日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安倍元首相の国葬は誰の為にやるのでしょうか

2022年07月27日 09時21分25秒 | 日々雑感
 政府は7月22日、参院選の遊説中に銃撃され亡くなった安倍元首相の国葬を、9月27日に日本武道館で行うことを閣議決定した。費用は全額国費で賄うそうだ。

 岸田首相は、様々な意見があることも十分承知しているが、丁寧に説明し、できるだけ多くの国民に納得してほしい、と理解を求めた。岸田首相も安倍元首相の得意な ”丁寧に説明し”を用いたが、安倍氏は丁寧とは同じことを大声で繰り返し言うことと解釈していたようで、一般国民が納得できる説明になっていなかった。首相はこの言葉を本来の意味の通りに実行してほしいものだ。

 また、岸田首相は国葬を実施する理由に”安倍氏を追悼するとともに、日本は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す”と強調した。山上容疑者の殺意の理由は政治的な理由ではなく宗教がらみの恨みのようで民主主義を断固守り抜くとは的外れである。ただ宗教団体の組織自体を民主主義的に運営するように規制するとの話であれば別であるが。

 さて国葬の実施に対し市民団体の50名が東京地裁に申し立てしたそうだ。申し立てで”国葬の法的根拠はなく、閣議決定のみによる予算執行は違法であり、儀式への強制参加は思想良心の自由を定めた憲法19条にも違反する”と主張し、国葬を国会での議論を経ずに決めており、国民の総意ではないと強調した。

 元首相の安倍氏の国葬は国民の多くが認める功績を偲んで行うことが本来の姿であろうが、その功罪は未だ定まっていない。安倍氏の始めた異次元金融緩和の低金利政策は諸外国が金利値上げの方向にあるに拘わらず、日銀は相変わらずゼロ金利政策を続けている。何か勝算があって続けているのならばよいが、続けざるを得ない状況に陥っているのではないかと危惧する。

 急いで国葬を決めた岸田首相の本当の理由は安倍派からの圧力があったためと思われる。次の参議院選挙が3年後の夏にあり、その秋には衆議院の任期がくる。しかしその前の2年後の秋には自民党の総裁選挙がある。この総裁選挙で再選されるためには自民党最大派閥の安倍派の支援が必要だ。

 国葬を一番希望するのは安倍派の面々であろう。安倍晋三元首相死去後の安倍派の体制について、後任の会長を置かず幹部の役職を維持することを決めた。これは塩谷、下村両会長代理が同派を率いることを意味するが、安倍派を率いる人材がいないことも意味する。

 安倍派の過去の勢いを維持するために岸田首相に国葬実施を強く迫ったと勘繰ることが出来る。ここで国葬を実施しておけば過去の負の遺産もすべて美化される。異次元金融緩和は日本をデフレからを救った手段であり、その結果が超インフレを招こうとも、その後の対策の失敗の結果であり、本人は美化されるであろう。森友学園桜を見る会等の問題も説明すべき本人が居なくなっては忘れ去られるのは時間の問題と思っているのだろう。2022.07.27(犬賀 大好ー834)