で、ロードショーでは、どうでしょう? 第998回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ガール・オン・ザ・トレイン』
ポーラ・ホーキンズの同名ベストセラーをエミリー・ブラント主演で映画化したミステリー・サスペンス。
離婚の悲しみから立ち直れずにいるアルコール依存症のヒロインが、通勤電車から眺めていた“理想の夫婦”を襲った衝撃の事件に次第に巻き込まれていくさまをミステリアスに描く。
監督は、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』、『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』のテイト・テイラー。
物語。
愛していた夫トムと離婚し、友人の家に居候しているレイチェル。
未だに心の傷は癒えず、アル中になった彼女は、鞄の中にお酒を忍ばせ、通勤電車から見える一軒の家に住む“理想の夫婦”の姿に慰めを見出していた。
その家の近くには、かつて彼女がトムと暮らしていた家もあった。
今はそこに、トムは新妻アナと生まれたばかりの娘と住んでいた。
そんなある日、いつものように車窓から“理想の夫婦”を眺めようとしたレイチェルは、思いがけず妻の不倫現場を目撃してしまう。
激しいショックで混乱するレイチェルは、思わずその家へと歩き出していた。
ところが、彼女が、突然、目を覚ますと、自分の部屋で頭から血を流し、血まみれのシャツのまま、倒れていた。アルコールによって、記憶が抜け落ち、慌てて、風呂で洗い流す。
その後、彼女が理想の妻と思っていた女性メーガンが行方不明になり、彼女を刑事が訪ねてくる。
原作は、ポーラ・ホーキンズ 『ガール・オン・ザ・トレイン』(講談社文庫刊)
脚本は、エリン・クレシダ・ウィルソン
出演。
エミリー・ブラントが、アル中のレイチェル。
エミリー・ブラントはいつもながらの素晴らしさといえども、この弱さを見せる芝居は最近の彼女では珍しく、あおのとりつかれた感じに説得力はさすがの一言。
ヘイリー・ベネットが、理想の妻のメーガン。
彼女の、玄妙さがこの映画の肝。
独特の容姿もミステリアスでいいよね。
レベッカ・ファーガソンが、新妻のアナ。
アメリカンビューティのこわさ。
ジャスティン・セローが、元夫のトム。
ルーク・エヴァンスが、理想の夫のスコット。
巧いんだけど、こういう役だとそのままでもある。
エドガー・ラミレスが、カウンセラーのカマル。
アリソン・ジャネイが、ライリー。
リサ・クドローが、上司の妻のマーサ。
ローラ・プリポンが、キャシー。
ほかに、ダーレン・ゴールドスタイン、など。
スタッフ。
製作は、マーク・プラット。
製作総指揮は、ジャレッド・ルボフ、セリア・コスタス。
撮影は、シャルロッテ・ブルース・クリステンセン。
独特の視点を見せる撮影が、適格かつ絶妙です、。
音楽は、ダニー・エルフマン。
すごく、ナインインチネイルズというかトレント・レズナーっぽいです。
ある繋がりを持つ女3人が、一つの殺人事件でさらに繋がっていく物語。テイト・テイラーが女心を突き落とす。
アル中で自分が人を殺したかわからない記憶欠損状態の壊れかけの女性をエミリー・ブラントが炭を赤々と灰色に燃やす。
ラストの衝撃は過剰宣伝だけど。
映画文法の使い方、視点撮影の技、マーキングされた芝居の面白さがきっちりとある優作。
おまけ。
原題は、『THE GIRL ON THE TRAIN』。
最近のアメリカでは"ガール"とついたタイトルが受けるそうですよ。
『ゴーン・ガール』とか。
上映時間は、113分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、PG12。
キャッチコピーは、「人はひとを殺したことを忘れられるのか?」
ネタバレ。
元夫が犯人なのは、記憶違いがなければ、よくある自分の周囲3mの中でのサスペンスなので、もっと早い段階で見せてもよかったのかも。
記憶違いの方を衝撃のどんでん返しにしたらどうだったろうか。
でも、このサスペンスの質の高さはなかなかないですけどね。