日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

大阪万博のパビリオン建設遅れの意味するもの

2023年08月09日 09時15分56秒 | 日々雑感
 本来の万国博覧会(万博)の開催意義は先端技術や文化を世界に知らしめることであろうが、インターネットの普及により世界のありとあらゆる情報はあっという間に拡がり、開催意義が薄くなってしまった。この代わり、人集めの為イルミネーションを華やかにする等でテーマパーク化しており、開催意義が問われている。

 1970年の日本で始めて開かれた大阪万博では”人類の進歩と調和”のテーマの下、宇宙船アポロ12号が持ち帰った月の石や、ソ連館の宇宙船ソユーズの展示で、人類初の偉業を目の当たりにし人気に沸いた。1985年のつくば万博では、”人間・居住・環境と科学技術”のテーマで先端技術のロボットや水耕栽培のトマトの木に驚ろかされた。

 さて2025年4月開幕の第2回目の大阪万博は ”いのち輝く未来社会のデザイン”がテーマであるが、現在、地球温暖化や少子高齢化社会への課題が山積し、明るい未来社会が描けるか懸念される。新しい技術としてドローン技術を利用した空飛ぶ自動車が会場と大阪市街の間で利用されるとの噂であるが、ドローン技術はロシアのウクライナ侵攻で活用されており、戦争を思い起こさせるマイナスイメージが強い。

 ところで、開幕まで1年とチョットとなった今、パビリオンの建設遅れが話題となっている。遅れの理由は資材の高騰や人手不足の問題、開幕までの工期の短さ等から、海外パビリオンの建設を引き受ける建設業者がいないことらしい。前回のドバイの万博がコロナ感染の為1年遅れで開催されそれより、4年しか経過しておらず参加各国の本気度が高まっていないことや、ロシアのウクライナ侵攻が影響しているとの声もある。

 大阪万博には約150の国と地域が参加を表明していて、各国が文化や技術を紹介するパビリオンを建設する予定になっている。今、建設の遅れが問題となっているのが約50の国が予定しているパビリオンで、各国が趣向を凝らした豪華な外観のものが多く、まさに万国博覧会の目玉とも言えるが、それだけに工期の短さが心配になる。

 前回のドバイの場合と同様に1年延期を主張する人もいるがあり得ないだろう。前回の延期はコロナの為であったが、今回の遅れは日本の運営上の問題であり、延期の適当な口実が見当たらない。しかも万博の開催以上にIRの同時開始に本命があるからだ。IRとはIntegrated Resort(IR)統合型リゾートであり、万博会場の夢洲はカジノのほかホテルや劇場、国際会議場や展示会場、ショッピングモールなどが集まった複合的な施設予定地であり、政治団体大阪維新の会は大阪経済の起爆剤としてIRの開設に力を注いでおり、短期開催の万博より永続的なIRの方が本命と考えているであろう。

 万博の本来の開催意義が問われている一方、開催地元における開催目的は税金の投入によるインフラ整備であることは一貫している。特にIRは、万博との相乗効果を狙って同時開業が目標とされている。IRはカジノで儲ける仕組みであることから批判も大きいが、国としても力を入れていることから、万博の開催遅れが心配になり支援に乗り出したが、後れを取り戻せるであろうか。2023.08.09(犬賀 大好ー937)