日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

原子力発電の存在意義を考える

2015年11月11日 09時09分24秒 | 日々雑感
 九州電力川内原発2号機が再稼動した(10月15日)。同1号機に続き、新規制基準で全国2番目の再稼動である。これで余程のことが無ければ、九州電力は経済的に安泰だ。着実にたまる核燃料のゴミは国が何とかしてくれる。適当に政治献金しておけば、当分我が世の春を謳歌できる。

 原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の中核である再処理事業について、経済産業省は、今の株式会社から新たに創設する認可法人に移し、国の監督下に置く案を有識者会議に示し、大筋で了承された。来春の電力自由化後も電力会社の原発からの撤退を防ぐ苦肉の策だが、難航する核燃料サイクルの先行きは見通せないままだ。しかし、この道を閉ざしたら、使用済み核燃料は行き場所を失うことになる。

 日本は、現在英仏に再処理を委託するなどして何とか対処しているが、それでも再処理で得たプルトニウムを昨年末時点で国内外に計47.7トン保有しているそうだ。現在の保有量は原爆約6千発分に相当するのだそうだ。日本は原発に関し高い技術を持っている。その気になれば、原爆等の核兵器の開発など朝飯前だろう。

 中国は、10月20日、国連総会の第1委員会で日本のプルトニウム保有を批判した。日本は、国際原子力機関(IAEA)の監視下にあって、プルトニウムを兵器に転用することはあり得ない等の反論をしたそうであるが、日本は閣議決定により憲法解釈でも簡単に変更する国だと再反論されたそうだ。ここにも先の安保関連法案の影響が及んでいる。

 さて原子力発電と核兵器は表裏一体であることは国際常識なのだそうだ。国が原発に固執する理由の一つは、この常識に従っているためと思われる。すなわち、原発の隠れた目的の一つは抑止力なのだ。

 しかし、前月21日の英中首脳会談で、中国が独自開発した原子炉技術を英国の原子力発電所で導入する計画に両首脳が合意したとのことだ。また、仏の原子力大手アレバ社は、中国との間で提携を強化する覚書を結んだとのことである(2日報道)。原発の技術は核開発に直結するため、これまでは国家が厳重に管理するものというイメージが強かったが、他の技術と同様、原子力についても一般化が進んでおり、もはや、特定の先進国のみの技術では無いのだ。

 核燃料サイクルは見通しが立たず、ゴミとして埋める場所でも目途は立たず、日本はお先真っ暗であるが、中国との軋轢が多い現在、核兵器を有さない日本がせめて原発を存続させて、抑止力を密かに誇示せんがための原発なのか。

 福島第1原発事故の後始末で出費の多い東京電力でも今年の中間決済での経常利益は黒字だそうだ。火力発電用の燃料費が安かった背景もあるようだが、会社全体から見れば原発事故は大したことではないとつい思いたくなる。各電力会社が原発再稼動に執着するのは、このような思惑もあるのではないかと勘繰ってしまう。(犬賀 大好-180)

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