日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

原発執着による世界の潮流からの逸脱

2020年11月18日 09時20分41秒 | 日々雑感
 日本はイノベーションの創出に弱い。イノベーションとは社会を変えるような大きな技術変革であるが、日本は他人とは異なる発想をすることが苦手であるからだ。現在世界を制するGAFAは若者の憧れであり、ITに取り組む多くの日本企業の目標でもある。最近では日本でもメルカリ等のDXサービスが普及してきたがGAFAの発想から抜け出していない。

 また、そのGAFAを取り巻く環境は、いま急速に変化しているとのことだが、筆者自身どのように変革していくのか見当もつかず、日本だけがこの変化の"蚊帳の外"にいる可能性があると主張する人もいる。

 一方、日本人は昔からハードの世界では強く、1980年代半ば日本の半導体は世界を席巻し全盛期にあった。その技術力だけでなく、売上高においてもアメリカを抜いてトップとなり、世界シェアの50%を超えたこともあるが、その後の20年で一気に凋落し、今やかつての隆盛は見る影もない状態だ。

 2019年の売上高トップとなったのは米国のインテル、第2位は韓国のサムソンであり、日本企業のキオクシア(旧 東芝メモリ)はトップ10から姿を消す結果となった。この原因は日米半導体協定による米国からの圧力や研究開発のみに専念する米国の生産方式に太刀打ちできず、また韓国や中国の安値攻勢で、その座を失ったのだ。日本人は成功体験に囚われてしまい、社会全体の流れを理解し、変革するのが苦手なのだ。

 また日本では1970年代のオイルショックから再生可能エネルギーを利用した発電に関心が高まり、国・地方公共団体等の助成が追い風になり、太陽光発電の導入量で世界一となり、2000年ごろまで太陽光発電量は欧州全体より日本の方が多かったそうだ。当時、太陽電池の生産量でも日本の大手4社が世界市場を席巻したそうだ。

 また、日本では2012年、再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度が始まった。需要拡大を見込んだ日本メーカーは増産に踏み切ったが、巨大な生産能力を持つ中国メーカーが日本市場で台頭し、海外でも中国勢が躍進し、日本勢は世界10位以内から脱落した。

 太陽光発電と共に風力発電も関心が高まったが、1980年代には石油の安定供給、価格下落により研究開発は下火になってしまった。2000年以降の地球温暖化で再び関心が高まったが、時既に遅く世界から遅れをとった。2013年、デンマークは発電量の1/3を風力発電でまかなった。さらに同国は、主に洋上風力発電の拡大によって、2020年までにこの割合を50%まで引き上げようとしているようだ。

 日本でも、石狩湾沖の43000ヘクタールの海域に9500~1万4000キロワットの洋上風力発電機を105基建てることを目指す計画もあるようだが、この分野でもデンマークに先を越されている。

 菅首相は温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする計画を打ち上げた。この中で自然エネルギー発電が活躍する場面は原発の出方次第である。世界の流れは脱原発であるが、実質ゼロ実現の道は技術が確立した原発の方が容易だが、安易な道を辿って行けば、世界の技術の潮流からどんどん取り残されていく。科学技術立国は日本単独では成り立たない。
2020.11.18(犬賀 大好-652)