物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

【書籍】ペット・サウンズ

2008年04月25日 | Weblog
 先日発売された『ペット・サウンズ』(ジム・フジーリ著、新潮社)を読む。

 ロックアルバムの金字塔ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』をめぐるバンドの愛憎劇や、ブライアン・ウィルソンのアルバム創作に捧げられた天才性と精神的苦悩、収録全曲に対する詳細な解説が記されたノンフィクション。翻訳は自他ともに認めるビーチ・ボーイズフリークの村上春樹。そんじょそこらの音楽評論家よりもビーチ・ボーイズについては造詣が深い。内容は結構ドロドロとしているが、文章から醸し出される雰囲気は、翻訳者独特の文体のためか、どことなくあっさりと薄味。村上春樹のオリジナル原文のような錯覚にとらわれる。

 1966年発売の『ペット・サウンズ』はもちろんリアルタイムには聴いていない。CDを買ったのは約20年前(ライナーノーツはこれまたビーチ・ボーイズフリークの山下達郎)。それから何十回も聴いているが、その良さは“全く分からない”。同時代のコンセプトアルバムで言うと、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の方がはるかに良い。読みながらそんなことを考えていたら、翻訳者は何とあとがきで真逆のことを書いていた。

           ------以下引用------
「『サージェント・ペパーズ』が僅かずつではあるが、当初の圧倒的なまでの新鮮さを失ってきたのに比べて、『ペット・サウンズ』はそのレコードに針を落とすごとに、何か新しい発見のようなものを僕にもたらしてくれた。そしてある時点で両者は等価で並び、そのあとは疑いの余地なく『ペット・サウンズ』が『サージェント・ペパーズ』を内容的に凌駕していった…」

う~ん、そんなものか!? 何より本は面白かった。
コメント
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