森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

ハワイのマグロ哀歌

2012年10月13日 | 自然


先日の続きで、「ハワイ・フィッシュ&シーフード・フェスティバル」での出来事を簡単に紹介させていただきますね。

あるブースで、写真のようなマグロの図を展示していました。「アヒ(キハダマグロ)の漁獲最少サイズは変えられるべきか?」をテーマにした展示でした。主宰は西太平洋漁業マネージメント委員会で、1人の男性が熱心に人々の参加者の質問に答えていました。

私はこの展示を見てショックを受けました…。展示で勉強したことによると、現在ハワイでは3ポンド(1.4キロ足らず)のマグロから、捕獲OKなのだそうです。1.4キロというと、生後わずか8ヶ月、体長40センチ。まだ赤ちゃんですよ! もちろん、そのサイズでは性的に未熟。そう、生まれて、子孫も残さず、死んでいくだけ…(左端の絵)。そんな赤ちゃんアヒを、私ももしかしたら、喜んで食べていたのかもしれません。

それが生後19ヶ月になると体長70センチ、6.8キロに。このサイズの0.5%だけが繁殖できるそうです。ただし一度このサイズになるとほかの魚から襲われることも少ないため、以降、死亡率はグ~ンと低くなるそう。

生後26ヶ月では体長87センチ、13.5キロ。6%が性的に成熟。そして生後30ヶ月では体長102センチ、22.2キロ、25%が繁殖可能。これ以降、アヒは急激に大きくなり、生後32ヶ月で体長112センチ、27キロ、50%が繁殖可能なそうです。

キハダマグロはこの後、平均して135キロまで大きくなり、大きいものでは180キロにも及ぶそうですよ。しかも近年の調査の結果、ハワイで生まれたキハダマグロの大半は生涯、ハワイの海を離れないこともわかっています。

展示で訴えていたのは、簡略に説明すると、「ではなぜ、赤ちゃんマグロを獲ってしまうの? ハワイでしばらく成長した後、ほかの海に逃れてしまうわけではない。ここで生涯生きるのだから、大きくなってもらって、じゃんじゃん子供を残して、その後で魚屋さんに並んでもらってもいいんじゃないの? そのほうが消費者にとっても、益が大きいんじゃないの? キハダマグロがハワイの海から消えたら困るでしょ?」ということでした。

…これ、けっこう衝撃の内容でした。ものすご~く的を突いていたからです。私も日本人としてマグロは大好き。マグロ屋という和食店が繁盛するほど、ハワイでは一般にマグロの需要は高いですよね(同店がオープンした時、地元紙のフードライターが「それにしてもなぜマグロをフィーチャーするの? なぜサーモンとかじゃないの?」と書いているのを見て、私は嗤いました。アナタ、日本の食文化を全く理解してないのね、と)。

なので、たまにマグロを乱獲するな!とか、マグロの資源が危うい、なんて新聞で騒がれることがあると、私は憤ったものです。「何でもかんでも資源保護とかって…。マグロ漁を禁止したりしたら、日本人は怒るワヨ。これだけは譲れない」と…。

ですが今回このハワイの数字を見る限り、マグロの乱獲は本当だった模様…。生まれたての赤ちゃんマグロまで食べていたのじゃ、ハワイのマグロに将来はない! 巡り巡って、自分の首(腹?)を絞めることになりかねません。マグロの乱獲、反対~。捕まえてOKの最少サイズ、見直さなければなりませんね。

それにしても、日本ではどうなんでしょう。日本の規定はずいぶん違うのでしょうか? …どなたかもしご存知だったら、ぜひ教えてくださいね。

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