今年2024年米国最大のイベントは11月5日の大統領選挙だろう。米国のイベントであるが、日本にとっても影響は非常に大きい。さて、今月15日にはアイオワ州の共和党大会が開催され、候補者レースが正式に開始される。現段階において、トランプ前大統領が60%以上の支持を得て独走状態にあり、フロリダ州のディサンティス知事に大きく水を開けているようだ。
しかし、2021年1月の米議会襲撃にトランプ氏が関わったことが、反乱に関与した人物の公職就任を禁じた合衆国憲法の修正条項に触れるとして、同氏の立候補資格の剥奪の訴えが全米の半数以上の州で出され、複数の州の裁判所で審理されているとのことだ。コロラド州最高裁は、昨年12月19日にトランプ氏の同州予備選への出馬を認めない判断を下している。メーン州の州務長官も先月28日、立候補資格を認めない判断を示した。一方、米ミシガン州の最高裁判所は先月27日、資格剥奪を求めていた有権者団体の上訴を却下し、トランプ前大統領は2024年大統領選の同州での予備選に立候補できるとの判断を下した。
また、アメリカのコロラド州の裁判所が先述の様に立候補する資格がないと判断したが、トランプ氏は不服として連邦最高裁判所に上訴した。トランプ氏はこれまでに様々な訴訟を受けており、日本であればとっくに政治生命を失っていると思われるが、訴訟社会の米国ならではの話か、トランプ自身の個性か、しぶとく生き残っている。
バイデン、トランプ両氏はいずれも党の予備選で対立候補の挑戦を受けそうだが、結局は大統領候補に選ばれる可能性が高い。バイデン氏は高齢が憂慮され、トランプ氏は数々の刑事訴追を受けているにも拘わらずだ。
2024年米大統領選でバイデン大統領とトランプ前大統領の二者択一を迫られそうな事態を前に、米国内では次世代の指導者を求める声が広がっているようだ。最近の世論調査では、米国の成人63%が第3の主要政党が必要という考えに同意したそうだ。この割合は1年前から7ポイント上昇し、この質問を行った2003年以来で最も高かったそうだ。
共和・民主両党は民意を代弁するという仕事をまともに果たせておらず、現在、政治は完全に二極化してしまっている。特に、ウクライナ紛争とイスラエル紛争ではダブルスタンダードとの非難を世界から浴びているが、その解決策を見出していない。多くの米国民は、もっと若くて国を分断しない別の選択肢を切望しているのだろう。
この声を受けてか、2人の無所属候補が参戦している。進歩派的な活動家コーネル・ウェスト氏と、最近民主党を離党したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏だ。今回の選挙は、バイデン大統領とトランプ前大統領の接戦となる可能性が高いが、第三党の人物にわずかな票が流れるだけでも、選挙結果に大きな影響が及ぶ可能性があるそうで目が離せない。
2024.01.06(犬賀 大好ー974)