日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

米国の好景気は本物か

2015年12月19日 09時36分12秒 | 日々雑感
 米国は今月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、9年ぶりの利上げに踏み切った。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、その理由として金融危機以降米国は相当な回復をみせ、失業率は5%まで改善したことを挙げ、また目標の物価上昇率2%は達せられていないが、石油の異常な低迷が解消されれば、中期的に達せられるとした。

 中央銀行の役割を再検討した有識者グループ「G30」の評議会議長であるジェイコブ・フレンケン氏によれば、米国経済がようやく正常な状態に戻るのだそうだ。

 普通の人の常識は、「銀行は適当な利子を設定して金を貸し、借りた人はその金で事業を行い、借りた金以上を儲けて、銀行に金を返すシステムにより、経済が成立する」である。このシステムには経済の活性化が必須であるが、それには成長産業が大きな支えになる。米国はイノベーションの発信基地である。この意味で世界に先駆け経済が活発化するのはよく理解できる。常識がようやく米国では復活するということだ。

 米国の失業率は5.1%になり、特に国内の自動車や住宅の売れ行きも好調のようだ。1年位前、住宅販売が好調で住宅バブル再来が懸念されるほどとの報道があったが最近はどうなっているのであろうか。2008年のリーマンショックでは、住宅販売において低所得者向けのサブプライムローンが問題となったが、自動車販売においても似たようなローンが活用されているようである。これが自動車販売の急速な伸びにつながっているが、ローン残高はここ数年間で急拡大する危うさを含んでいるとのことだ。
 米国人は金が無くてもローンですぐに物を手に入れたがる傾向があるそうだ。金があればすぐに貯蓄に回す日本とは大違いである。米国は資本主義の総本山である。金を儲ける仕組みを考え出すことや、それをオブラートで包んで宣伝するのはお手の物である。住宅販売や車の販売に怪しい金融商品が介在していなければよいが。何しろ米国経済は世界の経済に諸に影響を与えるので、何とか堅実な好景気を維持してもらわなくてはならない。

 米国の利上げは、資金が米国に回帰するため、発展途上国の経済は一時的に停滞する懸念があるとのことだ。それ以外にも、前述のように米国の好景気が危ういローンで支えられていることを考えるとその脆さも感ずる。イエレン議長もこのようなことを全て考慮に入れて、利上げを決断したのであろうが、そのリスクに増して金融システムの正常化は重要なことであるのだろう。

 一方、欧州中央銀行(ECB)は、3日の理事会で、追加金融緩和策を決定したそうだ。ユーロ圏の経済は緩やかに回復を続けるが、輸出先である振興国経済の減速などで、景気が下振れするする恐れがあるとの理由である。

 我が日本では、昨日(18日)の金融政策決定会合で緩和補完策の採用を決定したそうだ。景気や物価の状況は大きく変わっておらず、緩和策を続けると思われていたが、緩和ではなく補完策なのだそうだ。何のことかよく理解できないが、これを受けて株価は大幅に下がったとのことだ。

 欧州や日本では当面の生活を享受するために、経済の非常識がまかり通るが、その副作用がどんどん大きくなることも覚悟しておかなくてはならない。(犬賀 大好-191)

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