去る、1月15日、群馬と長野県の県境付近でスキーバス転落事故が発生し、死者15名となった。原因は確定していないが、運転手の経験不足や業界の過当競争の要因が大きいらしい。
貸切バスの事業者は、2000年に規制緩和され、00年度の2864社から、12年度には4536社と激増した。しかし、12年に過当競争による運転手の過労が原因のバス事故が関越道において発生し、安全対策の強化が打ち出された。すなわち長距離運転には運転手2名の同乗を義務付ける等の規制である。これでは経費的に成り立たないとバス事業から撤退した企業もあったようであるが、13年度では4512社とのことであるから、24社が全体では0.5%が撤退したに過ぎなかった。相変わらず過当競争の根は残存したことに違いない。
ここ数年、外国人観光客の激増で、観光バスの需要が増え、ようやく貸切バス事業も安定経営が可能になったに違いないと内心思っていたら、どうもそうではないようだ。
12年のバス事故を契機に、運転手への安全研修や飲酒チェック設備にかかる費用を運賃に上乗せできる新料金制度が導入され、また距離によって決まる基準価格も設定され、無理な割引競争は無くなるはずであった。
また、東日本大震災からの復興事業における土木作業員の人手不足を始め、この業界でも運転手不足だそうだ。それであるならば、さぞかし運転手も大事にされ、給与も高くなっていると思っていたが、この点でも見当違いだったようだ。
観光バス業界の過当競争は、外国人旅行者の激増等でも緩和されていないようだ。先日のスキーバスも、減りつつあるスキー客を奪い合って、基準価格以下の値段が設定されていたとのことだ。安全のための基準価格を設定していても守られないのが日常茶飯事のようである。
おまけに運転手のなり手が居ないため、経験の浅い運転手も使わざるを得ない状況であったらしい。スキー客が少なければ、外国人旅行者向きに代えればよいと思うが、バス業界にも縄張りがあるのであろうか。それより、貸切バスの台数が絶対的に多すぎるとの背景があるのだろう。2002年のタクシーの台数の規制緩和に対しても、多くの業者が参入し過当競争となり、運転手の過労が問題となったことがあった。
過当競争にはリスクがつき物であるが、そのリスクを無視し、放っておけばそのうち需要と供給がバランスし、適正なところに落ち着くというのが、資本主義の経済原則であろう。先のバス事故の件でも、安全運転を軽視する会社と評判が立てば、客は敬遠し、結果バス会社は倒産し、業者数は減少することになるだろう。
このように、自由主義の経済原則の下では、自由競争に任せておくのが原則かも知れない。しかし、この経済原則に徹しきれず、国交省はタクシー台数の制限規制を始めた。これは、国交省とタクシー業界の癒着と見ることも出来るが、国民の声でもあるだろう。観光バスに関しても新たな規制を設けることになるだろう。2016.01.23(犬賀 大好-201)
貸切バスの事業者は、2000年に規制緩和され、00年度の2864社から、12年度には4536社と激増した。しかし、12年に過当競争による運転手の過労が原因のバス事故が関越道において発生し、安全対策の強化が打ち出された。すなわち長距離運転には運転手2名の同乗を義務付ける等の規制である。これでは経費的に成り立たないとバス事業から撤退した企業もあったようであるが、13年度では4512社とのことであるから、24社が全体では0.5%が撤退したに過ぎなかった。相変わらず過当競争の根は残存したことに違いない。
ここ数年、外国人観光客の激増で、観光バスの需要が増え、ようやく貸切バス事業も安定経営が可能になったに違いないと内心思っていたら、どうもそうではないようだ。
12年のバス事故を契機に、運転手への安全研修や飲酒チェック設備にかかる費用を運賃に上乗せできる新料金制度が導入され、また距離によって決まる基準価格も設定され、無理な割引競争は無くなるはずであった。
また、東日本大震災からの復興事業における土木作業員の人手不足を始め、この業界でも運転手不足だそうだ。それであるならば、さぞかし運転手も大事にされ、給与も高くなっていると思っていたが、この点でも見当違いだったようだ。
観光バス業界の過当競争は、外国人旅行者の激増等でも緩和されていないようだ。先日のスキーバスも、減りつつあるスキー客を奪い合って、基準価格以下の値段が設定されていたとのことだ。安全のための基準価格を設定していても守られないのが日常茶飯事のようである。
おまけに運転手のなり手が居ないため、経験の浅い運転手も使わざるを得ない状況であったらしい。スキー客が少なければ、外国人旅行者向きに代えればよいと思うが、バス業界にも縄張りがあるのであろうか。それより、貸切バスの台数が絶対的に多すぎるとの背景があるのだろう。2002年のタクシーの台数の規制緩和に対しても、多くの業者が参入し過当競争となり、運転手の過労が問題となったことがあった。
過当競争にはリスクがつき物であるが、そのリスクを無視し、放っておけばそのうち需要と供給がバランスし、適正なところに落ち着くというのが、資本主義の経済原則であろう。先のバス事故の件でも、安全運転を軽視する会社と評判が立てば、客は敬遠し、結果バス会社は倒産し、業者数は減少することになるだろう。
このように、自由主義の経済原則の下では、自由競争に任せておくのが原則かも知れない。しかし、この経済原則に徹しきれず、国交省はタクシー台数の制限規制を始めた。これは、国交省とタクシー業界の癒着と見ることも出来るが、国民の声でもあるだろう。観光バスに関しても新たな規制を設けることになるだろう。2016.01.23(犬賀 大好-201)