日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

外交交渉の結果発表は正直であって欲しいが

2019年12月04日 09時35分00秒 | 日々雑感
 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄停止が先日なされたが、その発表内容が日本と韓国では随分異なっていることに今更ながら驚かされる。

 韓国政府の停止理由として、日本政府による韓国向け輸出管理措置の見直しについて日韓の対話が始められるからとしている。日本側の発表では、この件に関しては輸出管理という貿易上の措置を安全保障の問題であるGSOMIAとはリンクさせないという日本の主張を一歩も譲らず、日本側の完勝であったとの説明だ。これらの発表はいずれも国内向けであり、GSOMIAに関しても水面下で何かしらの交渉があったであろうから、本当の所は分からない。

 兎も角日本が完勝と言っても、これで貿易高の激減や観光客の激減等が解消され、日韓関係が良好な状態に戻れる訳でもなく、何をもって完勝と叫んでいるか全く理解に苦しむ。

 外交交渉において本当の所はよく分からない点では、すべての外交交渉でも同じであり、失敗したとの政府報道は無く、全て成果があったとの報道だ。

 さて、日米の貿易交渉については、日本車にかかる関税が継続協議となったこと、そして農産品に関して環太平洋経済連携協定(TPP)並みの開放となったことが成果とされ、今回の国会でその中身が精査される筈であったが、桜を見る会の不祥事で詳細な議論はされそうにもない。

 政府は農林水産物では品目ベースで関税撤廃率37%としか発表しておらず、この値はTPPの撤廃率より低く、日本の農業を守ったとの言い分である。しかし、金額ベースでの試算によれば決して誇れるような値では無いとのことだ。

 トランプ大統領がわざわざTPPから離脱をしてまでして、TPPを下回る成果獲得で納得する筈は無い。しかし、裏ではトランプ大統領はもっと大きな成果を手に入れたかもしれないのだ。今回の協議について大統領は、日本のデジタル市場を4兆ドル(約430兆円)規模で解放させた、と自慢したらしい。すなわち、米国サーバーから日本の消費者がダウンロードする際に消費税はかけるが今後関税はかけないと言う扱いを日本側が保証したらしい。

 この情報はネットからであり、新聞等のマスコミは取り上げておらず、真偽のほどはよく分からない。ディジタル税に関しては米国とEUが揉めているようであり、今後大きな問題となるかも知れない。関税ゼロなら消費者にメリットがあるのだから、安倍首相が自慢するように今回の貿易交渉結果は日米ウィンウィン状態なのかと言うと、本当の所が分からないだけにすこぶる疑問である。

 また、日ロ領土問題に関して、安倍首相は昨年11月、プーチン露大統領との間で、北方4島の内国後と択捉はさておき、色丹島と歯舞群島の2島に絞って交渉を進めるという、大幅な譲歩をして日ロ平和条約締結交渉を加速させると合意した。

 しかし、今年6月の26回目の日露首脳会談でも領土問題における進展は無く危惧した通りの独り相撲だったようだ。北方四島における共同経済活動について、観光ツアーや日露のゴミ処理の専門家の往来などのプロジェクトを実施することで一致したとの成果を誇ったが、本来の思惑は影も形も無かった。

 外交とは、利害を異にする他国との協議であり、両国にメリットが無いとうまく纏まる筈が無いが、自国が不利益になることは絶対に口に出せず、自国の成果のみを誇張する。これでは本当の所がよく分からないは当然だ。2019.12.04(犬賀 大好-554)


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