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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

仏蘭西ヤベンジャーズ。 『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』

2022年08月14日 00時00分38秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2097回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

 

『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』

 

 

 

記憶喪失でスーパーヒーローだと思い込んだ売れない俳優が勘違いミッションに挑むコメディ・アクション。


『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』、『真夜中のパリでヒャッハー!』のフィリップ・ラショーが、監督・主演を務めて贈るハリウッドのアメコミ・ヒーロー映画を材をとった下ネタ満載のパロディ・コメディ映画。

 

共演は、ジャン=ユーグ・アングラード、仏版『シティハンター』のエロディ・フォンタン。

 

 

物語。

セドリックは、警察署長の父を見返そうと俳優業に邁進するが、目下の代表作はコンドームのCM。その上、彼女にもフラれ、トレーナーの妹の家に転がり込んでいる始末。
そんな彼にチャンスが巡ってきた。低予算のマスクのスーパーヒーロー映画『バッドマン』の主役に抜擢されたのだ。
厳しいトレーニングを重ね、迎えた撮影初日。
撮影はおおむね順調に進んだが、父が宿敵スキゾに襲われ、病院に運ばれたとの報せが入る。今際の際に間に合わんとセドリックは、衣裳を着たままバッドモービルで病院へ。
しかし、道中、事故に遭い、記憶を失ってしまう。

脚本:フィリップ・ラショー、ピエール・ラショー、ジュリアン・アルッティ、ピエール・デュダン

 

 

出演。

フィリップ・ラショー (セドリック・デグモン/バッドマン/ダンドン)

ジュリアン・アルッティ (セブ)
タレク・ブダリ (アダム)
エロディ・フォンタン (エレオノール・デグモン)
ジャン=ユーグ・アングラード (ミシェル・デグモン)
アリス・デュフォア (ローレ)

シャンタル・ラドソウ  (プロデューサー)
ジョージ・コラフェイス (アラン・ベルモン/ピエロ)

アムール・ワケド (スキゾ)
ブラヒム・ボーレル (ジミー)

 

 

スタッフ。

製作:フィリップ・ラショー、ジュリアン・デリス、ダヴィド・ゴキエ

撮影:ヴァンサン・リシャール
編集:アントワーヌ・ヴァレイユ
音楽:マキシム・デプレ、ミカエル・トルディマン

 

 

『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』を鑑賞。
現代フランス、記憶喪失でスーパーヒーローだと思い込んだ売れない俳優が勘違いミッションに挑むコメディ・アクション。
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』、『真夜中のパリでヒャッハー!』のフィリップ・ラショーが、監督・主演を務めて贈るハリウッドのアメコミヒーロー映画に材をとった下ネタ満載のパロディ・コメディ映画。
パロディ映画で大事にして欲しいのは元ネタへの愛情と敬意。今作、これがあるのがわかる。『シティハンター』の時もそうでしたけど、カメラワークや音楽ネタの使い方、ネタの選び方にも、それがにじみ出てます。ラショーが『シティハンター』で鍛えた体を、さらに仕上げているとこでも感じます。フィクションで肝要なのは説得力なんです。そうそう、アメコミヒーロものが大事にしているヒーロースーツもきちんと作り込んでいる辺りにも。実は。パロディの方がセンスが重要なのです。
あと、スーパーヒーローだと思い込むのも、記憶喪失になったんで、すぐにではなく、いくつも用意してというシナリオの丁寧さが、このチームの作品を信用できるところ。
メインキャストはラショー含むコメディチームなので、容赦がないのがいいです。仏版『シティハンター』のエロディ・フォンタンがスパイスで、ヒロインには『アリバイ・ドット・コム』にも出ていたアリス・デュフォア(アリス・デュフール表記も)で息もばっちりな上、バレエダンサーだったので動きのキレがいい。映画的コメディだと映える。そこにジャン=ユーグ・アングラードが話の肝をばっつり、笑いもきっちり。『エスケープ・フロム・L.A.』のジョージ・コラフェイスがジョーカーばりのピエロを熱演ならぬ冷演し、底割れさせずに笑いをむすっと下支えする。こういう渋い芝居がパロディを安くさせないんです。このバランス大切。日本だと内輪の方向が出がちですが、それを出さないのがいいのよね。
元ネタは、やっぱリマーベル多めですが、DC系や、『マトリックス』なんかも。
パロディだけど、大人の笑いなのは、フランスが風刺のお国柄だからなのかな。下ネタも多めですが、手慣れたもので下品ラインのぎりぎりで留まる。(『シティ・ハンター』の下ネタは下品より)
このタイプの映画の撮影はどの国もやや安っぽい感じになりますね。上質な喜劇だと、美しい撮影ってのもありますが。笑えなくなるからでしょうね。(F・F・コッポラが、ウディ・アレン作品を、画面が美しすぎて笑うのを忘れてしまうと評していたことも)
ギャグ系の映画独特の撮影作法ってのがある。足切り構図とか、平面配置とか。
ダンドンが七面鳥だと知っておくといいかも。他にもちょいちょい出てくる鳥ネタもなんかのパロディなのかな。
なかでも、アベンジャーズと掃除機のネタが最高。ローレとのくだりが好みです。ちゃんと心地よい感じで終わらせてくれるのもラショー映画の強みよね。西洋喜劇はきつい終わりも少なくないので。
これぞ、安心設計の喜劇映画。テレビのバラエティっぽくしちゃダメなのよ。
背後から出たり入ったりする棒作。

 

 

 

 

おまけ。

原題は、『SUPER-HEROS MALGRE LUI』。
『僭越ながらスーパーヒーロー』。

「史上最低」という副題はスーパーヒーローというよりはパロディ映画の雰囲気の方にかかっている感じ。

 

2021年の作品。

 

製作国:フランス / ベルギー
上映時間:83分
映倫:G

 

配給:アルバトロス・フィルム  

 

 

dindon(デンドン)は、①雄の七面鳥、②だまされやすい間抜けな男、の意味。
セドリックのファミリーネームが、デグモンなので、そこもかかっているのではないかと。
七面鳥は首にひだがありタプタプしているので、ぽっちゃりさんを揶揄して言ったみたいですね。

これは推測ですが、BAD(バッド)は「悪い」ですが、BADMANはフランス発音だとの「鳥男」に聞こえるのではないかと。で、鳥ネタが多いんじゃないかな。

 

フィリップ・ラショー、ジュリアン・アルッティ、テレク・ブダリ、エロディ・フォンタンは、コメディグループ<La Bande à Fifi(フィフィ楽団)>のメンバー。(フィフィは、愛人タイプの女性、頑張り過ぎてるおばさん、古いステージネーム、犬の名前のイメージだそうです。日本だと「モモちゃん楽団」や「ミミちゃんバンド」てな感じですかね)

このチームの映画だと『アリバイ・ドットコム』がオススメ。

 

フランスの笑いには、エスプリなんてのもありますね。

エスプリは、フランス語のespritの音写。英: spirit(スピリット)、独: Geist(ガイスト)などに相当。精神、霊魂などの意味(例: Saint-Esprit は、キリスト教の「聖霊」の意。)の他、心のはたらき(知性、才気、ウィットなど)の意味もある。つまり、批評精神に富んだ軽妙洒脱で辛辣な言葉を当意即妙に述べる才のこと。その短い言葉は発言者、場所、時間から独立しうる。ラテン語の spiritus (空気・風の一吹き、息吹き) を語源とし、「湿気」を語源とするユーモアと違って、乾いた知的な営みで鋭い武器となる。
物質(Fr:matière,マチエール )と対比される。マチエールと違って「エスプリ」と日本語で使用するときは「フランス的精神」といった風にフランス人の国民性を反映した精神をさす用例が多い。(wikiより)

このエスプリで戦うパトリス・ルコントの映画『リディキュール』なんてのもあるくらいで。
余談ですが、パトリス・ルコントも初期にレ・ブロンゼというコメディチームとの映画で有名になったのでした。

 

フランスの艶笑話は、13世紀頃からあるジャンル【ファブリオ】がルーツにあるようです。これは庶民が主役となる「性」にまつわるあけすけな笑い話のこと。中には権力者を笑ったり、人々の愚かさを面白く描いたりした作品もあります。本来はタブー視されているような「売春」「不倫」「聖職者の性」。また「死」や「糞尿」などについても、陽気に笑い飛ばしているところが、大きな特徴だそう。

 

Super-héros malgré lui 動画配信

 

 

 

 

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Super-héros malgré lui (2021) - IMDb

Super-héros malgré lui (2021) - IMDb

 

 

ややネタバレ。

原語では、ピエロではなく、クラウンになっている。

 

マーベルの元ネタを知らないと笑えない、ビジュアルネタも多い。
ミスティークネタとか、『ローガン』ネタとか、スタン・リー風おじさんとか。

柱を壊すのは『マトリックス』ネタ。あれもスーパーヒーロー映画ですものね。

 

史上最低のスーパーヒーローは、『ハンコック』、『スーパー!』、『MIBⅡ』、『ディフェンドー 闇の仕事人』、『キックアス』あたりを挙げたい。

 

コンドームとマスクをかぶるのが重ねられているのだと思われる。

 

劇中の監督は、セドリック押しだったし、きちんと訓練して体を鍛えているし、コンドームのCMもやり切っていることから、セドリックはいい俳優なのだろう。だからこそ、記憶を失くしたときにスーパーヒーローなのだと思い込む。
思い込むのも、ありがちにすぐにではなく、人形、金、スーツ、新聞、映像といくつも用意することで、ようやく思い込むのが、ラショーのチームの信じられるところ。

 

 

 

ネタバレ。

ローレがセドリックをフったと周りは思い込んでいたが、セドリックが言うように、彼がローレを振ったということだった。

ローレは、セドリックの股間への反応がまるで初めてみたいな字幕になっているが、原語でもそんな雑なセリフだったのだろうか。
だから、キスしてもそんなに気にしてないのに。

 

元はスパイ映画のパロディで、俳優がスパイカーで事故を起こし、スパイだと思い込む、というプロットだったが、検討の結果、スーパーヒーロー映画のパロディに変更したそう。

 

 

 

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