日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

依存症に抜本的な治療法は無い

2018年12月22日 09時32分26秒 | 日々雑感
カジノ解禁に対する大きな反対意見の一つは依存症の発生である。依存症はカジノばかりでなく様々な動機切っ掛けで発症するが、脳の病気であるため完全な治療法が無いと言われる。

依存症は3つに大別できるのだそうだ。①たばこ、酒、麻薬など物質依存症、②仕事、ギャンブル、買い物、インターネットなど特定の行為をしていると高揚感を感じるプロセス依存症、③DV、恋愛など特定の人間関係に関わる関係依存症、だそうだ。再発がし易い痴漢行為、高齢者万引きや若者の拒食症も依存症だと思うが、何と種類の多いことか。

依存症を引き起こす原因としては、一時的な快楽のためあるいはストレスを回避するため、アルコール等を乱用すると、脳内の神経細胞の機能が変化し、快感や喜びを徐々に感じ難くなるため、より多くの摂取を必要とし無間地獄に陥り、依存症になるとのことだ。

麻薬は一度経験すると抜け出せない依存症の最たるものである。仙台市青葉区の仙台総合病院で今年1月、この病院に勤務する40代女性医師が医療用麻薬を自ら注射し、副作用による呼吸困難で死亡したとみられることが捜査関係者への取材でつい最近判明したそうだ。

医者であれば麻薬の副作用に関する知識は十分持ち合わせている筈であるが、医師ですらこの様になるのだから、依存症が如何にすごい病気か分かる気もする。

このような依存症は、脳の一部に異常がある病気と説明される。この異常は脳細胞の物理的な破損か、あるいは分泌されるホルモンの関係か、脳神経における伝達障害か、よく分からないが、脳に関する障害となると、統合失調症と同様に薬で簡単に治すことは期待できない。

しかし酒やたばこ、ギャンブルをやっても、途中で止めることが出来る人間も少なからずいる。このような人は結果を想像して止めるのであろうので、依存症が脳の病気と言われても、単に意志の強さの問題あるいは想像力の欠如の問題とも思える。

仕事や勉強が長続きしない、スポーツでも頑張りが足りない、等も本人の意志の問題と思うが両者の間に明確な区別が出来るのであろうか。単に程度の差の問題とも思える。

人間の意志は脳が決めると思えば、意志を司る脳の働きの差が依存症となるかどうかを決めることになろう。こう考えると、生まれながらの気質も大いに関係していることになり、治療の難しさを窺わせる。

また、治療の難しさは、ほとんどの場合依存症の当事者は、自分は依存症だと認識出来ないことにあるそうだ。そのため、明らかに問題がある状態であっても、止めようとすれば止められる、等の言い訳をし、その問題に正面から向き合わないケースが多いとされる。

厚生労働省は依存症対策として、各都道府県や指定都市ごとに、アルコール・薬物・ギャンブル依存の専門医療機関を設ける実施要項を打ち出しているが、現実はお寒い限りである。

国立久里浜医療センターは、1963年に日本で初めてアルコール依存症専門病棟を設立したのを始めとして、2011年にはネット依存症、2013年ギャンブル依存の治療を開始し、依存症に関する専門病院だそうだが、ここに行けば完治する分けでも無いようだ。 

依存症の治療に患者同士の話し合いを重要視するNPO法人ダルクの組織も有名であるが、そこにおいても、本人の回復しようとする努力が不可欠で、この意識が無くなれば、元の木阿弥だそうだ。

カジノ解禁に際して、政府は依存症対策に万全を期すとしたが、どこまで責任を持てるであろうか。
2018.12.22(犬賀 大好-505)