腕にヨリをかけて、ヨリを戻す、今は目にする機会も少ない『こより』のヨリ(撚り)
お蚕さんの吐き出すシルクもわたを紡ぐ綿糸や羊の毛糸も
“ヨリ”を掛けられてこそ扱いやすく丈夫で美しい
「糸・紐・綱・縄・ロープ」になります。
稲わらや草木など自然界にある天然繊維のほか
強度耐性の高い化学繊維や金属をふくめ素材もさまざま。
撚りのかかった糸紐が組み合わさって
より太く丈夫な綱・縄・ロープになるのですが
撚り数、撚りの向き(左右)、撚った糸の組み合わせなどにより
風合いや肌触り、光沢も伸縮性もちがう多種多様な製品になるとか…
身の回りのヒモ類もつい「どっち撚り?」と目を凝らしてみれば
慣れ親しんだ『くらふとバンド』はコヨリが互い違いに接着してありました。
正月に飾る「注連縄(しめなわ)」は自然の産物である稲藁を
“縄に結い道具化する”行為を神聖の証とし奉るのだそうです。
穂が着く前の稲を刈って青さを損ねないよう保管
干した葉や茎をしめらせ丁寧にワラ打ちし
手のひらですり併せ撚りをかけつつ
互いに撚りあわすのが縄綯い。
最近の高級しめ縄は
「フラワーコンシェルジェ」作となってて驚きです。
『縄』と『綱』の違いはと問えば
縛るか引くか繋ぐかの使い道の違いとか太さの違いとか
納得のいく確かな仕分けも見当たらず
所有権を主張する『縄張り』、捕り物帖の『お縄』
プロレスのロープ・ブレイク
ボクシングのロープ・ダウン
縄綱ロープをめぐる用語や
まつわる話ウンチクは数多くありそうです。
船舶を陸につなぐモノは
係留ロープ、舫いロープ、ともづなとも呼ばれ
容赦ない太陽紫外線と風雨塩害に
年がら年中さらされ酷使されています。
ウチのもそろそろ換え時と
丈夫なナイロン製8つ打ちロープを準備
舫いやすいよう片端を輪にする方法を教えていただきました。
左右しっかり撚りの掛かった
8本のヒモがうねうねと組まれ
太さ16㍉にもなった頑丈なロープを
いったんほぐし再度差し込んでアイ加工。
うら若き先生の懇切丁寧な解説にもかかわらず
額に8を寄せ汗をかき
8つ当たり気味に綱と格闘する講習会はタダナラヌ雰囲気
周囲からは岡目8目やんやの助言声援その他
ようやくできあがったごっついアイスプライスに
喜びひとしお、教えていただいた女史に感謝深謝です
“擦れ止め”のラインガードに艇名までいれて
初の自家製舫いロープに“思い入れ”たっぷり
船の舫いは固定や保護、安全確保のためであり
けっして愛艇のなわばりや
所有権を主張するためのモノではありません
大海に向けて“ともづなを解く”のはいつのことでしょう。(R)