【俺は好きなんだよ】第1595回
『高地戦』(2011)
原題は、『고지전』。
『高地戦』。
英語題は、『The Front Line』。
『前線』。
製作国:韓国
上映時間:133分
映倫:PG12
配給:ツイン
スタッフ。
監督:チャン・フン
脚本:パク・サンヨン
撮影] キム・ウヒョン
照明:キム・ミンジェ
音楽:チャン・ヨンギュ,タルパラン
美術:リュ・ソンヒ
武術チーム:チョ・ミョンヘン
出演。
シン・ハギュン (カン・ウンピョ 中尉 防諜隊)
コ・ス (キム・スヒョク 中尉 ワニ(鰐)中隊)
イ・ジェフン (シン・イリョン 大尉 ワニ(鰐)中隊)
リュ・スンス (オ・ギヨン 中士 ワニ(鰐)中隊)
コ・チャンソク (ヤン・ヒョサム 上士 ワニ(鰐)中隊)
イ・デビッド (ナム・ソンシク 2等兵)
リュ・スンニョン (ヒョン・ジョンユン 人民軍)
キム・オクピン (チャ・テギョン 人民軍 狙撃兵 2秒)
チョ・ジヌン (ユ・ジェホ 大尉 新任中隊長)
チョン・インギ (イ・サンオク ワニ(鰐)中隊)
パク・ヨンソ (ファン・ソンチル 人民軍)
チェ・ジョンウ (チェ大領 特務部隊長 崔勇)
チョン・ググァン (連隊長)
キム・ガンイル (人民軍 大隊長)
ハン・スンド (ポハン(浦項)中隊長)
カン・ヨング (聯隊作戦参謀)
イ・ハラム (ケイマンの女の子)
イ・ドンハ (ケイマンの男の子)
イ・スンジュン (パンムンジョム(板門店)韓国軍代表)
イ・ソンミン (パンムンジョム(板門店)北朝鮮軍代表)
Ron Roman (パンムンジョム(板門店)連合軍代表)
物語。
1953年朝鮮半島。
1950年6月に始まった朝鮮戦争は停戦協議が難航し、泥沼化していた。
最前線では南北両軍が、いつやって来るかも分からない停戦の日を睨みつつ、境界線の高地を巡って、幾多の犠牲もいとわず互いに奪い合う地獄の高地戦が繰り広げられていた。
ある日、その高地の前線に、ある進言のせいで、韓国防諜隊中尉カン・ウンピョが送られてくる。
人民軍の内通者がいるとの疑いがあり、その調査も命じられての配置換えだった。
彼はそこで、冷徹な戦争マシンと化したかつての戦友キム・スヒョクと再会を果たす。
朝鮮戦争の休戦を目前にして、領土1cmのために何十回も占領軍が変わる激しい前線の戦闘<高地戦>での韓国の英雄部隊の鰐隊の日々の戦争アクション・ドラマ。
監督は、『映画は映画だ』、『義兄弟 SECRET REUNION』、『タクシー運転手』のチャン・フン。
主演は、『マイ・ブラザー』、『トンマッコルへようこそ』のシン・ハギュンと『復讐のトリック』、『天命の城』のコ・ス。
共演は、『金子文子と朴烈(パクヨル)』のイ・ジェフン。
ほかに、キム・オクピン、リュ・スンリョン、リュ・スンス、コ・チャンソク、イ・デビッド、チョ・ジヌンなどの豪華キャストが名を連ねた。
韓国戦争映画の代表作。
『プライベート・ライアン』や奥の戦争映画をを研究し、しっかりと取り入れ、ベタをきっちりと見せ切るのは、独自の人物描写とエピソード。
まさにシナリオの勝利で挿話と構成力は戦争映画として、群を抜いている。
とそれをこってりにし過ぎない演出のバランスがよい。
シャレードの使い方はお手本クラス。
戦闘の激しさとドラマで盛り上げる。
戦争シーンはかなり力が入っており、うまく戦闘シーンを見せている。
肉体破損などのリアルもかなりの出来。
そこに裏打ちされたぎりぎりの生死の判断と戦争の恐ろしさを見せつける。
視点の置き方が巧みで、それにより、戦争の見え方が変わる。
もっと映画化された内戦の悲しさは、作劇に深みを与えた。
なんといっても、スヒョク中尉の描き込みが素晴らしい。
1時間30分を過ぎた辺りからの展開にこそ、この映画の真骨頂が現れる。
これにより、既視感のあった前半を塗り替えている。
韓国戦争映画は最近作では『ブラザーフッド』、『ホワイト・バッジ』、『オペレーション・クロマイト』、『西部戦線1953』、『戦火の中へ』、『長沙里9.15』などがある。
少し前80年代には『インチョン!』など、いくつもつくられていた。
『戦場のメロディ』『スウィング・キッズ』などは戦時映画というくくり。
現在も休戦中ではあるため、『JSA』などの現代戦時映画は少なくない。
『トンマッコルへようこそ』などのファンタジー系もいくつかある。
受賞歴。
2011年の第48回 大鐘賞映画祭にて、最優秀作品賞、撮影賞、照明賞、企画賞を受賞。
2011年の第32回 青龍映画賞にて、撮影賞、美術賞(リュ・ソンヒ)を受賞。
2011年の第31回 韓国映画評論家協会賞にて、最優秀作品賞、監督賞、脚本賞、男子新人賞(イ・ジェフン)を受賞。
2011年の第12回 釜山映画評論家協会賞にて、技術賞(美術部門)(リュ・ソンヒ) を受賞。
2011年の第20回 釜日映画賞にて、最優秀作品賞、新人男優賞(イ・ジェフン)、男優助演賞(コ・チャンソク)、美術賞(リュ・ソンヒ)を受賞。
2012年の第14回 イタリア ウディネ(Udine) ファーイースト映画祭にて、観客賞(チャン・フン)を受賞。
ネタバレ。
好みの台詞。
「領地1cmのことじゃないか」「じゃあ、見に行くか?」
「戦争がアイツを殺したんだ」
「俺の中の人間は死んだんだ」
「俺、思うんだ。俺たちはもうとうの昔にしんでいたんじゃないかって」
「おふくろの顔がどうしても思い出せない……」
「痛みから逃げずに、泣けばいいんです」
「お前は生きて帰る気だったのか?」
「俺たちは敵じゃなく戦争と戦うんだ」
爆撃は基本、爆弾が落ちることはない。
手紙のやり取りは、事実か、もしかすると『JSA』からインスパイアされたのかも。