で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2131回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ヴィーガンズ・ハム』
切羽詰まった肉屋の夫婦が奇妙なハムづくりをはじめるブラックコメディ。
監督・主演はコメディアン出身のファブリス・エブエ。
共演は、『私は確信する』のマリナ・フォイス。
物語。
結婚して30年になる肉屋の夫婦ヴィンセントとソフィーは、結婚生活も家業の経営も危機に陥っていた。
ある日、店がヴィーガン(菜食限定主義)活動家たちに荒らされて、落ち込む。
友人の大規模肉や経営泳者の家に行った帰り。
ヴィンセントは、店を襲った犯人の一人を見つけてしまう。
脚本(と会話)は、ファブリス・エブエ、ヴァンサン・ソリニャック
出演。
ファブリス・エブエ (ヴェンセント・パスカル)
マリナ・フォイス (ソフィー・パスカル)
ジャン=フランソワ・ケレ (マーク・ブラッチャード)
ヴァージニア・ホック (ステファニー・ブラッチャード)
リサ・ドゥ・コート・テクシラ (クロエ・パスカル)
ヴィクター・ミュートレット (ルーカス)
ロビー・シュナージ (アレクサンドレ)
スタッフ。
撮影:トーマス・ブレモンド
プロダクションデザイン:マーマル・エク=チェイック
編集:アリス・プランティン
音楽:ギヨーム・ルーセル
『ヴィーガンズ・ハム』を鑑賞。
現代フランス、切羽詰まった肉屋の夫婦が奇妙なハムをつくり出すブラックコメディ。
香港映画お得意だった人肉ものを夫婦と主義のホラーコメディに。
定番の要素の配分が絶妙。コメディの見せ方が表情とか態度なのがまたいいんですよ。ネタも突飛さはほぼなく、下ネタも少なめで、まっすぐなネタで見に来たものを見せてもらって満足。
合わない人はドン引きでしょうけどね。
監督と共同脚本と主演はコメディアン出身のファブリス・エブエ。自分の笑いのかみ合わせで、きゅぽんという嵌り具合でちゃんと喜劇俳優の技を見せてくれてます。
『私は確信する』のマリナ・フォイスが、物語を牽引して、アクセルを踏みまくる。周りのキャストがキャラで作りつつ、演技は適度なバランスで、ちゃんとコメディになっていて、いいのよ。コント的じゃないんですよ。
撮影も明るく、コメディを通す。
なにより、造形物が素晴らしく出来がよいので、リアルな上にきちんと美味しそうなんです。これはコワい。だって、食べて見たくなるんですから。
映画見た後は、ちょっとお肉を食べるのがはばかれる方と、食べたくなる方に分かれるかと。
ハムは邦題で、普通に生肉です。原題は『バーベキュー』ですし。捻りを感じる邦題で好きですけどね。
最後も安心の展開なので、ブラックコメディに大事な常識人による目があります。
彼らの目で世界を見たら鮮やかになる焼作。
おまけ。
原題は、『BARBAQUE』。
『バーベキュー』。
英語題は、『SOME LIKE IT RARE』。
『レアがお好き』。
2021年の作品。
製作国:フランス
上映時間:87分
「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2022」(2022年10月21日~11月10日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか)上映作品。