日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

核廃棄物の最終処分地はほぼ決定か

2019年08月07日 09時16分01秒 | 日々雑感
 東京電力の社長は7月24日、福島第2原発の全4基の廃炉を表明し、これで福島第1原発の全6基と合わせ、県内の全10基が廃炉になると正式に決まった。

 さて、廃炉に向けて始めにやるべきことは核燃料の原子炉外への排出である。核燃料は原子炉内で燃やされた後、原子炉建屋上部にある使用済み燃料プールに一時移され、その後、建屋外の貯蔵所に中間貯蔵され、更に県外の最終貯蔵所へと移される計画である。

 福島第1原発の計6機の内4号機は東日本大震災当時運転休止状態であったため、核燃料は損傷を免れ無事燃料プールに移され保管されているようだ。3号機では燃料プールに原子炉から順次移動中のようであるが、1、2号機では水素爆発による建屋の損傷が激しいため、取り出しに向けて調査中の段階であるとのことだ。

 それより1~3号機での最大の問題は核燃料炉から溶け出した燃料デブリの取り出しが未だ手づかずの状態と言うことだ。

 5号機・6号機は、1〜4号機とやや離れた高所にあり、津波被害が軽微だったようでこれまで余り話題にならなかった。この5号機と6号機の廃炉作業を進めるため、現在燃料貯蔵プールにある核燃料を、建物外に新設予定の中間貯蔵庫に2020年度までに搬出する計画だそうだ。

 しかし、受け入れ先は茨城県にある燃料加工会社、原子燃料工業の施設で、この施設の国の審査や検査が終わる見通しが立っていないことから、福島第一原発5、6号機からの搬出が宙に浮いている状況だそうだ。

 また、第2原発の1~4号機の核燃料は、すぐにでも移動出来る状態にあるようであるが、どこに貯蔵するかが問題であった。福島県知事や国はこれまで廃炉終了までに核燃料を県外に搬出すると明言していたが、同原発の使用済み核燃料の貯蔵施設を敷地内に新設する方針を打ち出したのだ。すなわち県知事は先月30日、敷地内に使用済み核燃料貯蔵施設新設を受け入れる考えを示したのだ。

 廃炉に向けて、核廃棄物の貯蔵施設は絶対必要だが、最終処分地の選定作業は全く目途が立っていなかった。県知事が容認した核燃料貯蔵施設も一時保管の中間的な位置づけであろうが、恐らく中間貯蔵施設がなし崩し的に最終処分地となるであろう。

 福島県から原子力発電所が一掃されることは安全面からは結構なことであるが、それまで地元には莫大な補助金が出されており、その金が無くなることはこれまでに建設した建物維持費等、財政上大きな負担となる。知事の方針転換は地域振興などを考えた苦渋の決断であろうが、これで核廃棄物の最終処分場の設置の方向性は決まったと見て良いだろう。

 国の組織である原子力発電環境整備機構は、核ゴミ等の最終処分事業を行なう日本の事業体である。この事業体は、錚々たる人材を集めているが、ホームページを閲覧する限り大した活動をしていない。しかし今回の知事の決定には裏で大きく動いていたと勘繰る。2019.08.07(犬賀 大好-570)