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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

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寓話にしたSF人情ドラマ。 『ザ・キッチン』(2024)

2024年01月30日 00時00分22秒 | 映画(公開映画)

【俺は好きなんだよ】第1824回

 

『ザ・キッチン』(2024)

 

 

原題:『The Kitchen』。
『台所』、『ザ・キッチン』。
劇中に出てくるザ・キッチンという地区の別称。

 

制作国:イギリス
上映時間:1時間48分
年齢制限:16歳以上

配信:Netflix

 

スタッフ。

監督:キブウェ・タパレス、ダニエル・カルーヤ
脚本:ダニエル・カルーヤ、ジョー・マータグ
製作:ダニエル・エマーソン、ダニエル・カルーヤ
製作総指揮:マイケル・ファスベンダー、コナー・マッコーン、オリー・マッデン、デビッド・キンバンギ
撮影:ワイアット・ガーフィールド
美術:ネイサン・パーカー
衣装:PC・ウィリアムズ
視覚効果監修:リチャード・ベイカー
編集:クリスチャン・サンディノ=テイラー、マヤ・マフィオリ
音楽:ラビリンス アレックス・バラノフスキ

 

 

出演。

ケイン・ブレット・ロビンソン/カノ (イジー)
ジェダイア・バナーマン (ベンジー)

ホープ・イクポク・Jr (ステープルズ)
イアン・ライト (キッチナー卿)
テイジャ・カブス(ルビー)
デミー・ラディポ (ジェイス)
クリスタル (リアンヌ)
バックロード・ジー (カマレ)
ラザク・クコイ (アリンゼ)
ルーベン・“トリジー”・ンヤマ (ダーティ)
ヘンリー・ローフル (クロニック)
アラン・アサード (ウージー)

 

 

物語。

近未来ロンドン。
格差社会が広がり、イジーのような黒人の貧困層はザ・キッチンと呼ばれる団地に“法的には不法占拠”という形で暮らしていた。
イジーは葬儀会社で働きながら、ザ・キッチンを出て、合法の住宅街での一人部屋を獲得しようとしていた。
会社で、イジーの知り合いのザ・キッキンに住む女性トニの葬儀が行われた。
トニの遺体は小さな鉢に入れられ、育った木がどこかに植えられる樹木葬の一番安いプランだった。
彼女の葬式に参列したのは会社スタッフの他、ローティーンのトニの息子ベンジーだけ。
ベンジーは天涯孤独の身となった。
イジーが帰ろうとすると外でベンジーが待っていた。

 

近未来ロンドン、違法な貧困街で暮らす葬儀屋社員と天涯孤独の少年が出会うSFドラマ。

 

『ゲットアウト』や『NOPE』のダニエル・カルーヤがキブウェ・タパレスと共同監督を務めている。
脚本も共同(ジョー・マータグ)と執筆している。

主演のケイン・ブレット・ロビンソンは、カノとして知られるロンドンのイーストハム出身の英国のラッパーでソングライター。ドラマシリーズ『トップボーイ』のサリー役でも知られる俳優でもある。

 

滋味で、人の心の機微を描く大人の人生のドラマと底辺の青春ドラマを組み合わせと内容。
評論家の評価は悪くないが、観客評価はいまいちになっている。
それは、SFで違法団地という設定から期待されるサスペンスやアクションがかなり少ないことに、サスペンスフルな展開もなく、きっちり現代でも通じるゆったりとしたドラマになっているからだろう。
感想には、設定が生きてないというが、寓話化するためのSF設定と実話することによる複雑さを避けようとしており、イジーのある選択や国家と国民という関係に親子のドラマを重ねているなど、語りには深く関わっている。
娯楽作というよりは、大人の渋いリアル寓話。
SF的な描写は風景描写にきっちりある。
特に、ドローンによる監視社会はリアルでなかなか戦慄。
地味さを青春ドラマと政府による退去あkすほんはあるのですが、主人公のイジーのドラマが内省的でアート寄りなのよね。
SFや状況設定を知らせるキッチンラディオなるあえてのレトロな個人ラジオ放送を入れるなど、いろいろ工夫があるので、もう一つイジーかベンジーにサスペンスフルな展開があったら、見やすくなったとは思う。
しかも、どんでん返しがあるので、凝った脚本ではあるのよ。
SFとしての描写はうっすらながらも画としてはけっこうしっかりあるし、疑似親子のドラマや、陰鬱勝緩やかな地獄はちくちくと染み入ります。

『ブルー・バイユー』とかが好きな方向けだと思われる。

 


娯楽ジャンルを入れつつ、現実のドラマを描くスタイルがあり、今作はその系統と言える。
これは、ヨーロッパには古くから時折つくられてきたスタイルだったりする。
例えば、ジャコ・ヴァン・ドルマルの『ミスター・ノーバディ』やラース・フォン・トリアーの『メランコリア』、『わたしを離さないで』、『アトランティックス』、『RAW~少女のめざめ~』など。

 

 

 

Netflix配信開始:2024/01/19

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

ダニエル・カルーヤの離れていた父との関係を反映しているそう。

 

 

 

 

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