旅
日本では 昔から気というものを大切にしております。
気が散ったり 気が上がったりすることを警戒し 気を沈め 気を落ち着ける工夫をして正気を保ち 気の狂わぬように平常の生活で訓練することを大事なこととしていました。
現代のような騒がしい時代には 自分の気がどういう状況にあるか振りかえる機会そのものを見逃しがちですが 騒がしさのなかで自分の状態を知ることは 静かな世界にいる時よりもいっそう難しいものです。
たいへん騒々しいもので ・・・ 気をつけていないと 私たちみんなが次第に速度を増した忙しさの中に埋没していくのでないかと感じられます。
しかし ひとたび目を転じて 人間の力の加わらない世界を眺めてみると 人間の身体は音もなく成長し 老化し 植物は音もなく伸びてゆき 静かに 休みなく変化しております。