日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ラニーニャ現象は異常気象か

2017年12月30日 10時10分37秒 | 日々雑感
 今年の冬はラニーニャ現象の為、寒いとのことだ。一方地球温暖化のために異常気象が頻発しているが、このラニーニャ現象は異常気象であろうか。

 地球上には年間を通して偏西風や貿易風と呼ばれるほぼ一定の風が吹いている。偏西風と呼ばれるのは、赤道上で暖められて上昇した空気が北または南に流れ、温帯付近で急降下する際に、地球の自転の影響を受けて、針路を曲げられ、日本付近では西風となる風である。さて、地表に戻った空気は、今度は逆に赤道に向かって流れ、やはり自転の影響を受けて西向きに針路を変え貿易風となる。

 赤道付近では、貿易風によって海面付近の温かい海水は西側に引き寄せられ、東側では深いところから冷たい海水が湧き上がる。つまり、海面水温は東側で低く、西側で高い状態となり、気圧配置に影響するため、結果として気象に影響を与えることになる。

 偏西風や貿易風は地球規模の自然現象であり、厳密には一定でなく、年によって強くなったり弱くなったりするようだ。その原因はよく分かっていない。“ラニーニャ現象”とは、例年より貿易風がより強くなると、西側の海水がより温かくなり、東側の海水がより冷たくなる現象とのことである。

 こうした状況下では、西から吹く偏西風にも影響が及ぶ。この影響は地球上すべて均一では無いので、偏西風が蛇行する結果となるそうだ。この蛇行で日本付近は寒気の影響を受けやすくなり、平年より冬は寒い傾向にあるとのことだ。

 このような複雑な現象を以上のように説明されると、すべての気象現象が解明されていると思ってしまうが、なぜ貿易風が例年より強くなっているかの元々の原因の説明がなされていない。

 通常の天気予報でも、”明日は西高東低の気圧配置で北風が強く寒くなるでしょう”、としたり顔に説明するが、肝心のなぜそのような気圧配置になるのかの説明は無い。そんなことを気象予報士に要求しても、時間的に無理だし、そもそも気象専門家ですら分かっていないのだ。

 ラニーニャ現象と逆の現象がエルニーニョであり、両者がほぼ定期的に繰り返すので、異常気象の範疇には入らないのかも知れない。ラニーニャ現象やエルニーニョ現象は数年の周期で繰り返すため、ラニーニャが起きても暫らくすればエルニーニョとなるとの安心感はある。

 しかし、異常気象、すなわち自然現象の極端化は世界各地で頻発している。今年9月上旬のハリケーン、イルマは大西洋で発生したハリケーンの中で観測史上最強の勢力であったそうだ。日本でも観測史上最大の降雨量であったとの話はよく報道される。これらの異常気象は地球温暖化の影響との見方が強い。しかし、地球温暖化と異常気象の関係に関しては、ほとんど分かっていない。

 地球温暖化により今年1~9月の世界の平均気温は産業革命以前に比べて約1.1度高かったとの報告があったが、1日の気温が10度近く変化する日本では1.1度程度は大したことは無いと思いがちである。しかし、この1.1度が海水温度を高めるとなると、先のラニーニャ現象やエルニーニョ現象にも影響すると見て間違いないだろう。今回のラニーニャが異常気象となるかどうかは、現時点では分からない。

 最近、超大型計算機の処理速度が上がり、またシミュレーション技術も向上してきた。しかし、それでもまだ能力不足のようだ。何しろ天気を支配する要因が余りのも多いのだ。天気を支配する要因は、温度、湿度、風の向きや強さ、そして気圧が考えられるが、そこに海水温度も影響するとなると、気が遠くなる。

 最近、人口知能の世界ではディープラーニングがその力を発揮している。囲碁や将棋の世界で選択肢が無数に近い次の一手を瞬時に決めることが出来るからである。素人的な発想からは、このディープラーニングを採用した人工知能により、天気予報の正確さも飛躍的に向上するのではないかとの期待もある。ディープラーニングは、これまでの無数の経験則から特長を抽出ことであるので、通常の天気予報には効果が発揮できるかもしれないが、異常気象に関しては、経験則が無いので無理かもしれない。
2017.12.30(犬賀 大好-403)

 この文は本年最後です。私の拙文をご愛読いただきありがとうございました。
 来年もよろしくお願い申し上げます。

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