日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

腸内細菌が決める脳の健康状態

2019年02月27日 10時12分30秒 | 日々雑感
 ヒトを始めとする哺乳動物は、母親の胎内にいる間は原則無菌状態にあるが、生後、口や皮膚等様々な経路で微生物が体内に侵入し、その一部は消化管内等に定着して、常在菌として宿主と共存するようになるのだそうだ。常在菌は宿主が摂取した食物に含まれる栄養分を吸収することで増殖し、同時に様々な代謝物を生成して宿主に良くも悪くも影響を与えることになる。

 地球の誕生以来生物進化の過程で、腸が始めに出来、その後脳が発達し、高等生物へと繋がっていったと考えられる。その過程で神経系を通じて脳と腸は互いに影響し合っていると考えられ、腸は”第二の脳”とも呼ばれるのだそうだ。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれるが、こういう言い方もあるのだ。

 細菌は初期の頃より腸に住み始めていると思われ、その頃から共存関係は出来ていたのだろう。当然、腸内で生息する細菌は脳にも何らかの影響を与えていると考えた方が自然である。

 人間の腸の中の常在菌、すなわち腸内細菌は大人の場合ざっと重さ、1.0~1.5Kg、その種類は1000種類以上、その数は600~1000兆個、だそうだ。青汁の宣伝で乳酸菌が一袋あたり何億個含まれると数の多さを誇っていても全体から見れば大海の一滴に過ぎない。

 また、腸内細菌と称するがほとんどは大腸が住処と考えるのが定説だ。大腸は小腸より長さはずっと短いが、大腸がん、潰瘍性大腸炎等、病気の発生箇所としてはずっと多い。これも大腸が大便と腸内細菌の溜まり場であることも強く関係しているからだそうだ。

 しかし近年内視鏡カプセルなるものが開発され普及しつつあるようだ。これは、超小型カメラを内蔵したカプセルを飲み込むと各消化器官の内壁を撮影しつつ最後は体外に排出され、そのカプセルから画像を読む取る検査法だ。

 これにより、これまで有効な検査法が無かった細く長い小腸の粘膜を観察でき、その結果、今まで原因不明とされていた消化管出血や腹痛の診断が簡便に行えるようになったそうだ。これと同時に小腸内における腸内細菌の役目が明らかになると思われ、恐らく小腸内においても重要な役目を果たしていることが明らかにされるであろう。

 さて腸内細菌は善玉菌、悪玉菌と日和見菌の3種類に分類されるそうで、通常健康な人であれば、善玉菌20%、悪玉菌10%程度らしい。これら3種類の細菌群は腸内で勢力争いをしており、70%の日和見菌は、良い働きも悪い働きもする菌種とのことだ。

 悪玉菌は名が示すように、食べ物を腐らせて下痢を起こさせたり、おならのもとになるガスを発生させる。善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌が有名で消化吸収のみに役立つと思っていたが、そればかりでなく、免疫等、健康維持や老化防止などへ影響がある菌で、各種ビタミン類やドーパミンやセロトニンの神経伝達物質であるホルモンを合成するのだそうだ。

 最近、腸内細菌と脳に関わる認知症、うつ病等の関係が科学的に明らかにされてきたそうで、腸が第二の心臓と呼ばれる根拠が明らかにされてきた。

 先述のホルモンは、脳内で働く神経伝達物質で、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わり、快感や幸福感を得たりする機能を担う脳内ホルモンだそうだ。お腹の調子が良いと気分も爽やかになるのはこのせいかもしれない。

 人間の脳に関する病気は要因が複雑で、完璧な治療薬は無い。人間100歳時代を迎え、肉体的な健康維持に関する対処法は色々提案されているが、精神的な健康法は今一である。肉体的には元気であるが精神的には異常な老人の扱いには苦労が多い。今後急激な発展を祈りたい。2019.02.27(犬賀 大好-524)

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