日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

習近平総書記は経済発展が最優先

2020年11月14日 09時59分40秒 | 日々雑感
 日本は経済的に中国が無くてはならない存在になっている。すなわち日本の輸出相手国は2018年からは中国がトップとなり、日本の輸入相手国は2002年から中国がトップとなったそうだ。日本の貿易は中国抜きでは考えられない状況になっているのだ。

 中国側から見ても、日本は輸出相手国としては3位、輸入相手国としては2位の上位を占めており、中国も日本と同様に友好関係を保ちたい筈だ。ところが中国は領土問題に関しては少しも友好的ではなく、尖閣諸島の周辺での領海侵犯を繰り返し、隙あらば実効支配しようとの思惑をむき出しにしている。

 さて、今年5月28日、年に一度の全国人民代表大会(全人代)が閉幕したその日、中国の李克強首相は首相記者会見で、中国の貧困問題についての記者質問に、今の中国では6億人が月収1000元前後(日本円で約1万5000円相当)で生活している、と発言したそうだ。

 中国人の平均年収は約125万円(2018年)とのデータがあり、月収換算では10万円位となるが、この平均月収よりはるかに低い6億の人達が総人口の4割以上を占めるがいるのだ。

 日本の生活保護費は条件によって異なるが、地方に住む高齢夫婦の場合10万円程度のようで、中国での生活費が日本よりかなり低いことは想像できるが、1万円強の月収はまさに貧困そのものであろう。

 現在のコロナ騒動前、経済発展が著しい中国からの観光客が日本に押し寄せ爆買い等でマスコミを賑わす、一方、中国から技能実習生が大挙日本に来るとのギャップがなかなか理解できなかったが、貧富の格差が想像以上に大きいのだ。中国の実情は決して世界第2位の経済大国と威張れたものでは無いのだ。

 習近平総書記は2015年ごろから”2020年に脱貧困、小康社会の全面的実現”を自らの政権の看板政策として掲げてきたが、現状は先の首相の発言通りなのだ。先述の全人代で習氏は、第14次5カ年計画案などについての説明で、中国の経済は長期的に安定して発展する潜在力があり、計画の末に高収入国家の水準に達し、2035年にはGDPあるいは1人当たり収入を倍増出来る、と発言したそうだが、GDPを増しさえすれば貧富の格差は縮まり、諸問題は解決すると思っているようだ。

 習氏は何事にも経済発展が第1と考え、巨大経済圏構想である”一帯一路”をアジアとヨーロッパの物流ルートとして構築を強引に推し進めている。世界各地への中国の進出は地域の経済発展の可能性が高まる一方で、さまざまなトラブルを起こしている。

 中国は領土問題で日本に譲歩しても経済的に日本との結びつきを一層深めれば、経済的には一層発展すると思うが、”一帯一路”戦略の方がはるかに効果が大きいと判断しているのであろう。また、香港、内モンゴル、新疆、チベット等の人権問題も経済問題に比べたら大した問題では無いと判断しているのであろう。

 習氏は経済発展がすべての問題を解決すると確信しているようだが、経済発展は経済格差をもたらすことを忘れているようだ。2020.11.14(犬賀 大好-651)