知らないが、福音派で思い起こすのは、進化論を信じていないと言うことである。従って、同派に属するペンス氏が中絶の反対、同性婚に反対するのは当然のことと思われる。技術面では世界の最先端を進む米国において、進化論を否定する福音派が急増しているとは、どういうことか考え込んでしまう。
副大統領の保守的な宗教観はキリスト教保守派などの支持固めにもつながる筈である。福音派の信者数は国民の25%~30%とのことであるので、トランプ大統領の支持率40%弱の大半は福音派が占めているのではないかと推測する。宗教的な信仰心は強い。トランプ大統領が多少へまをしたところで、ペンス副大統領がいる限り、支持率の更なる低下は無いと思う。2018.02.10(犬賀 大好-415)