日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

米バイデン新大統領の対中国政策に日本は付き合えるか

2020年11月25日 09時19分49秒 | 日々雑感
 米国では、次期大統領にバイデン氏がほぼ確定した。トランプ大統領の米国第1主義は影を潜め、パリ協定や世界保健機関(WHO)への復帰等、国際社会との協調に期待されるが、対中政策に関しては、バイデン新大統領のこれまでの言動からして貿易問題や人権問題等に関しては一層厳しくなるだろうと言うのが評論家の一般的な意見だ。

 対中貿易政策においては、民主党政権は労働組合との密接な関係を維持してきているため、米国企業を守るためトランプ政権以上に保護主義的な姿勢を打ち出さざるを得なくなると予想されている。

 また、オバマ前大統領が日本政府と主導した環太平洋連携協定(TPP)についてはバイデン氏はTPP再交渉には消極的なようだ。市場開放が職を失うことに直結するラストベルト地域に配慮し、当面はいかなる新たな貿易協定交渉にも入らない、と述べているそうだ。これは、反グローバル化の動きであり、トランプ政権下での保護主義に通じるところもあり、米国で一端傾いた政策の急転換は難しく、世界のグローバル化の流れに影響するかも知れない。

 片や中国はグローバル化に積極的であり、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に参加し、米国がためらうTTPへの参加にも意欲を示している。

 RCEPはアジア太平洋地域の自由貿易協定であり、世界の人口の3割、世界のGDPの3割を占める15カ国が交渉に参加し、ここにおいても中国の存在感は増すだろう。中国は対米貿易で明るい将来が見通せない中、内需拡大と共に、”一帯一路”の外部への拡大を一層目指すであろう。

 安全保障に関しては、バイデン次期政権で国防長官就任が有力視されるのは、フローニー元国防次官を筆頭に、オバマ政権の下で国連大使、大統領補佐官を務めたライス女史等の名前が挙がっているそうだが、いずれも対中強硬派として知られているだけに、中国側としては戦々恐々と身構えていることだろう。

 特に台湾を巡って激しさを増すだろう。オバマ政権時代は中国への配慮を優先し、台湾への武器売却を控えていたが、トランプ大統領は積極的である。大統領のこの戦略は世界戦略の一環と言うより、一過性の中国に対する嫌がらせの感がするし、米国軍需産業の支援の様な気がするが、新大統領もこの路線を引き継がざるを得ないだろう。

 トランプ政権は台湾に攻撃能力を持つ無人機など、6億ドル、日本円にしておよそ630億円の武器を売却することを11月始めに決めたが、それまでに総額、約174億ドル(約1兆8000億円)にのぼる武器売却も決めている。台湾の年間の国防予算の約3500億台湾ドル(約1兆2800億円)を大きく上回る規模であり、台中間の緊張感を増大させている。

 昨日24日、国務長官にオバマ前政権で国務副長官などを務めたブリンケン氏の起用が明らかになった。氏は国際協調や同盟国との連携を重視するバイデン氏の外交政策を支えるが、特に対中国政策では、日本、韓国などの同盟国にこれまで以上の協力を求めると思われ、今や貿易では米国より中国との関わり方が深くなっている日本にとって、難しい判断を迫られることだろう。2020.11.25(犬賀 大好-654)