日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

消費者物価指数とデフレ脱却

2015年11月14日 09時30分58秒 | 日々雑感
 金融緩和によるデフレ脱却は物価上昇率2%が目標であった筈だ。過去3回の計19兆円の金融緩和でもその目標が現時点で遠く及ばないにも関わらず、一方では円安による物価高が指摘される。円安による物価高は輸入品に原因があり、バターやコーヒ等スーパーマーケットで日常購入する消耗品であるので、ついそちらの方に目が行ってしまい、デフレ脱却はとうに終わったと感ずる。

 そもそも物価上昇率を示す代表的な消費者物価指数とは,日常生活で私たち消費者が購入する商品の価格の動きを総合してみようとするもので,私たちが日常購入する食料品,衣料品,電気製品,化粧品などの 財の価格の動きのほかに,家賃,電話代,授業料,理髪料などのようなサービスの価格の動きも含まれているので、スーパで購入する日常品は極一部に過ぎないのだ。

 日銀によれば下落した品目が131品目だったのに対して、上昇した品目は339品目である。ガソリン代等、下落した品目はエネルギー関連が多いという。石油は世界的に生産過剰であり、そこに円高効果が重なり安値が続いているとの背景があるからだ。

 上昇した品目が3倍弱多いということは、全体としては物価上昇であり、デフレ脱却の動きは持続しているとの言い訳もあるが、単に品目数の比較で意味があるかと突っ込みたくなる。兎も角、最近は言い訳が多い。日銀執行部の就任会見では「目標が達成できなかった時は、あまり言い訳をしない」との趣旨の発言もあったが、すっかりお忘れのようである。経済を動かす要因は数知れないかも知れないが、専門家と自負する人にその程度のことが抜け落ちていたとはがっかりする。

 すなわち、物価というものは、コスト要因と需給要因に支配されるそうだ。コスト要因とは原油価格等の材料費の変動などで、国内の景気や経済情勢とは直接関係なく変動するそうだ。そこでエネルギー関連以外の品目で価格上昇した品目が多いということは、国内の需給要因がある程度大きくなっていることを示しているが、全体ではコスト要因が強く影響していると小難しく言い訳しているのだ。そんな表現より、デフレ脱却は原油価格が上がれば一気に達成できると言ってくれた方が分かり易い。

 兎も角、国内的にコントロールできる需給要因に関してはやるべきことをやり、目標を達成しつつあるが、後は外国次第であり、なす術は無いと言いたいのだろう。
そうであるならば、負の遺産となる追加緩和をする必要はない。しかし、経済界からは追加緩和の希望が多いらしい。成長戦略等の経済活性化政策が軌道に乗っておらず、株高を維持するためには追加緩和しか無いのだ。

 追加緩和はカンフル剤として有効であろう。しかし、いずれは返さなくてならない借金と言う副産物を抱え込むことになる。日銀執行部はこのこともちゃんと考えているのだろうが、後を引き継ぐ将来の執行部の仕事だとでも思っているのではないだろうか。就任時の自信満々の態度と現在の経済状況を比べると極めて心配になる。(犬賀 大好-181) 

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