うろキョロ散歩

楽しくお散歩をするのが唯一の趣味。
お散歩の徒然に観たこと感じたことなどなどを書き込んでいこうかな、

「斑鳩宮 始末記」

2008年01月08日 | ブックスタンド
黒岩重吾著 文芸春秋刊
内容(「BOOK」データベースより)
調首子麻呂は百済からの渡来系調氏の子孫。文武に優れ、十八歳で廏戸皇太子(聖徳太子)の舎人になった。完成間近の奈良・斑鳩宮に遷った廏戸皇太子に、都を騒がす輩や謀叛人を取り締まるよう命じられた子麻呂は、秦造河勝や魚足らとともに早速仕事に取りかかるが、その矢先、何者かが子麻呂の命を狙う。

感想
7編のミステリー小説集。
まだよく解明されていない飛鳥時代にまで遡るミステリーがあったとは思いもよりませんでした。
主人公は、厩戸皇太子(聖徳太子)の参謀格の秦造河勝(はたのみやっこ・かわかつ)に仕える調首子麻呂(つぎのおびと・ねまろ)。
聖徳太子から、発生した事件の探索を任命された舎人の長です。
ただ、直情決行型の男子ですから、裏の人情・機微まで窺うのはちと荷が重い。そこで貴重な補助者となる部下が、むっつりスケベだが手足となって良く動く魚足(うおたり)です。

ミステリーとしての面白さは、それ程ではありません。
ちっともおどろおどろしくもないし、事件の背景そのものが至極簡単なのです。でもこの頃の時代は人間関係もこの程度だったのかな、と納得しました。
むしろ、飛鳥時代の庶民や下級官僚の生活ぶりが垣間見れたり、当時の人間関係や男女の関係が面白おかしく書かれていて楽しんで読める一冊でした。
また、聖徳太子が政治の革新を志していた時代の雰囲気やその苦悩などがなんとなくわかるような気がします。

ミステリーというより、古代史の外史と言う方がふさわしいのではないでしょうか。