【俺は好きなんだよ】第205回
『世にも憂鬱なハムレットたち』(1995)
原題は、『IN THE BLEAK MIDWINTER』で、英国でクリスマスに唄われる聖歌のタイトルから。『真夏の夜の夢』ともかけているのかしら?
スタッフ。
監督:ケネス・ブラナー
製作:デヴィッド・バロン
脚本:ケネス・ブラナー
撮影:ロジャー・ランサー
音楽:ジミー・ユーリン
出演。
マイケル・マロニー
ジュリア・サワラ
ジョーン・コリンズ
ジョン・セッションズ
リチャード・ブライアーズ
ニック・ファレル
マーク・ハッドフィールド
ジェニファー・サウンダーズ
ジェラード・ホラン
セリア・イムリー
ヘッタ・チャーンレイ
物語。
仕事にあぶれた役者が、エージェントから援助してもらった僅かばかりの金で、クリスマスに片田舎で演じる『ハムレット』の出演者を募集した。
低条件の公演に集まったのは、憂鬱な問題を抱えた言わば三文役者ばかりだった・・・。
受賞歴。
1995年のヴェネツィア国際映画祭で、金のオゼッラ賞を受賞。
本場イギリスのロイヤルシェークスピア劇団でも主役をはったり、自身でシェークスピアの舞台の演出や映画化でも活躍するケネス・ブラナーが、ハリウッドを離れて、英国に戻り、監督に専念したシェークスピアの舞台を演じる俳優を題材にしたオリジナル作品。
憂鬱さでは世界一のデンマークの王子“ハムレット”を演じる、今まさに憂鬱な役者たちの舞台裏を、ハートフルなコメディとして描いている。
寄せ集めで出来損ないみたいな人間たちが、公演を成功させようという一つの目的のために、次第に打ち解け合い頑張る様子が、『WHY MUST THE SHOW GO ON』の曲にのって、幕に区切られ語られていく。
憂鬱な雰囲気を強調するためか、白黒で撮られている。
『ハムレット』が実は喜劇だったんじゃないかなと思わせる小気味いい群像喜劇になっています。
『ロックミー・ハムレット』(原題『ハムレット2』)というアメリカのコメディがあるけど、この作品に影響されたのかもしれない。
人の抗えざる習性について描いていると言えるかもしれない。
そして、それは人によって、悲劇であり、喜劇である。
コメディには、そういう距離感が似合うものがある。