日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

オリンピック参加を考える

2016年07月13日 08時50分16秒 | 日々雑感
 リオ・オリンピック開催が迫ってきた。会場建設の遅れや市内の治安の悪さ、更にジカ熱等の衛生面の悪さが指摘されているが、始まってしまえば、お祭り騒ぎするであろう街の様子や競技の熱戦報道で、マスコミは連日ドンチャン騒ぎするであろう。

 オリンピック期間中は軍隊を動員するまでして治安の維持に努めるようであるが、心配はお祭り後である。問題が起きても、多少のことではマスコミはほとんど取り上げず、忘れ去られていくだろう。”お祭りマンボ”の世界が再現されないことを願うばかりである。

 4年後に迫った東京・オリンピックは、リオのそれとは国内状態が全く異なると安閑としておられるであろうか。経済的な問題は何とかなると思うが、神頼みは気温である。今年は猛暑が続くと予想されているが、4年後はどうなるであろうか。高温と高湿度の中でのマラソン競技等は人道問題でもある。一層のこと太陽が出ない真夜中にでも実施すれば、米国のテレビ局は大歓迎するかも知れない。

 さてお金の話であるが、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの大会運営に必要な費用が、当初見込みの3000億円から6倍となる1.8兆円に増大するらしい。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が試算した結果である。組織委の財源だけでは1兆円以上不足することになるが、この値も計画段階での値だ。実行時には更に増えるに違いない。

 オリンピックを招致した猪瀬氏、新国立競技場やロゴマークを決めた舛添氏は共に得意満面の絶頂期から瞬時に奈落の底に落下した。新たな都知事に誰が就任するか分からないが、国家財政が厳しい折、財源をどこに求めるかが最大の課題であろう。道路整備や会場整備は、オリンピック後も残る財産であるが、東京集中のシンボルとして後世に残る遺産ともなろう。

 オリンピックは、参加することに意義がある競技大会である筈だが、いよいよ国家の威信を示す大会の色彩が強くなってきた。国は、味の素ナショナルトレーニングセンターを、日本初めてのトップレベル競技者用トレーニング施設として設置し、日本オリンピック委員会(JOC)及びJOC加盟競技団体に所属する選手・スタッフを選抜・育成している。

 オリンピックに選ばれた選手は皆日本を背負って頑張ると宣言するし、送り出す方も日本の名に恥じないようにと送り出す。まだ、1ヶ月も先の競技に、今からこんな入れ込み状態で大丈夫かと素人目には見えるが、選手やスタッフが一体となって、体と心のケアまでするので問題ないのであろう。

 更に、「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と、東京・代々木の体育館で3日にあったリオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が来賓のあいさつでそう述べたそうだ。

 また、金メダルを取ろうものなら、そうしなければならないように、国旗を掲げて会場を一周する風景は当たり前になった。正にオリンピックは国の威信を高める大会となってしまった。

 リオ・オリンピックにロシアの陸上選手はドーピング問題で出場できなくなったが、ドーピングは国家発揚の行き過ぎが原因の一つであろう。ドーピングでは薬ばかりでなく、フェアプレイ精神に反する行為も禁止する筈であるが、国を挙げての選手育成はフェアプレイ精神に合致するのであろうか。

 オリンピックの参加国が200ヵ国を超したといえども、スポーツに国の資金を投じられる国は限られる。競技自体は公平なルールで行われるが、その場にたどり着くまでは、それぞれの選手がおかれた環境面の格差は大きい。例え経済大国の選手が優勝しても、スポーツ弱小国の選手に、フェアプレイの結果として胸を張れるのであろうか。
2016.07.13(犬賀 大好-250)

遺伝子組み換え作物の安全性を考える

2016年07月09日 09時40分40秒 | 日々雑感
 現在日本において、遺伝子組み換え作物(GMO;genetically modified organism)を使った食品を販売する際には、その旨を表示しなければならないと法律で決められている。一方、米国ではGMO食品の表示が義務付けられていないため、米国の消費者はこれまで選り好みする手段がなかった。これは米国はGMO大国であり、モンサント社等の巨大企業が米国政府に圧力をかけているらしいからだ。

 しかし、ついに2014年4月には、全米ではじめて、バーモント州が、GMO食品の表示義務化法案を可決した。そして今年7月1日、全米で初めてGMO を使った食品の表示義務が始まったとのことである。この波は今後全米に広がっていく勢いのようである。しかし米上院は州によるバラバラな法律を無効にし、全国一律の表示ルールを盛り込んだ法案を採決するとのことである。統一ルールがどのようになるか分からないが、GMO食品の安全性に全国的な関心が高まっていることは確かであろう。

 一方、科学者で作る米科学アカデミーは今年5月、トウモロコシや大豆など米国で普及している遺伝子組み換え作物について、人や動物が食べても健康上のリスクの増大は認められないとする報告書を発表した。専門家による委員会が、過去20年にわたる調査報告や研究論文など900件を精査したまとめである。

 しかし、遺伝子の組み換え作物は、自然界に存在しなかった人工的な作物であるため、短期的に影響が現れなくても世代にまたがる長期的な影響や、またアレルギー等思わぬ影響の懸念は残る。過去20年にわたる調査程度では、これらの懸念を払しょくできない。GMO食品以外が選択できるのであれば、そちらを選択したいと思う人は大勢いるのであろう。

 現在日本で承認され、流通しているGMOは、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、綿、てん菜、アルファルファの7品目だそうだ。これらの作物を主な原材料とする32種の加工食品(豆腐・納豆・みそ・きな粉・コーンスナック菓子・ポップコーンなど)に表示義務がある。ただし、醤油・ダイズ油・コーン油・コーンフレーク・マッシュポテトなどは、製造過程による蛋白質分解を理由に表示義務は無いそうだ。蛋白質が分解されるとアミノ酸に変換されるが、人工的に組み換えられた遺伝子がどのように変わるかの説明は無く、心配の種は尽きない。

 しかし、一歩下がって考えてみると、完全に安全な食品など存在しないのだ。すべての食品は外来性のものであれ,内在的なものであれ,有害物を含んでいる可能性がある。外来汚染物としてはダイオキシンなどの有害化学物質や、カビ毒のような微生物由来のものがある。内在的なものとしては食品が元来持っている有害化学物質があり、フグの毒などはその典型であろう。そもそも、摂取の仕方により、益になったり、害になったりするのが食品だ。塩や砂糖がその典型であろう。これらは人体に必要不可欠であるが、取り過ぎは高血圧や糖尿病の元だ。
 
 現在承認されているGM食品は短期的には安全性の点で問題がないと考えられるが,それ故に今後作られる全てのGM食品が安全であるとは言い切れない。遺伝子組み換え技術は新規な技術であり,日進月歩で進歩している。使い方によっては予期せぬものが作られる可能性があるので,そのリスク評価は 個々の食品で慎重に行わなければならない。世代を超えてまでの評価も必要になるかも知れないので、簡単には結論が出せないであろう。

 しかし、一方では食料問題が迫っている。21世紀末までに100億人を突破するだろうと予測されている世界の人々への食料供給問題である。しかも、地球温暖化のためか最近異常気象が頻発しており、水害や旱魃などを原因とする食料不足問題も懸念される。

 このため、食料を増産する工夫が必要となるが、世界の耕地の開発には限度がある。渇水、害虫等に強い農作物の開発は必須であるが、種の交配による品種改良等では時間がかかり、効率が悪い。そこで、遺伝子操作による品種改良に期待がかかる訳であるが、人体や家畜に及ぼす影響に関しても同時に研究を進めなくてはならない。”科学の発展が人類に幸せをもたらすか” と言った大問題の一つであろう。
2016.07.09(犬賀 大好-249)

東京都政の問題点を考える

2016年07月06日 09時53分13秒 | 日々雑感
 東京都は地理的、経済的にも日本の中心であり、アルゼンチンやスエーデンと国家予算はほぼ同額にあたるとのことで、その長である都知事の影響力は極めて大きい。東京は諸収入も多く、国からの交付金はゼロであり、47都道府県の中で唯一受けとっていない自治体でもある。この意味でも、国に対して遠慮なく、何でも物申すことは可能であろう。

 舛添要一氏は、2014年2月東京都知事に当選した。これは、それまでの猪瀬氏が金銭問題で知事辞任に追い込まれた結果の都知事選での当選である。舛添氏は新国立競技場の建設資金を巡り、国とやり合い行政手腕を発揮し、その後の活躍が期待された。

 一方では、公用車の私的利用、海外出張費の高さ、等を指摘されたが、それまでのルールに従ってやっていただけで違法性は無いと、詫びれた態度を示さなかった。流石、東京都の知事はそれくらいの権限があるのかと感心していたが、いつの間にか風向きが変わった。

 国会議員時代の2013と14年の正月に千葉県内の「龍宮城ホテル三日月」に家族と共に宿泊した際、某氏を部屋に招き政治的な会議をしたのを政治資金で賄ったという。それは、都知事に就任する前の件であるが、マスコミから激しく追及された。そこで、第3者による厳格な調査を行うと言いながらいい加減な調査で済ましたり、会議をした人物は某出版社の社長と言いながらその存在が疑問視されたりして、自ら墓穴を掘り、辞任に追い込まれてしまった。他人を責めるのは得意であるが、責められるのは慣れていなかったのであろう。冷静に考えれば、いくらでも逃げる手はあっただろうに。

 政治資金の流用で、この程度の話であればどの国会議員でもやっていることであろう。国の大臣就任に際しては身体検査が話題になるほどであるから。兎も角、参院選の直前であったことが、舛添氏には不運であった。参院選への悪影響を考えて、それまで支援してもらった自民党から梯子を外され、悔し涙を流したとのことである。
 
 国会議員時代の政治資金流用以外は、都のルールに従ってやっていただけで違法性は無いとのことであるが、海外出張費の法外な高さといい、都議会はこれまで何をやっていたのか。議員も、都の幹部も同じ穴のむじなで、自らも甘い汁に慣れきてしまっていたのではないだろうか。東京都は財政が豊かなため、身を切る改革など別世界の話なのであろう。

 さて、東京都議会がリオデジャネイロ五輪・パラリンピックに27人の視察団を派遣する計画に批判が集まっている問題で、都議会の議会運営委員会は6月24日午後、持ち回りの理事会で視察の中止を決めた。この計画中止も参院選への悪評を避けるため、自民党上部からの指導が入ったのであろう。あれほど、視察の重要性を強調していたのに、あっさりと中止してしまった。やはり、物見遊山とのうわさを裏打ちしてしまった。やはり、都議もぬるま湯にどっぷり浸かっているのだ。情けない。

 次の東京都知事は誰になるのか分からないが、オリンピック・パラリンピック開催には問題が山積みである。猪瀬直樹前知事の時代に作成された「立候補ファイル」には、大会運営費が3000億円とあるとしたが、昨年暮れには東京五輪費用は、1.8兆円必要と組織委員会試算が出て、当初の6倍ともなり、公的資金投入は必至の事態となった。公共事業費は、計画時の予算は実行時には何倍にも膨らむのは常識であるが、この1.8兆円はまだ予算段階の話である。実行時には更に膨らむ懸念がある。

 アベノミクスに暗雲が立ちこめ、消費増税が見送られる日本経済の下で、オリンピック等開催の為のこの金は大きい。新都知事は費用膨張をどこまで抑えられるであろうか。増田寛也氏が有力視されているが、増田氏は岩手県知事を務め、地方に重点を置く政策で有名であり、もし都知事になればこれだけの金を地方の為に使ってくれるかも知れない。

 しかし、政治家は嘘を平気でつく。舛添氏が典型であるが、著書や選挙演説ではそれが分からないのが困る。日本がお手本とする民主主義の英国において、今回のEU離脱をめぐる国民投票でも同様な裏切り行為が目に付いた。民主主義の良いところは、口先の嘘はいつかは、公に曝されることであろう。それまでの無駄は民主主義の対価として我慢しなくてはならない。
2016.07.06(犬賀 大好-248)

アベノミクスを評価する

2016年07月02日 08時41分02秒 | 日々雑感
 安倍首相は、来年4月実施予定の消費税10%化を2019年に再延期すると宣言し、参議院選挙に突入した。理由の一つに、世界はリーマンショック級の不景気に落ち込む懸念がある、があった。6月24日英国の国民投票でEU離脱派が勝利し、マスコミはリーマンショック級の不景気の懸念が生じたと大騒ぎである。先の伊勢志摩サミットでは、首相のこの懸念は各国の合意を得なかったが、マスコミの評が本当であるならば、先見の明があったと言わざるを得ない。

 安倍首相はアベノミクスの成果を列挙する。例えば、株価や円高是正である。数値を見ればその通りであるが、いづれも外国との関係で決まる値であり、アベノミクスの直接の成果ではない。株価は海外の機関投資家の影響が強く、為替レートは言わずもがなである。日本経済は世界の経済の影響をもろに受ける。現に英国のEU離脱を巡って、株価や為替レートは乱高下した。

 さて、英国がEC離脱を宣言してから2年後に、正式な離脱が完了するとのことである。その間にいろいろな離脱手続きがあるそうだ。英国国民も馬鹿ではない。冷静に考えれば、”あちら立てればこちら立たず” の世界を理解するであろう。かって、大英帝国の夢から覚めず英国病に陥ったが、サッチャー元首相が金融大国への道を開いた。金融は、英国単独では成り立たない。世界に門戸を開いて成り立つ。従って、素人目にも、現状が一変するような変化は起きないような気がする。

 日本は、そんなことに一喜一憂せず、アベノミクスの今後を冷静に考えるべきだ。安倍首相は、消費増税を先送りしたが、国際通貨基金(IMF)は日本経済に関する年次審査後の声明で、財政健全化のため0.5%幅ずつでも上げて、最終的には15%まで引き上げる必要があると指摘した。他国が心配するほど日本の財政状態はひっ迫しているのだ。15%では甘く、20%以上必要と主張する識者もいる。

 今回のIMF声明では、アベノミクスが日本経済を活性化したと評価しつつも、労働者の基本給が伸び悩み、消費や投資が低迷しているとし、このままでは政府が目指す物価上昇や経済成長などの目標達成は困難、政策を見直すべきと結論付けた。

 個人消費の低迷は、給与の低迷や消費増税の影響が残っているからとの話であるが、アベノミクスが将来の不安を払しょくするまでに至っていないことに気が付くべきである。求人有効倍率が全国各地で1以上になったと自慢するが、中身は非正規労働者であり、雇用の不安定さから多少給与が増えても貯蓄に回すのが落ちであろう。

 アベノミクスは5年先、10年先の安定に繋がっているのか。第1次安倍内閣で官房長官を勤めた与謝野馨氏は、安倍政治は、国民の評判を落とす危険のある政策は避けて通る基本体質を有すると指摘する。消費増税の先送りはその典型であろう。その結果、社会保障の充実は約束通り実施されそうになく、またまた国民の不安を高めた。

 1千兆円を超える国の借金は、爆弾がいまも時を刻んである。いつか爆発し、国債価格が下がって大混乱になる。結果はハイパーインフレである。物価上昇率2%どころではない。200%になるかもわからない。

 日銀は毎年80兆円のお札を刷っている。国民の保有する金融資産の約5%に相当するのだそうだ。これは、毎年5%資産が目減りしていることに相当するのだそうだ。すなわち同時に借金も減っていることになるだろう。国のデフレ脱却政策はインフレ促進政策であるが、同時にハイパーインフレ導入が隠された目的かも知れない。こう考えなければ、借金1千兆円を超えても平気でいられる理由が分からない。

 歴代の政権は、民主党政権でも同様であるが、成長戦略を唱えてきた。このため、安倍政権は金融緩和に重点を置いた。しかし、有望な成長分野がなければ、いくら資金を供給しても投資に結び付かない。誰もが有望な成長分野が存在すると夢見るが果たして存在するのだろうか。先進国は既に成熟社会が到来し、必要な物や欲しいものが無い。かって、日本を支えた電子技術はシャープや東芝の大企業の衰退が象徴するように、行き詰っている。技術的な行き詰まりより、必要性の行き詰まりだ。

 安倍政権が重視するTPPも、経済の一時的な活性化に繋がるかも知れないが、所詮は経済の効率化である。効率化の先には社会の脆弱性が高まる。しかも、次期米国大統領と思われるクリントン氏は、現行のTPPに反対し、関係国と再交渉を明言した。これを受けて、安倍首相は、「ありえない話だ。仮に求められても応ずる考えは全くない」と強気の姿勢を見せているが、米国には頭の上がらない日本だ。再交渉に応ずるに違いない。

 TPPにより、安い農作物が手に入りやすくなるかも知れないが、田畑の荒廃は避けたい。先見の明がある安倍首相である。目先の利益ではなく、国家100年の計として、避けては通れないTPPの再交渉に臨んでもらいたい。同時に、将来に希望を持てるような社会の実現に向けて、身を切る改革を進めてもらいたい。先見の明がある安倍首相には出来るはずだ。
2016.02.07(犬賀 大好-247)