時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

対話の意思がないアメリカ

2015-11-01 23:36:28 | 北朝鮮
北朝鮮がアメリカに対して対話、平和協定の締結を何度も呼びかけていることは
何度か触れたが、先日、朝鮮新報からこれに関連する記事が書かれたのでここに紹介する。


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朝米対話、再開と進展の道筋
先行課題としての平和協定締結

朝鮮は、有名無実化した停戦協定(1953)を平和協定に替えることを米国に提案し、
この問題に関して「建設的な対話」を行う用意があるとの立場を明らかにしている。

米国側に公式ルートを通じてメッセージを送り、外務省声明も発表した。

米の外交的怠慢

朝鮮の提案は、朝米対話の再開と進展の道筋を示すもの。対話を避け、
圧力をかけ続けるオバマ政権の「戦略的忍耐」政策は、米国内でも批判の対象となっている。

平和協定締結の必要性は、朝鮮半島に一触即発の
戦争危機が迫った「8月事態」によって改めて証明された。

北南高位級緊急接触で衝突回避の合意がなされたが、南の戦時作戦統帥権は米国にある。
米国は、いまだ朝鮮の交戦相手であり、「8月事態」のもう一方の当事者であった。

不安定な停戦体制のままでは、戦争勃発の危機がいつでも起こり得る。

朝鮮は核保有国となり、中、短距離ミサイルだけでなく長距離ロケットの精密化、
知能化も達成したとされる。第2次朝鮮戦争が起きれば、1950年代の戦争とは、
まったく違った様相を呈するであろうことは容易に予想できる。

しかし、米国のオバマ政権は「いま目の前の危機」を直視せず、
朝鮮半島の軍事的緊張を高める戦争演習に熱を上げた。2012年以降、朝米対話は中断したままだ。

ホワイトハウスと国務省は、米国の核威嚇を棚上げしたまま、
朝鮮の一方的な核放棄を「非核化」と呼び、「北朝鮮に非核化の意志がないため対話できない」
とのレトリックで、自らの外交的怠慢を正当化してきた。

しかし、それは問題の先送りに過ぎず、実際には米国に選択の余地はあまりない。
朝鮮側は、過去の朝米対話、6者会談が挫折した経験から、対決と緊張激化の悪循環に終止符を
打つには停戦協定を平和協定に代える問題をすべての問題に先行させるとの結論に達した
という。

米国が「非核化」テーマで対話を行おうとしても、
朝鮮側が最初から失敗が明らかな交渉に参加することはないだろう。

オバマ政権の対決政策は、二度にわたって朝鮮の核実験を引き起こした。

13年2月の核実験の直後には大統領名義の声明で、
朝鮮の核とミサイルが「米国の国家安全保障上の脅威」であると述べている。
「北朝鮮の問題」を米国から遠く離れたアジアの問題、日本や南朝鮮など
同盟国の懸案だと思っていた米国民にとって、憂慮すべき事態がオバマ政権下で進行したということだ。

結論的に言えば、米国が大胆に政策転換しなければ、米国の安全保障上の懸案は解消されない。
朝鮮側は「朝米間に信頼を醸成して、戦争の根源を除去できれば、
核軍備競争も究極的に終息できる
」(外務省声明)との見解を示している。

残り任期わずかなオバマ政権が、朝鮮の提案に沿って、対話再開を模索するかどうかは不透明だが、
朝米の外交戦では、朝鮮が攻勢を仕掛けて、米国が追い込まれていく構図が鮮明だ。

朝鮮労働党創建70周年に際して行われた盛大な閲兵式で演説した金正恩第1書記は、
「わが党は、今日、われらの革命武力が、米国が望むどのような形態の戦争にも対応でき、
祖国の青い空と人民の安寧を断固として守る万端の準備が出来ていることを堂々と宣言できる」
と述べた。

朝鮮の指導者が、人民の前で嘘をつく事は決してない。閲兵式を論評して欲しいという
メディアの求めに対してホワイトハウスは「ノーコメント」を繰り返したという。
守勢に立たされた側は、だんだんと口数が少なくなるものだ。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/10/sinbo-j_151102/
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北朝鮮は米韓合同軍の攻撃を懸念している。

朝鮮戦争では北朝鮮の数々の村々が空爆により破壊され、
多くの人間が「北朝鮮の手先」ということで虐殺されていった。

同戦争の研究家であるブルース・カミングス氏は
朝鮮戦争はベトナム戦争そのものだったと述べている。


(ベトナム戦争を知るには、オリバー・ストーン監督の『プラトーン』や
 フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』を見ると良い)

朝米間に信頼を醸成して、戦争の根源を除去できれば、核軍備競争も究極的に終息できる
という言葉は深く受け止めるべきだ。

池上彰氏や佐藤優氏をはじめ、多くの論者は北朝鮮の「核外交」を語るが、
継続して行われている停戦の呼びかけについては一切、語ろうとはしない。


そもそも「核外交」という言葉自体、造語であり、
「北朝鮮は核で脅して言うことを聞かせようとしているのだ」
というイメージを植えつけるものにすぎない。現実は真逆で軍事的威圧をかけているのはアメリカだ


北朝鮮は自国の核開発を中止する代わりに、
アメリカに自国を攻撃するための軍事演習を停止せよと語りかけている。

自国の軍事演習は継続するが北朝鮮の核は停止せよというアメリカの主張は身勝手に過ぎる。

この点を著名な知識人は強調すべきなのだが、
現実は北朝鮮バッシングを使命と心得ていそうな輩ばかりで、どうにもならない。

何ともやるせない話である。

ソウルに立つ慰安婦像について

2015-11-01 00:14:46 | 国際政治
止まらない慰安婦像建立ブーム。そのうちヨーロッパにも出来るんじゃないだろうか?

今回のソウル市に置かれたものは、いつものに加えて中国人慰安婦像がある
中国人慰安婦に関しては問答無用の拉致連行であり、史料も存在するので、
ネオナチ共も文句は言えないのではないだろうか?それでも言うだろうけどね。


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韓国の首都ソウルの公園に、第二次世界大戦時に
日本軍の性奴隷になったアジアの数万人の女性たちを記憶する少女像が設置された。

ニューヨークタイムズ紙が伝えた。

少女像は、日本の安倍首相の韓国訪問を前に設置された。
安倍首相は1940年代の日本の犯罪を正当化しようとしているとして、
中国と韓国で非難されている。なお少女像に関する作業を行った専門家たちは、
像の設置と安倍首相の訪問時期が重なったのは偶然にすぎないと主張している。

少女像は2つある。一つは韓国の少女で、真剣かつ「非難するような表情」をしている。
その隣にある2つ目の像は、中国の少女で、椅子に座り、膝の上でこぶしを握り締めている。

韓国の朴大統領は10月、日本が「慰安婦」とよぶアジアの女性たちの
性奴隷の事実を認めるよう求めた。朴大統領は、犯罪を認めることが、
慰安婦被害者の中で今も生存している数十人の女性たちの
「断末魔の苦しみを軽減する」助けになると考えている。

伝えられたところによると、今回設置された少女像は、韓国と中国の彫刻家、
そして活動家らによる初の共同作業となった。活動家たちは、
この像と同じものを上海とサンフランシスコにも設置し、作業のために、
性奴隷問題に直面した他のアジア諸国の彫刻家たちも招く予定



ニューヨークタイムズによると、活動家たちの目的は、この運動を地域全体に広げることだという。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20151029/1094176.html#ixzz3q9w4Uvyg
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とっとと法的責任を認めて国家賠償すれば良いだけの話なのに、
いつまでもゴネるもんだから、こういう抵抗運動をされてしまう。


青文字で書いたが、日本軍慰安婦の問題とは韓国だけの問題ではなく、
中国・台湾・フィリピン・マレーシア・インドネシア・オーストラリア・オランダ
に関連する問題だ。更に言えば日本人慰安婦の存在も無視することはできない。

これだけ多くの国と関係のある問題であるからこそ、
ホロコーストと同レベルの戦争犯罪として高い評価を受けている(嫌味です)


日本はまだ、国家賠償は行っていないし、
慰安婦を記憶にとどめる資料館を建造してもいない。
むしろ史実そのものを否認する政治家がウジャウジャいるわけである。

これでは、かえって日本の国際イメージは下がる一方だ。


・追記

どうでもいいのだが、スプートニクの記事では、
なぜか極右の人間のツィッターが紹介されていた。


本人たちは反日に抗っているつもりなのだろうけれど、
実際には、格好のネタにされている。とはいえ、あまり笑えない問題で、
よく観るとニューライトの運動家の発言が利用されている。


コリアンVSジャパニーズという二項対立で語りたがる人間は日韓問わず存在するが、
現実は民族など無視して両国の極右が仲良くつるんでいる有様なわけだ。

この辺を理解しないと、先日紹介した民族主義者のように
「俺は朝鮮人だ。だから日本人を差別してもよいのだ」と語り暴れる
レイシストを「彼の怒りは本物です(キリッ)」と庇い立てする醜態を晒す羽目になる。


私たちが戦わなければいけないのは、人間ではなくシステムであり、
「誰が悪いか」ではなく「何が悪いか」である。罪を憎んで人を憎まずである。

それは向こうにも言えることであり、幸い、慰安婦問題の中心団体(挺対協)は
私が述べたような態度で臨んでいるのだが、中には悪質な民族主義団体も存在する。


こういう他人の不幸を自分が暴れる口実に利用するような
救いようのない団体に対してまで我々がすまなく思う必要はない。

謝罪の言葉は本当に必要な慰安婦や遺族の方のために取っておくべきだろう。