邦画の製作チームは、面白さを突き詰めるより、ゆるさを映像制作の基準に置いている気がする。
ある程度の面白さに留めるからこそチームの理解力の速度が上がり、労力も経費も減る。それに慣れた観客はその面白さを基準にして、その面白さでも満足して、ヒットする。そういうコストパフォーマスの高さをよしとしているように見える。
それは例えば、製菓会社のスイーツやコンビニスのスイーツであり、パティシエの手によるスイーツは目指さないということではなかろうか。
コンビニのスイーツだって十分美味しいけど、少なくとも一緒に並ぶ世界の映画はそこに留まろうとしたものは少ない。
山崎紘菜、TOHOシネマズの幕間ガイド、卒業かぁ。
送り手を推している人を推すような物語が増えたよね。
推されている側が推してくれる人を推す。
ラリーの打ち返しの繰り返しはドロステ効果のようなフィクションの構造。
頑張っている人を応援することに頑張っている人を応援する頑張っている人を……。
演技レッスンの小学校高学年クラスで「ぼちぼちクリスマスだから、楽しみだね。ケーキとか食べるの?」と話題を振ったら、小5女子に「サンタの件は了解してるので、普段よりちょっと騒がしいだけの日になったんで……」と返された。
邦画ならではの優しいエンターテインメントを生み出す道もあるはずさ。