日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

沖縄の将来を考える

2015年10月10日 08時50分30秒 | 日々雑感
 翁長沖縄県知事は、9月14日、名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消す方針を表明した。普天間基地は住宅地と近接し、世界一危険な空港と言われ、これを解消するため、新たに辺野古沖を埋め立てて飛行場をつくる計画である。普天間は米国海兵隊の基地である。海兵隊は海外での武力行使により、米国の国益を守る緊急展開部隊である。
 これに先立ち、仲井眞前沖縄県知事は、2013年暮、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立てを承認することを記者会見で表明した。その際仲井眞氏は、喜色満面に「今般政府から示されました沖縄振興策につきましては、県の要望に沿った内容が盛り込まれており、安倍内閣の沖縄に対する思いがかつてのどの内閣にもまして強いと感じたところでございます。」とTVで放映されたが、傍目ながらも、これは政治家として極めて拙いのではないかと感じた。
 案の上、年が明けた1月、沖縄県議会の本会議において、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立てを承認したことは公約違反だとして、知事の辞任を求める決議が可決された。
 この承認を手土産に引退する予定であったらしいが、予想外の展開に、2014年の沖縄県知事選挙には自民党の推薦を受け急遽出馬し、次世代の党からも推薦を受け選挙戦を戦ったが、翁長雄志氏に破れ、3選とはならなかった。
 先の暮の記者会見において、仲井眞前知事は苦虫を噛み潰したような顔をして、埋め立て承認は普天間の安全および沖縄の将来の振興の為、苦渋の選択である、と表明すればもう少し変わった結果になっていただろう。
 日本政府とすれば、是非は兎も角、普天間から辺野古への移転は米国との約束である。国と国の約束は守らなくてはならない。しかし、沖縄全体から見た場合、基地負担の軽減にはなっていない。新たに飛行場を建設した場合、何十年と固定化されるであろう。いくら振興資金を積まれたところで、基地から逃れることは出来ない。米国としては、冷戦構造が終わった現在、沖縄の重要さは大きく減った筈だ。海兵隊を沖縄に配置する是非は、米国でも様々な意見があるという。
 海兵隊は緊急出動部隊であるので、尖閣諸島に万が一中国軍が占拠するような事態になった場合、頼もしい後ろ盾のように思われる。しかし、そのような事態は可能性があるであろうか。
 米韓両国が朝鮮半島有事の際の軍事計画で、これまで想定していた大規模な地上戦から、ゲリラ・局地戦に力点をおくよう作戦計画を変化させているとのことだ。世の中どんどん変わっていく。尖閣諸島に争いごとが起こるとすれば、中国漁民の上陸等、些細なことから起こるであろう。そこで必要となるのは、まず外交努力である。海兵隊の緊急出動はあり得ない。グアムにいても、十分脅しにはなる。政府としても何十年か先の沖縄の将来ビジョンを示すくらいの努力をするべきである。(犬賀 大好-171)