日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安倍元首相にやって欲しかったこと

2022年07月09日 10時10分37秒 | 日々雑感
 安倍元首相が、昨日(7月8日)参院選遊説中に凶弾に打たれお亡くりになった。8年に亘る長期政権を退いた後も自民党の最大派閥を率い絶大な影響力を揮い、岸田現首相も一目置いていたようだ。まだまだやりたいことが数多く残っていたのだろう。

 安倍元首相の生前の功罪に関していろいろ議論があるだろうが、最大の功績は外交ではなかろうか。ロシアのウクライナ侵攻が始まってから4か月以上、いつどのように終わるか分からない膠着状態が続いている。その原因はプーチン大統領の真意が分からないことに一因がある。世界各国のいろいろな人がプーチン氏を説得しているようだが一向に埒が明かない。

 さて日本の安倍元首相は”地球儀を俯瞰する戦略的な外交”を掲げ在任中月1回のペースで外遊した。プーチン大統領とは計28回も会い、親交を深めていたはずだ。今回の訃報に対しても大統領から丁寧な哀悼の意が届いている。

 今となっては遅きに失したが、その人脈を生かし、政府特使としてでもプーチン大統領に会い、ロシアのウクライナ侵攻を止めさせる方策を講ずるべきだった。もし、会談が実現し停戦ともなれば、ノーベル平和賞も期待できると思っていたが。

 兎も角安倍元首相は人やマスコミの使い方が上手で演説が巧みであった。選挙のたびに成長戦略と称して「地方創生」「1億総活躍社会」「人生100年時代」などと耳目を引く看板を掲げた。看板のテーマが旨く行く、行かないかは二の次で、常にマスコミを賑わすことに力を注いでいた。政治家としては立派だったかもしれないが、人間としての誠実さには欠けていた。

 元首相は絶えず ”丁寧に説明する”と口にしつつ、本人は説明したつもりでいたようだが、国民は一向に納得していない。森友学園、桜を見る会問題はすっかり過去の問題としている。

 今回の参院選でも憲法改正を強く主張しているが、改正点は自衛隊の明記位であるが、その内再軍備や核兵器保有の主張にいつ変わるか分からない。筆者も現憲法にいろいろ齟齬があることは認識しているが、現自民党下での憲法改正には反対だ。

 兎も角、8年間にわたる安倍長期政権は負の遺産を多く残している。最大の遺産は異次元金融緩和だ。投資資金は市中に溢れても景気回復せず、コロナ騒動やウクライナ騒動で諸物価の値上がりする状況に陥った。黒田総裁はインフレは利率の値上げで防げると豪語していたが、外国諸国が公定歩合の値上げをしているのも拘わらず、日本はそれすらできない状況に陥ってしまった。黒田総裁は最大の後ろ盾を失い、来年の4月8日の任期いっぱい、職責を果たせるであろうか。2022.07.09(犬賀 大好ー829)