で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2394回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ライド・オン』
一線を退いたベテランスタントマンが愛馬のために再び危険なスタントに挑むアクション・コメディ・ドラマ。
2024年で70歳を迎えるジャッキー・チェンが、初主演作『タイガー・プロジェクト ドラゴンへの道 序章』から俳優業50周年記念作品。
物語。
現代中国。
かつて香港映画界伝説のスタントマンと言われたルオ・ジーロン。
現在は第一線から退き、ルオ師匠とは呼ばれているものの、愛馬のチートゥ(赤兎)とともに、撮影所の見世物やエキストラなどの地味な仕事をこなす日々を送り、なんとか過去の借金返済を続けていた。
ある日、友人の債務トラブルでチートゥが強制接収されそうになる。
しかし、弁護士を頼む金もないルオは苦肉の策で疎遠な法学部の学生である愛娘シャオバオに助けを求める。
そんなルオに、難しい馬のスタントの仕事が舞い込んでくる。
ルオは費用を稼ぐため、この危険な仕事を受けることにする。
日本公開時には吹替版がつくられたが、2023年3月末をもって声優業引退を発表していたジャッキー・チェンのほとんどの吹替を担当してきた石丸博也が、本作のために限定復帰した。
原題は、『龍馬精神』(『スタントマン魂』)
国際題は、『RIDE ON』(『乗騎』)
現代中国、一線を退き、乗馬馬の世話係になった老スタントマンが愛馬のために再び危険なスタントに挑むアクション・ドラマ。
数々のアクション作品に出演してきたジャッキー・チェンがスタントマン役を演じるのは、これが初。
ジャッキーは本格アクションから引退を宣言をしているが、その後もCG使用などでアクション映画に出続けていることの凄み。日本では公開規模は小さくなりましたが、70歳で主役を張り続けている。近作の中華作品は良くも悪くも大味ではあったが、今作は馬と娘との関係をメインにしたアクションとドラマが融合していて、魅せてくれます。
なんといっても、馬のお芝居が素晴らしいのです。動物もの好きにはたまりません。
老スタントマンとうkとで、弟子にあたる人物も出てくるので、そこもグッときます。
香港のスタントマンについてのドキュメンタリー映画『カンフースタントマン 龍虎武師』を見ていると、さらに胸に来ます。作品の中には、ジャッキーの実際の映画の映像も出てきますが、この映画と通じる部分があるんですよね。
今作の劇中は、役の人物がやった設定で、リアルにジャッキー・チェンの往年のアクションシーンも出てくるので、見てきた身としては、グッときます。クリント・イーストウッドは90歳越えても主演していましたが、さすがにアクションはないですしね。とはいえ、3歳上の先輩のサモ・ハン・キンポーがアクション大作の重要な役で今もがっつりアクションをやっているのだけど。
彼らを見て、こちらもまだまだと奮起させられる、映画にはそういう力もある。(そういえば、引退を考えていたナンニ・モレッティもクリント・イーストウッドが90歳で主演していると新作『チネチッタであいましょう』を撮ったところだし)
今作は、そういう内容自体もそういう物語だしね。
育てた馬と難しいアクションに挑む姿のワクワクにエネルギーが漲ります。
現代的なはずのオチのつけ方に逆に古くからの教えを見たり。
スタッフとキャスト一体できる映画、人馬一体、自分と自分の体、自分の人生とつきあっていくこれからを考える一本。
劇中に出てくる「即時取得(そくじしゅとく)」とは。
動産を占有している無権利者を真の権利者と過失なく誤信して取引をした者に、その動産について完全な所有権または質権を取得させる制度。
善意取得(ぜんいしゅとく)ともいい、原始取得の一種である。 日本においては民法第192条に規定がある。
製作国:中国
上映時間:126分
製作年:2023年
映倫:G
スタッフ。
監督:ラリー・ヤン
脚本:ラリー・ヤン
撮影:スン・ミン
美術:スン・リー
音楽:ラオ・ツァイ
配給:ツイン
出演。
ジャッキー・チェン (ルオ・ジーロン/ルオ師匠)
愛馬 (赤兎(チートゥ))
リウ・ハオツン (シャオバオ/娘)
グオ・チーリン (ルー・ナイホァ)
ユー・ロングァン (ホー総裁)
ユー・アイレイ (シアマオ)
ジョイ・ヨン (インズ)
アンディ・オン (ダミー)
シー・ヤンネン (デビッド)
ラン・ユェティン (シャオバオの母)
シャオ・シェンヤン (リーヤン)
レイ・ロイ (ワン社長)
ウー・ジン (ユェン・ウェイ)
スタンリー・トン (監督)
ネタバレ。
妻役のラン・ユェティンが、どことなくスー・チーに似ていたので『ゴージャス』を思い出した。