サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

発電量の減少は太陽光発電システムのモジュールの劣化が原因か?(3)

2021-04-12 06:49:24 | 太陽光発電

ここ数年太陽光発電システムの発電量の減少について調査した結果、日射量の減少が主な原因とわかりましたが、発電モジュールにも何らかの問題がないかを調べていただいた結果、11枚のモジュールについては性能低下と認められ、メーカーによる無償支給となる旨、お伝えしました。

しかし、本当にこれだけなのか、その後について報告します。

なお、前回、モジュール交換による電圧低下の改善についても報告したいと書きましたが、モジュール交換にはまだしばらく時間がかかるようです。

 

電圧低下のモジュールは本当にこれだけ?

今回、無償支給されるモジュール11枚が具体的にどのモジュールなのかを詳しく聞きました。

その結果、以下の赤字で示したストリング(7直なら7枚のモジュール、8直なら8枚のモジュールをまとめた言い方)の中の1枚ということでした。

交換すべきモジュールが11枚よりもあるのではないか、と思った理由は、電圧低下率の数値からでした。

つまり、性能保証の最低ラインは5%程度なので、例えば8直で性能が10%も下がったモジュールが1枚だけであれば、ストリングとして見たときの性能低下は、10%/8=1.25%の低下にとどまります。したがって、性能低下が5%もあるストリングであれば、交換すべきモジュールは2-3枚あってもおかしくない、と考えられるわけです。しかも、7直B区画で10.25%も下がったストリングでは、仮にほかの箇所で交換すべきモジュールが1枚だったとしても、その倍ほどの電圧低下が発生しているため、交換すべきモジュールは2枚以上はあるだろう、と思われました。それでも当初の測定結果通り、ストリングにつき1枚のモジュール劣化ということであれば、ストリングの性能低下は天候、パネル上の汚れ、パネル自体の多少の経年劣化などで低下し、さらにその中の1枚の経年劣化が激しかったため、ストリング全体で5%もの性能低下となった、と理解することになります。

そこで、大変申し訳ないのですが、再度、電圧低下をしらべていただいて、本当に11枚しかないのかどうかを確認していただきました。

本当に11枚かどうかはモジュール単位での測定結果が知りたいところですが、送っていただいたのはこれまでと同じ解放電圧値でした。

どちらも快晴の日に測定していただいた、ということでした。

電圧低下の平均値(左は合計とありますが、電圧低下の列は平均値です)は、A、Bどちらの区画も3月15日のほうがやや大きいので少し天気が悪かったのかもしれませんが、さほど差はないようです。

再測定では、11枚交換対象のストリングに加え、新たに怪しそうなもう1つのストリングについても、そのモジュールの解放電圧を1枚1枚測定したものの、前回の11枚という数字は変わらなかった、ということでした。

モジュール1枚1枚の電圧値を私自身で確認できないのでちょっと釈然とはしないものの、これ以上時間を割いて調査していただくのも恐縮だったので、とりあえず、この11枚の交換をしていただくことになりました。

また、当初設置したモジュールはすでに販売終了とのことで、やや発電出力が高いモジュールへの交換となりました。

既設:TSM-260PC05A(出力260W, 変換効率17.8, 多結晶) 
交換:TSM-270PC06A(出力270W, 変換効率17.8, 多結晶)

 

今後は、交換予定のモジュールを入手し、交換作業を実施していただくことになりました。交換作業中は、その対象となるストリングだけを停止し、それ以外は通常通りに発電されるよう作業していただけるとのことです。(わずか数%の改善のために、仮に区画全体が何日も停止してしまうと元も子もありませんからね。)

 

今回の発電量の減少の主な要因は日射量の減少ではあるのですが、パネルの性能劣化もその要因の1つであることがわかりました。もし、日射量が減少していなければ、おそらく発電量の減少にも気づかなかっただろう、と考えると、今回はある意味幸運でした。劣化したパネルを新品に交換し、今後、日射量が回復すれば言うことなしです!

次回は、交換前後で電圧低下が改善したかどうか、報告したいと思います。

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発電量の減少は太陽光発電システムのモジュールの劣化が原因か?(2)

2021-03-10 12:25:35 | 太陽光発電

太陽光発電モジュールの電圧低下調査

今回の発電量の減少は日射量の影響だろう、という結論になりましたが、最初はかなり太陽光発電モジュールの劣化を疑っていました
(そんなに都合よく日射量が減少するなんてことはないだろう、という勝手な思い込みからでした。。。)

そこで、販売・管理をしてもらっている業者に、その点についても並行して調べてもらっていました。

その結果をExcelで整理して解析した結果が次の通りです。

私の太陽光発電システムの太陽光モジュールは全部で210枚ありますが、測定できるのは、7枚(7直)もしくは8枚(8直)単位での電圧となります。1列目には、どちらの単位での電圧値なのかを示しています。そして、2列目は理想の電圧値であり、3列目と4列目が測定値です。5列目と6列目は、理想の電圧値との差異が何%なのかを示しています。

また、特に電圧低下率が5%を超えた場合には背景色をオレンジにしています。

ただ、この電圧低下率が大きくなる原因がモジュールの上部に付着した汚れ(鳥の糞、砂埃など)、あるいは物理的な損傷(飛び石等によるひび割れなど)のことも考えられるわけで、モジュールそのものの問題とは限りません。特に、7直で10.25%もの電圧低下率を示すモジュールについては、明らかに何らかの異常なことが起こっていることが想像されます。

AおよびBの全体としての電圧低下率は1.25%と2.72%ですから、2017年とくらべて2020年の発電量の減少率5%よりも小さい。したがって、発電システムの異常だけでは説明がつかないことも明らかになりました。つまり、やはり太陽光発電システムの発電量減少は、日射量の減少だと改めて結論付けられます。

しかし、そもそも、この電圧低下の原因はいったい何でしょうか?

 

電圧低下の原因は何か?

上記にて、電圧低下率5%前後のモジュールが複数、そして電圧低下率10%を超えるモジュールもあるため、改めて汚れ、パネル破損、ケーブル破損等についての現地調査をしていただきましたが、特段問題は見当たりませんでした

したがって、やはり、電圧低下の原因はモジュールの性能劣化の可能性が高そうです。

 

そこで、今度は、再度電圧測定をしていただきました。

最初の話では、前回の調査では何らかの原因でたまたま電圧減少が発生したかもしれず、再度測定して改めて電圧低下が発生するか確認する、ということだったのですが、実際には、前回の調査でかなり電圧低下が発生した7直・8直のモジュール群に対象を絞って、そのモジュール1枚1枚を調査していただいた、とのこと。

その結果、いくつかのモジュールではやはり基準値以下の電圧低下が発生したため、その結果についてメーカーに問い合わせたところ、今回の場合はなんと

新品モジュールが11枚無償支給!(A区画4枚、B区画7枚)

されることとなったそうです!

 

このように無償支給をしてもらえるのは、トリナ・ソーラーの太陽電池モジュールには性能保証がついているためです。

具体的には、年平均出力低下率は初年度は2.5%で、2年目以降は0.65%です。したがって、5年間では 2.5% + 4 * 0.65% = 5.1% が性能保証の最低ラインです。したがって、先ほどの10.25%の8直は明らかに性能保証を満たしておらず、電圧低下5%以上となる7直・8直(エクセルの背景色がオレンジとなっているもの)も、一部のモジュールについては性能保証を満たしていない可能性が高いわけです。

ただ、もし、電圧低下5%以上の7直・8直のモジュール群に性能を満たしていないものがあるとすれば、11枚よりももっと多くなるような気もします。

しかも、モジュールは無償提供ですが、その交換費用として別途3万円(税抜)かかるとのこと。であれば、なおさら性能劣化したモジュールをできる限り洗い出して交換してもらいたい、と思いました。

ちなみに、電圧低下10%によって発電量も10%低下とすると、年間の損失は350万円/210枚 * 10% = 1,600円。よって11枚であれば、1,600円* 11 = 17,600円。よって、11枚交換なら大雑把には2年で元が取れる費用と言えます。ただ、あんな大きなパネルを外して新しいパネルを取り付けて、古いパネルは廃棄(or 返却)する、しかも11枚もあることを考えると作業負荷という観点で見れば3万円でやってもらえるのは安いとは思います。

 

長くなってきたので、ここまでにします。

次回は、無償支給の対象モジュールは増えたのか、またモジュール交換後の解放電圧が理想電圧にどれほど近づいたのか、を報告したいと思います。

 

今回のまとめ

  • モジュールの電圧低下をメーカーに示すことで、無償支給が可能だとわかった。

 

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電力買取サービスの契約終了(2)

2021-03-02 12:30:17 | 太陽光発電

熊本県に設置されている太陽光発電システムでは、これまでエナリスにFIT電源買取を依頼していましたが、その契約が今年の3月末で終了する、という記事を書きました。

そこで、今年4月1日からの電力買取を九州電力に依頼するため、昨年12月に「再生可能エネルギー発電設備からの電力販売に関する申込書」を熊本県人吉配電事業所へ送付したのですが、その後、何の音沙汰もなく、心配になって直接電話で契約の進捗状況を確認しました。連絡したのは、人吉配電事業所の送配電コールセンター0120-986-958です。

担当者が不在で状況がすぐにわからない、ということで、その翌日に電話連絡がありました。

結果は、きちんと書類は届いているので、4/1からの電力買取について問題ない、ということで安心しました。

ただ、何も連絡がなく心配だったことを告げると、3月末まではエナリスとの契約が続いているため、それまでは何の書類も送ることができず、契約書類の発送は4月以降になる、ということでした。

このような回答のため、不安な人は先ほどのコールセンターに電話で確認されるのがよいと思います。その際には、申込書に記載した供給地点特定番号を聞かれますので、契約書の控えも手元に用意しておくとよいです。

しかし、万が一手続きが滞ると、その間、電力買取がなされないため、本来得られるべき収入がすべて失われるわけで、それを誰も補てんしてくれません。なので、少なくとも「申込書を受領しました」あるいは「4月から売電が開始されます」などの連絡があってもいいと思うのですがね。

 

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発電量の減少は太陽光発電システムのモジュールの劣化が原因か?(1)

2021-02-27 12:12:41 | 太陽光発電

太陽光発電システムは今年で6年目になりますが、これまでの年間発電量について改めて見直したところ、気になることが見つかりました。

以下は、山梨県北杜市に設置された2台(以下、AおよびB) の太陽光発電システムの年間発電量の推移です。

2年目はかなり増えていますが、それ以降、年1.7%ぐらい発電量が減少しています。シミュレーションでは年1%の低下は見込んでいましたが、それ以上のペースで減少しています。

※)2016年については、発電開始が1月途中であり、また発電量データを取り始めることができたのは2月途中であったため、甲府市の月別日射量データをもとに1月と2月の発電量については推測値となっています。

太陽光パネルのメーカーはトリナ・ソーラーであり、定格出力は54.6kWhです。パワコンは、オムロンで定格出力49.5kWhです。

AとBのどちらか一方の性能低下であれば、そのシステム固有の問題と考えられるものの、同じ傾向を示しているため、日射量が年々減少している、という可能性もあります。でも、こんなに同じ割合で年々日射量が減少する、ということがあるんでしょうかね

それとも、トリナ・ソーラーの太陽光モジュールはこれほど性能劣化が進むということなのか。。。

 

上記グラフ(5年間の発電量)から以下のことが言えます。

① 2年目は1年目に比べて6%も発電量が高い。
➁ その後は3年間で4MWhほど減少(年間では1.33MWhの減少)し、年1.67%の減少率です。

モジュールの性能保証は年0.65%の減少なので、もしこの減少が性能劣化であれば、交換してもらいたいレベルです。

 

上記の要因について検討してみます。

 

1年目に比べて2年目の発電量が6%も高いのはなぜか?

この要因としては日射量が影響したことが考えられます。

もしくは太陽光発電システムでは稼働開始時には性能がフルに発揮できず、どうしても1年目は発電量が低い、なんてことがあるんでしょうか。熊本県球磨郡に設置した同規模の太陽光発電システムでは、逆に2年目は5%の減少でした。また、太陽光発電システムの販売・管理会社が保有する山梨県明野町の発電量データを確認させてもらうと、こちらも2年目は9%も減少しています。したがって、2年目に発電量が必ず高くなる、といったことはなさそうです。

そこで、日射量データを調べてみました。

北杜市のデータがあればよかったのですが、気象庁から提供されている最も近い地域は甲府市であり、ここでの2016年から2020年までの年間日射量は 15.1,  15.8, 16.0, 15.1, 14.9 でした。(気象庁:過去の気象データより。https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php)

1年目(2016年) の日射量は15.1、2年目の日射量は15.8なので、1年目に比べて2年目の日射量は、およそ4.5%ほど高いことがわかりました。しかし、それでも6%の違いまでは説明できません。

北杜市に近い大泉では日照時間データはあります。そこで、甲府市の日照時間と日射量との関係をもとに、大泉の日照時間データから大泉の日射量を推測すると、1年目にくらべて2年目の日射量は3%の増加にしかならず、逆に説明が付きづらくなってしまいます。

1年目に発電量が低くなるような要因が他にないか考えたところ、2016年11月24日に大雪が降り積もったことを、ふと思い出しました! 
以下は11月25日の状況です。これでは発電できませんね。

 

事実、発電量のグラフを見ると、この2日間はほぼ発電しておらず、天気は快晴のようなのでおよそ400kWhの減少です。年間発電量77MWhなので0.5%の減少です。

まとめると、1年目と2年目の発電量の違い(6%) の原因としては

  • 日射量の違い:4.5%
  • 積雪によって発電不可:0.5%

よって、残る1%の差については説明できていません。

あとは可能性でしかないのですが、

  • 1年目(2016年)の1月および2月の発電量は甲府市の月別日射量データをもとにした推測値ですが、これが実際の発電量よりも過小評価してしまっている。1年目の発電量は実際にはもう少し多いはず、ということです。しかし、その可能性を支持する根拠は何もありません。
  • 甲府市の1年目と2年目の日射量は15.1および15.8であるが、4桁目が四捨五入されているため、可能性としては1年目と2年目の日射量は15.05, 15.84の可能性があり、この場合の1年目と2年目の日射量の違いは5.2%である。もともと4.5%だったのが5.2%なので、その差は0.7%です。でも、これは都合の良い解釈であり、説得力に欠けます。

こういったことも含めて考えると6%の違いが説明できなくもありませんが、かなり苦しい説明です。しいて言えば、以下の発電量および日射量の経年変化のグラフで説明するように、2016年はこの太陽光発電システムAは他と比べて最も発電量が少ないわけで、過小評価している可能性をなんとなく示唆しているような気もしなくもありません。。。

ただ、これはたいして重要ではなく、大事なのは2年目以降、年々発電量が減少している理由です。

 

2年目以降の3年間で年間発電量が4MWhほど減少したのはなぜか?

売電単価(税込) 44円/kWh なので、4MWh=4,000kWh * 44円/kWh = 17.6万円です。月平均で1.5万円弱です。これはちょっと無視できないレベルですね。

この要因として日射量の可能性があるため、まずはその観点で調べてみます。

前述したように、甲府市での2016年から2020年までの年間日射量は 15.1,  15.8, 16.0, 15.1, 14.9 でした。

また、管理を委託している業者に、北杜市のほかのエリア(明野町、長坂町大八田)での2016年から2020年までの発電量のデータもいただき、比較した結果が以下の図です。

横軸は年です。
縦軸は私の太陽光発電システムA(青の実線)、明野(赤の破線)と大八田(緑の破線)の発電量であり、2017年の値を1とした時の値です。さらに、同じく2017年の時の値を1とした時の甲府市の日射量(紫の実線)も載せています。

A、明野、大八田の太陽光発電システムはいずれも北杜市内であるため、もし太陽光モジュールに問題がなければ、これら3つの太陽光発電システムの発電量の傾向は同じになるはずです。

明野が最も下落率が大きく、次に大八田、そして私の太陽光が最も下落率が低いことがわかりました。

甲府市の日射量をみると2018年だけ高いものの、その後はやはり減少傾向であることもわかります。

したがって、私の太陽光発電システムにおける2017年以降の発電量の減少は、太陽光モジュールの劣化というよりも、日射量の減少だと考えたほうが正しそうです。

一方、明野や大八田はそれだけでは説明できそうになく、もしかしたら、これらは本当に太陽光モジュールの劣化が生じているのかもしれません。私の太陽光モジュールも、明野と大八田と同じくトリナ・ソーラーであるため、他人ごとではないですね。

 

長くなりましたので、今回はここまでしたいと思います。次回、太陽光モジュールの劣化が本当に起こっていないのか、引き続き、検証したいと思います。

 

今回のまとめ

  • ここ数年の発電量減少の最大の要因は日射量の減少だった。

 

 

 

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太陽光発電の実績(~2020年と今後の見込み)

2021-01-25 20:24:52 | 太陽光発電

太陽光発電の実績のアップデートです。

所有している太陽光発電設備は以下の通りです。

  1. 熊本県球磨郡(2013.11.1~、システム容量 49KW、傾斜角10度、南向き)  2,000万円(税込)売電単価40円(税抜)
  2. 山梨県北杜市小淵沢(2016.1.19~、システム容量49.5KW、傾斜角20度、南南東向き)  2,470万円(税込)売電単価40円(税抜)*2基
  Ep
(※3)

2014

2015 2016 2017 2018 2019 2020 平均
熊本県
球磨郡
56.6

59.3
(※1)

56.5 57.3 61.4 59.8 57.3 59.7 58.8

山梨県
北杜市

65.3

 

  75.1
(※2)
82.1 80.4 79.1 78.1 79.9
(※2)

(※1) 熊本県球磨郡では、発電開始日2013/11/1
(※2) 山梨県北杜市は、発電開始日2016/1/19。平均は2017-2020から算出
(※3) 見込については、業者によって損失係数の見積もりが変わるため、NEDOのデータをもとに
Ep = 月平均日射量 * システム容量 * 日数 * 0.85 (損失係数) として算出した値としています。

ちなみに、北杜市は全国トップレベルの日射量です。(以下、NEDOの日射量データベースより。北杜市は中央の黄色エリア内。)

 

見込値(Ep)

これまでの平均日射量は、球磨郡では見込値に対して+3.9%の上振れ、北杜市では見込値に対して+22.3%の上振れでした。

 

太陽光発電システムの実質利回り

発電量の平均値から見積もった年平均利回りは以下の通り。 (消費税10%で試算)

  1. 熊本県球磨郡
    (売電料金 - メンテナンス費用 - 固定資産税) / 購入価格 = (58.8MWh*44 - 11,000*12 -  112,700)/  2,000万円 = 11.7%
    (アプラスで融資を受けていたため、保険にも自動的に加入済み)
  2. 山梨県北杜市
    (売電料金 - メンテナンス費用 - 固定資産税 - 保険) / 購入価格 = (79.9MWh*44 - 11,000*12 -  188,000 - 45,000)/  2,470万円 = 12.8%

上記はいわゆる実質利回りと呼ばれているもので、投資判断で使われる内部収益率とは異なりますが、イメージはつかみやすいですね。

非常に荒っぽい議論にはなりますが、20年後に発電システムの価値がない、と仮定すると、100% / 20年 = 5%  となります。したがって、毎年5%の価値が棄損していくと考えると、先ほどの利回りから5%を差し引いた結果、それぞれの利回りは 6.7%および7.8%となります。

また、上記2か所の発電システムは同規模ですが、金額としては北杜市のほうが1割ほど高額であり、さらに償却資産税や保険の費用も高額でした。それにもかかわらず、北杜市の年平均利回りが高いのは、月平均日射量が北杜市のほうが高いことに加え、実際にはその平均日射量からの上振れも北杜市が高かったことが主な原因です。

なお、気になる点としては、北杜市の年間発電量が年々減少していることです。これについては、後日、詳述したいと思います。

 

太陽光発電システムの収支

太陽光発電システムは20年間の売電単価が保証された、先が読みやすい投資です。

不動産のように、入退去や家賃減額のリスクもなく、収益性に影響を与えるほどの気候変動もほとんどありません。

比較的大きなリスクとしては設備機器の不具合ぐらいだと思います。

以下では、売電買取期間終了までの間にどれほどのキャッシュが得られるか、これまでの実績も含めざっくりと試算してみます。

 

20年間の収支(熊本県球磨郡):

  • 売電金額:4,913万円
    • 実績)2013/11 - 2020/12 : 1,808万円
    • 見込)2021/1 - 2033/10 :  55MWh(※) * 44円/kWh * 12.83年 = 3,105万円
  • 経費:532万円
    • 固定資産税:168万円(土地の固定資産税:11万円、設備の償却資産税:157万円)
    • メンテナンス費用:264万円(月額11,000円)
    • パネル撤去費用:100万円
  • 購入額:2,000万円(土地代込み)

(※)今後の年間平均発電量はこれまでの平均の95%と仮定

表面利回りは、4,913/2,000/20年= 13.3% 
経費を引いた実質利回りは、(4913 - 532)/2,000/20年 = 10.9% です。

ただ、不動産は最後に土地・建物を売却することができますが、太陽光の場合は土地しか残りません。
仮に、購入時と同じ金額で土地が売却できたとしても、たかが知れています。そのため、購入額2000万円は20年後には価値がなくなるため、上記利回りから5%(=100%/20年)を差し引いて考えなくてはいけません。

すると、さほど高い利回りではないことがわかります。

19年間の収支(山梨県北杜市):(連系開始から実際に発電を行うまでにタイムラグがあったため、買取期間は19年弱になっています。)

  • 売電金額:6,212万円
    • 実績)2016/1 - 2020/12 : 1,724万円
    • 見込)2021/1 - 2034/8 :  75MWh(※) * 44円/kWh * 13.6年 = 4,488万円
  • 経費:634万円
    • 固定資産税:197万円(土地の固定資産税:34万円、設備の償却資産税:163万円)
    • メンテナンス費用:251万円(月額11,000円)
    • 火災保険:86万円
    • パネル撤去費用:100万円
  • 購入額:2,470万円(土地代込み)

(※)年間平均発電量はこれまでの平均の95%と仮定

表面利回りは、6,212/2,470/19年= 13.2% 
経費を引いた実質利回りは、(6,212 - 634)/2,470/19年 = 11.9% です。

これも同様に上記利回りから5.3%(=100%/19年)を差し引いて考えなくてはいけません。

結局、太陽光発電の最終的な実質利回りとしては税引前で5~7%ぐらいであることがわかります。

ただ、戸建投資などの不動産投資にあるような入退去の不安・手間はありませんし、入退去に伴う原状回復費、空室期間の無収入といったこともなく、常に安定してこの利回りでの収入が得られるのは大きいと思います。

また、不具合が発生しやすい機器としてはパワコンだそうです。製品保証は10年なので、仮に10年後に9台のパワコンすべてが故障し新品に交換することになった場合、300万ほど費用が掛かります。ただ、それでも、実質利回りは、(6,212 - 634 - 300)/2,470/19年 = 11.2% です。ただ、これは最悪のケースであり、通常は故障個所の部品交換などで対応可能だそうで、その場合はパワコン1台当たり5~6万円程度とのことでした。

太陽光発電はミドルリスク・ミドルリターンの投資だと思います。

 

まとめ

  • 最終的な実質利回りは税引前で5~7%ぐらい。
  • 太陽光発電システムの実質利回りから5%くらい差し引いて、本当の意味での実質的な利回りを考えるべき。
  • 不動産投資に比べて運営の手間はかからず安心して運用できるのも大きなメリット

 

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