日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中高年のひきこもりは就職氷河期のせいか?

2019年12月07日 09時00分31秒 | 日々雑感
 今年3月末の内閣府の全国推計によると40~64歳の中高年のひきこもり状態の人が全国に61.3万人だそうだ。若い世代のひきこもりの原因は生まれながらの特質や家庭環境等によると思われるが、中高年の引きこもりは就職氷河期のため大学卒業後にうまく就職先を見つけられず、非正規やパートの仕事しかなく、結婚もできず、ひきこもりになってしまったケースが結構あるとのことだ。

 若いひきこもりは親と同居して食べるに困らない間は問題が見え難いが、年月が経ち高齢の親と中高年になったひきこもりの子との関係は深刻さを増し、こうした家族が関わる痛ましい事件も起こっている。

 今年5月登戸駅近くの路上で児童ら20人が殺傷された事件で、51歳の岩﨑容疑者が逮捕された。同容疑者は両親の離婚などで、幼少時に伯父夫婦のもとに引き取られたが、長期にわたって就労せず、外部との接触を絶った生活を送っていたとされる。

 また、6月には、息子を刺殺した76歳の容疑者が逮捕されることがあった。殺害された44歳の息子は定職につかず、アニメやゲームに心酔して、親の仕送りで暮らしていたそうだ。

 ひきこもりという言葉が社会に出始めるようになったのは、1970年代だったらしい。1976年、不登校や引きこもりや家庭内暴力などの数多くの非行少年をスパルタ式と呼ばれる独自の指導により矯正出来るという触れ込みで、戸塚宏氏により戸塚ヨットスクールが設立された。

 1970年代末から1980年代にかけて、校内暴力が社会問題化していたため、問題行動を繰り返す青少年の矯正施設として同スクールがマスメディアに注目され、また一方では指導行き過ぎによると思われる死亡事故も発生し、戸塚氏は大きな社会的批判も受けた。

 戸塚氏は現在も健在で、「ひきこもりが多いと話題の40代、50代なんて、40年前、私が治してあげられなかった世代じゃないですか」と語っているとのことだ。

 単なるひきこもりの人間と校内暴力等の問題行動を起こす人間を同じ指導法で矯正できるとは思えないが、戸塚氏によれば本質は同じと言うことかも知れない。

 先述の事件の当事者もひきこもっていたことは事実らしいが、幼い頃の環境も影響しているようであり中高年のひきこもりが就職氷河期だけが原因とは思えない。若い頃ひきこもり気味であった人間が就職氷河期を切っ掛けにひきこもり中高年になったのではないだろうか。

 兎も角1980年代~90年代は若者の問題とされていたが、それから約30年が経ち、当時の若者が40代から50代となりその親が70代から80代となった。若者のひきこもりはまだ立ち直る可能性が感じられるが、40代、50代となると人格が確立されており立て直りは極めて難しいと思われる。

 政府はバブル崩壊後の不況下で就職の機会に恵まれず、今なおその影響を引きずる「就職氷河期世代」の集中支援を打ち出しているが、これですべての人が救われるとは到底思えない。

 若年層のひきこもりは今でもあるだろう。このような人々を今から支援することの方が大切ではないかと思われる。2019.12.07(犬賀 大好-555)


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