菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

最強のダイジェストを新視点で。 『THE FIRST SLAM DUNK』

2022年12月25日 00時00分54秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2163回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『THE FIRST SLAM DUNK

 

 

 

少し前の日本、ある高校バスケ部の全国大会で最難関の試合とあるメンバーの思いを描くスポーツ・ドラマ・アニメ。

 

1990年に<週刊少年ジャンプ>連載開始、1993年にテレビアニメが大ブームとなった井上雄彦のコミック『スラムダンク』を、新たな視点に加えて描く。

セルルックのCGを駆使し、誰も見たことのないスラムダンクが誕生した。

 

原作者の井上雄彦が、脚本と監督を務めた。

 

 

物語。

過去。
沖縄で、宮城リョータは、バスケ部のレギュラーをとるために、兄ソータに習っている。

現在。
湘北高校バスケ部の全国大会で最難関の試合が始まった。

 

 

声の出演。

宮城リョータ  (仲村宗悟)

三井寿  (笠間淳)
流川楓  (神尾晋一郎)
桜木花道  (木村昴)
赤木剛憲  (三宅健太)

安西光義  (宝亀克寿)

木暮公延  (岩崎諒太)
赤木晴子  (坂本真綾)
水戸洋平  (小林親弘)
高宮望  (こばたけまさふみ)
野間忠一郎  (松田健一郎)
彩子  (瀬戸麻沙美)

 

 

スタッフ。

アニメーション制作:東映アニメーション、ダンデライオンアニメーションスタジオ
演出:宮原直樹、北田勝彦、大橋聡雄、元田康弘、菅沼芙実彦、鎌谷悠
プロデューサー:松井俊之
アニメーションプロデューサー:西川和宏

キャラクターデザイン:江原康之
作画監督:江原康之
サブキャラクターデザイン:番由紀子
CGディレクター:中沢大樹
CGプロデューサー:小倉裕太
美術監督:小倉一男
美術設定:須江信人
色彩設計:古性史織
撮影監督:中村俊介
編集:瀧田隆一
音楽:武部聡志、TAKUMA (10-FEET)
音楽プロデューサー:小池隆太
音響演出:笠松広司
オープニング主題歌:The Birthday『LOVE ROCKETS』
エンディング主題歌:10-FEET 『第ゼロ感』
録音:名倉靖
モデルSV:吉國圭
BG/プロップSV:佐藤裕記
R&D/リグSV:西谷浩人
アニメーションSV:松井一樹
エフェクトSV:松浦太郎
ショットSV:木全俊明
キャスティングプロデューサー:杉山好美
2Dプロデューサー:毛利健太郎

 

 

『THE FIRST SLAM DUNK』を鑑賞。
少し前の日本、ある高校バスケ部の全国大会で最難関の試合とあるメンバーの思いを描くスポーツ・ドラマ・アニメ。
バスケのIHの一試合を見せながら、回想を挟むスタイル。
あー、名セリフってやっぱ力あるよな、と思い出させる。
1990年<週刊少年ジャンプ>で連載開始、1993年にテレビアニメが大ブームとなり、世界中で知られる漫画『スラムダンク』を、新たな視点で、作者である井上雄彦が自ら、脚本と監督を務めて、描き出す。(大友克洋、宮崎駿、安彦良和、手塚治虫と並ぶ偉業)
試合部分は原作をなぞり、回想は宮城リョータが主軸(読切作品『ピアス』の設定を取り入れられている)にし、他の人物の過去も描かれる。だが、それにより、元の主人公的な人物の部分のエピソードの見せ場における濃淡にひっかかるところが生まれてはいる。
原作の記憶があることでそれは補われるので、原作を知らないで見る方とは結構違うものに見えるであろう。
なにより、セルルックのCGを駆使し、スポーツアニメにありがちな間延びをかなり減らし、実際の試合のような展開と動きを見せる、これぞ誰も見たことのない新しいスポーツアニメだ。
すっげーのは、漫画を見ていた時に脳内で感じていた動きが目の前で再現されていること。
この漫画のままの絵が動く。これは『AKIRA』以来の衝撃だ。その方向性は違うが、あの影響力を今後及ぼすのとさえ思わせる。
実際のスポーツでは、このカメラワークは出来ないので、実写のスポーツドラマとかに影響を及ぼしそうな予感。今後のアメリカ映画に影響を与える可能性は高い。(『クリード3』は、アニメの『はじめの一歩』や日本のボクシングアニメを参考にした、と監督マイケル・B・ジョーダンが発言)
音楽もどちらかという90年代的な使い方で、この時代のそれを浴びてきたこれが俺の快感原則にの取ったルールだというような力強さがあり、スポーツの高揚感も出ている。(ちょうど海外における80,90年代ブームの方向性とも合致する)
この統一感こそ、監督の仕事。これが今の日本の商業実写映画でか欠けているものでもある。
物語の構成力もその作家力が存分に発揮されており、内容的には3時間くらいかかるものを約2時間に収めている。これがスピード感にもなっている。
スポーツの途中で回想に入ることで、速度感が切れることも少ないのもその試合の速度が見ているだけで軽い疲労さえもたらすものであるからだと考えられる。この構成は、アメリカ映画『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』でも採用していたが、こちらは野球なので試合中に止まるところがあるうえ、中年男の人生なのでたっぷりとドラマが描かれる。
特筆すべきはその映像のタイム感で、リアルスピードとスローモーションの可変が絶妙であることは音楽のようなもので、本能的才能のなせる業とも言える。ザック・スナイダーなどが、この感覚を天才的持っているが、これを操れる人は世界でもかなりレア。
音は今の日本の映像界の限界を感じる部分も時折ある、大きな部分ではセンスが光るが、ここまでできているならもっと厚みが欲しかったところはある。海外作品と当たり前のようにそこを並べて評価基準におけるだけでも驚異的。日本実写映画はここがどうしても弱いので。(職人的技巧だけでは届かないものがある)
今作ならではの音の使い方もあり、そこでも世界と戦っているのが伝わる。
アニメとゲームだけが日本の映像技術を支えてくれていると言わざるを得ない。(それでも実写邦画も年に数本は気を吐いてはいるけれど)
アニメがもつ、その全てにつくり手の作意が入っているというところに現代は商業映画でも可能になりつつある。CGはツールとしての無限の可能性を持っている。(『アバター2』もそれを示す)
と、いろいろゴタクを並べてきたが、なんつったって、今作はスポーツの運動的興奮、試合観戦の体験としても圧巻なんよ。筋書きのないドラマであるスポーツと対抗する筋書きのあるドラマの力を浴びる。
スクリーンの大画面は試合で燃えるアスリートたちのオーラの具現化とも見える。
これこそホントの応援上映したくなるでしょ。
劇場でも、思わずであろう「よっし同点」などの声がちょっと漏れ聞こえてましたよ。
がんばってる人の名前呼ぶだけで、人ってエネルギーが出入りするものよ。
「行けェー、リョータっぁぁーーーー!!!」「みっつっい! みっつっい!」「ナイスガッツっゥ! 花道ィィィぃぃ!!」「ゴぉリ!ゴぉリ!ゴぉリ!」「そこだぁー流川ぁあああああああ!!」と心の中で叫ぶ。
「声出して行こぉー!」な気分の玉作。

 

 

 

おまけ。

題名は、『THE FIRST SLAM DUNK』。
『最初のスラムダンク』。


2022年の作品。


製作国:日本
上映時間:124分
映倫:G

 

 

漫画家が自分の原作を自分で監督と脚本を担当してというのは、大友克洋が達成したことでもある。
『AKIRA』の作画や演出は驚異的だった。今作はこれを引き継いだとも言える。
ただその先人は、手塚治虫。
アニメ界ではいろいろ悪名もあるが、日本のアニメ自体は漫画家が切り開いてきた道とも言えなくもない。(特にテレビアニメ)
そして、宮崎駿もその一人。アニメ作家による漫画というところはあるが、自身の漫画を原作(『風の谷のナウシカ』、『紅の豚』)にして、日本アニメ映画の質を向上させていった。
これにはもう一人、安彦良和も挙げたい。自身の原作による『アリオン』や『ヴィナス戦記』の質において、アニメ史上に残るレベルの高さを残している。アニメーター出身で、『機動戦士ガンダム』などの作品での仕事でも知られているが、漫画業においても漫画に残る多くの業績を残している。
その点では、『AKIRA』が1988年公開に対して、『アリオン』は1986年公開なので先駆者とも言える。(永野護などもいますね。アニメ界から漫画家に転身や兼業は当たり前になる)
『AKIRA』でも安定しきれなかった作画を『スチームボーイ』でCGでも発展させ、『FREEDOM-PROJECT』はまんまセルルックCGでその絵の再現が行われた。(ただし、これは監督はつとめていない)(『AKIRA』は現在、CGアニメ映像化も進行しているそう)
『THE FIRST SLAM DUNK』はそれらの先人の偉業と比べても、作画に関しては凌駕するレベルを達成している。だが、わずかにCG感の硬さや、顔のバランス(流川の顔など)でほんのちょい気になるところはある。観客の処理はあえてだろうとは思うけど、声援などの要素が薄い。




映画『THE FIRST SLAM DUNK』

 

 

映画『THE FIRST SLAM DUNK』スラムダンクチケット予約サイト

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The Movie THE FIRST SLAM DUNK

映画『THE FIRST SLAM DUNK』公式 on Twitter:

スラムダンク映画化、 タイトルは『THE FIRST SLAM DUNK』に決定 新ポスターも公開 – Basketball Press

 

 

ややネタバレ。

OPのカッコよさたるや、しかもそれだけでなく、漫画からアニメにしたという転換も示していると思われる。

 

 

 

 

 

ネタバレ。

原作では、これが最終戦で、IH第2回戦・山王工業高校に勝利した後、次の試合は湘北高校は敗北している。

 

ただ、現代として見ると、怪我している選手を出すなどの危ない描写をドラマチックだとして残していることには、それを指導者が言うことも、影響を受けやすい子供たちもいると考えると気になる。

 

流川楓の存在が薄く、今試合とドラマで負うものがかなり大きいのだが、そこを描き切れていない。

 

井上雄彦による細かい絵の修正がほぼ全カットにあるそう。それは恐ろしい数で、井上雄彦自身が、意図を伝えるための絵を描かねばならないため、あの驚愕の画力が、さらに上がったと実感しているそう。

 

無音演出は原作漫画あってこそで、これぞ原作を映画に置き換えるということの演出。

 

口元を見せ、声が聞こえないのに、観客の頭の中に浮かぶ「左手は添えるだけ」はまさに映画的演出。

 

 

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2 コメント

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Unknown (denkihanabi)
2023-04-04 21:29:09
私は「スラムダンク」は一回通して読んだだけで、面白いのは知ってるけどファンではない。それがよかったですね。すげーーーーーカッコいい!最初から最後まで。アニメってすごいなって思いました。これ実写じゃ無理だなと思う。こんなバスケうまい役者いないから。NIKEのCMはすごい映像でサッカーを撮ったりするが、あれは本物の超一流アスリートだからね。ロナウドだから。メッシはアディダスだったかもだが。アニメだからこそできたスポーツ映画の大傑作だと思います。ハリウッドに影響を与えたでしょうね。サッカー版が見たい。「ゴール」って映画があったけどぜってー「スラダン」が上ですね。若者は「ザファ」って呼ぶらしい。
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3Dアニメの新時代 (ひし)
2023-04-06 18:16:06
マジでカッコよかった。

この激しさに、あの回想の入れ方ができるのは、なかなか出来ることじゃあありません。
 
3Dアニメの新しい方向を示しましたね。
これは、確実に3年後、アメリカとかでこれに対抗した、アメリカンフットボーや、サッカーの映画が出てきますね。
先に中国でカンフー映画が出てくるかも。
はやそうなのは、『少林サッカー』のアニメ版とかかも。
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