習近平中国国家主席は、米国オバマ大統領との会談に先立ち、最初の訪問地シアトルにて、「米中ビジネス・ラウンドテーブル」と称する会議に米中国経済人を大勢招き、米中の今後の経済発展を訴えた。マイクロソフト、アマゾン、アップル、IBM、アリババ等、米中の有名企業トップがこれだけ一堂に会するのは異例との話だ。習近平氏は、「中国経済の潜在力は巨大だ」、「外資の規制を大幅に減らして知財の保護を拡大する」と力説したとのことだ。しかし、インターネットにおける花形であるフェイスブック、グーグル、ツイッターのトップはこの会議に参加しなかった。この3社は中国での利用が厳しく制限されているか、通常のサービスが行えない状態なのだ。
中国経済の潜在力が巨大であることは間違いないだろうが、規制を大幅に減らすとの言はどうも信用できない。そもそも、米国は、“ネット空間は自由であるべき”を根本原則とするのに対し、中国は、“ネット空間にも国家の「主権」が存在し、国家の安全を守るための規制は必要である”との立場で、インターネットにおける対立は簡単に解けそうにない。
オバマ大統領と中国の習近平主席は9月末ワシントンで会談した。成果文書では、南シナ海問題、人権問題、アジアインフラ銀行には特に触れず、サイバー問題や経済分野で成果を述べているとのことだ。しかし、サイバー問題では両国政府は知的財産に関するサイバー攻撃を実行、支援しないとしたが、あくまでも表面上の約束で多分有名無実であろう。
今年6月に米公務員の膨大な個人情報がサイバー攻撃により流出したことが発覚したが、米政府は中国側が関与したと報道している。中国側は自分達こそ被害者と反論しているようだ。
サイバー攻撃とはインターネットの通信機能を悪用した犯罪行為のことであるが、このような技術に関し、中国の方が米国より勝っているとはどうしても思えない。何しろIT技術は米国発である。報道では中国側が米国をサイバー攻撃しているような報道が多いが、米国の方が探知技術や発覚されない攻撃技術で勝っているのではなかろうか。人間によるスパイ活動は今もって世界中で行われているようだ。サイバー攻撃はそれより有効なスパイ活動であり、おいそれと無くなるようには思えない。今後もっと手の込んだサイバー戦争へと進むのではなかろうか。
経済分野では、米中投資協定の交渉を加速するとしたが、米国にとってTPPの交渉の方が優先課題である筈だか、この妥結には難航しており、簡単には進むとは思えない。兎も角、習近平氏は国賓として米国を訪問したが、今回中国経済の回復や両国の緊張緩和への道筋は見出せなかったようだ。
米国と中国の関係がより親密になることは、日米同盟の価値が減る方向である。これで、集団的自衛権行使を容認する安保関連法案の価値が一段と高まったと内心喜んでいる人もいるであろう。(犬賀 大好-169)
中国経済の潜在力が巨大であることは間違いないだろうが、規制を大幅に減らすとの言はどうも信用できない。そもそも、米国は、“ネット空間は自由であるべき”を根本原則とするのに対し、中国は、“ネット空間にも国家の「主権」が存在し、国家の安全を守るための規制は必要である”との立場で、インターネットにおける対立は簡単に解けそうにない。
オバマ大統領と中国の習近平主席は9月末ワシントンで会談した。成果文書では、南シナ海問題、人権問題、アジアインフラ銀行には特に触れず、サイバー問題や経済分野で成果を述べているとのことだ。しかし、サイバー問題では両国政府は知的財産に関するサイバー攻撃を実行、支援しないとしたが、あくまでも表面上の約束で多分有名無実であろう。
今年6月に米公務員の膨大な個人情報がサイバー攻撃により流出したことが発覚したが、米政府は中国側が関与したと報道している。中国側は自分達こそ被害者と反論しているようだ。
サイバー攻撃とはインターネットの通信機能を悪用した犯罪行為のことであるが、このような技術に関し、中国の方が米国より勝っているとはどうしても思えない。何しろIT技術は米国発である。報道では中国側が米国をサイバー攻撃しているような報道が多いが、米国の方が探知技術や発覚されない攻撃技術で勝っているのではなかろうか。人間によるスパイ活動は今もって世界中で行われているようだ。サイバー攻撃はそれより有効なスパイ活動であり、おいそれと無くなるようには思えない。今後もっと手の込んだサイバー戦争へと進むのではなかろうか。
経済分野では、米中投資協定の交渉を加速するとしたが、米国にとってTPPの交渉の方が優先課題である筈だか、この妥結には難航しており、簡単には進むとは思えない。兎も角、習近平氏は国賓として米国を訪問したが、今回中国経済の回復や両国の緊張緩和への道筋は見出せなかったようだ。
米国と中国の関係がより親密になることは、日米同盟の価値が減る方向である。これで、集団的自衛権行使を容認する安保関連法案の価値が一段と高まったと内心喜んでいる人もいるであろう。(犬賀 大好-169)