時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ウクライナ内戦とスペイン内戦

2014-08-31 23:18:23 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ロシアの「コムソモリスカヤ・プラウダ」紙の特派員が
ドネツクの義勇軍に混じって米国帝国主義と闘うフランス人が数人いることを確認した。


フランス人義勇兵の名はヴィクトル・ニコラス、ギヨン、ミーカ。
彼らはすでに1週間以上にわたってドネツクで戦っている。

4人は最初キエフが革命を起こし、
これに西側が支持を表明したことを知ったが、
その後キエフがドンバスの市民に対して攻撃を仕掛ける様子を見て、
本当の革命がおきているのはキエフではなくウクライナ東部だ
と理解した
と語っている。



4人は、ウクライナ兵は、ドネツクの新ロシア派はテロリストではないことを理解しており、
これを相手に戦いたいとは思ってはおらず、士気を逸していると語った。

4人はウクライナ軍が居住区など、
ドンバスの義勇兵がいない一般市民の施設を攻撃している
ことに憤慨しており
、軍事犯罪行為と非難している。



続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_31/276664259/




漫画や映画のような話だが、こうなるといよいよもってスペイン内戦を彷彿させる。

スペインの内戦は第二次大戦の前哨戦であり、フランコ率いる反乱軍と、
共産党や社会党などの連立政権による政府軍との戦いであった。

結果的には、独・伊に支援されたフランコがソ連に支援された政府軍に勝利。
それまで英仏米は事態を傍観していたが、自国が侵略される危険を感じると、
ただちに掌を返して民主主義国家として全体主義国家と戦うことになる。


その間、各国の社会主義者たちが義勇兵として参加している。
アメリカの作家、ヘミングウェイやイギリスのプロパガンダ作家、オーウェルが有名だ。

フランコ軍の打倒が第一目的だったコミュニスト勢力と、
社会制度そのものを変革させるアナキスト勢力との間で衝突と弾圧があり、
コミュニスト自身も根本的な部分ではソ連の国益に従って動いたため、
この内戦は共産主義叩きの格好の事例として説明されている。


ソ連とナチスを戦わせようとする列強の黒い思惑が完全に無視されている歴史観で、
私は、正直言って、それは戦勝国を美化させる結果に陥っていると思う。


ナチスと勇敢に戦ったかのごとく言われているが、それは仕方なく戦ったに過ぎない。
その証拠に、戦後イギリスとフランスは、ギリシャやベトナムの再侵略に心血を注ぐ。


弱点を抱えてはいるが、スペイン内戦で人民戦線政府は
歴史上、初のファシズム政権と戦った集団であり、その意義は忘れてはならないだろう。



さて、話を戻すと、
今回もロシアに支援されるウクライナ東部と
欧米に支持されるネオナチ政権との間で戦いが起きている。


キエフ軍の横暴はこのサイトで何度も紹介してきたとおりだが、
他方で独立派(と私は呼ぶ)の兵士も誤って市民に暴行を加えたり、
拉致・連行するケースはある。もちろん、アムネスティなどの人権()団体の
報告が情報源なので、違うといえばそれまでだが、内戦である以上、
それなりに汚いことをしていると思われる。


問題は、構造的な暴力(先進国が後押しする地方の侵略)を無視して、
どちらも悪いということで結果的により悪質な犯罪を巧妙に隠匿することである。


これは左翼にも実に多いと思う。

よその土地に押し掛けて空爆を連日行い、インフラを破壊し難民と犠牲者を生みだす暴力が
独立派のより小さな犯罪と同質にされて、不問にされる。こういう間違いは左翼もよく犯す。


マレーシア機の撃墜は、未だにどちらの仕業かはっきりしないが、
百歩譲って独立派によるものだとしても、被害の規模も残虐性も
キエフ軍のほうがケタ違いに大きいのであって、そこを無視してはいけない。


私はスペイン内戦についての一般的な解釈を読む限り、
どうもこの内戦もまた、将来的にはキエフ軍の横暴は忘却され、
代わりに独立派の犯罪はいつまでも長く語り続けられるのではないかと思えてならない。

ラテン・アメリカの赤き風

2014-08-31 22:43:30 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ベネズエラを含め、反米左派政権が樹立してはいるものの、
いまだ安定しているとは言えないラテン・アメリカの諸国家。



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中南米の左派政党や進歩勢力で構成するサンパウロ・フォーラムの
第20回会議が25~29日、ボリビアの政府所在地ラパスで開かれ、
諸国民間の連帯や協力、補完などの原則にもとづく地域統合の推進を
「最終宣言」で呼び掛けました。


宣言は地域統合について、メキシコ、ペルーなど4カ国の自由貿易協定「太平洋同盟」
と環太平洋連携協定(TPP)は中南米の地域統合の分断をねらっていると批判。「


大国に従属するこれらの統合のやり方を拒否する」と述べています。


また新興5カ国(BRICS)がこのほど合意した途上国のインフラ整備を
支援する新たな開発銀行の設立と独自の外貨準備基金の創設の重要性を強調しています


国際情勢については、
リビア、イラクなどでの
米国や北大西洋条約機構(NATO)の軍事攻撃
や、
パレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの空爆などを非難。

これらが、イスラム教過激派組織「イスラム国」のような
武装グループを増大させていると指摘しています。



宣言は、25年前のフォーラム創設時、
政権についていた加盟政党はキューバだけだったが、
現在は10カ国以上で政権についていると指摘。



今日、中南米はもはや「変革の時代」ではなく「時代の変革」の中にあると強調しています。


フォーラムには世界各地の30カ国以上から80以上の政党の代表が参加。
日本共産党から松島良尚国際局員がオブザーバーとして出席しました。


サンパウロ・フォーラム 

中南米諸国の左派政党や進歩勢力が、世界情勢や各国に共通する課題を議論する場。
第1回は1990年にブラジルのサンパウロで開かれ、
その後、ほぼ毎年、中南米各国で会議を開いています。
日本共産党は93年の第4回会議から、オブザーバーとして招待されています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-31/2014083106_01_1.html
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こうしてみると、キューバの持つ求心力は凄まじいものなのだなと感じさせる。

実のところ、南米に左派政権が台頭しはじめた2000年代以前では、
キューバは浮いている状態だったのだが、
今では逆に反グローバリズムの戦法として役目を果たしているわけだ。


2009年のリーマンショック以降も、新自由主義は死ぬどころか、
そんなものなどなかったのごとく、今も鎌首をもたげている。

手や足がもげても戦い続けた荒武者の話を想起させる。
恐慌が起きようと、末端の従業員や社員を切り捨て、投資を続ける。

これがキャピタリズム(資本主義)なのだなということを、
最近のアベノミクスや米欧のやり口をみると強く思う。


このとばっちりを受けているのが途上国であり、
ウクライナ南東部のドンバスの炭鉱に勤める男たちである。

彼らは自分たちの炭鉱を封鎖し、職を失う代わりに、
遠方の石炭が国内に輸入されるわけである。たまったものではない。


結局、ウクライナ(炭鉱)といい、南米(油田)と言い、
そこにあるのは資源の問題であり、中央と地方のどちらに利益があるかということだ。