時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

中国への蔑視が日本経済にダメージを与える

2015-04-07 00:33:19 | 中国(反共批判)
あまり騒がれていないが、中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の参加を拒否したことで
日本経済は大きなハンデを背負うことになった。これは、あの安倍本人が認めていることである。



--------------------------------------------------------
日本の政治経済は、いま大きな岐路にさしかかっている。

隣国で打ち出されたアジアインフラ投資銀行AIIB問題は、一つの象徴として分析に値する。
資本金1000億ドル=約12兆円、総裁予定者は金立群元中国財政次官である。

3月初めに主要7カ国(G7)で初めて英国が参加を表明したことによって
参加メンバーは雪崩を打って膨らんだ。

~中略~

この結果、日米(そしてカナダ)だけが取り残された。米国外交の大失敗であることは明らかである。

とはいえ、米国は「腐っても鯛」程度の力をもつから、
世界銀行などを通じて、中国との関係を再調整する可能性は残されている。

また2009年以来毎年休まず開かれている米中戦略対話のチャネルは、今年6月に7回目を迎える。
時間をかけて着実な対話を続けてきた。なにしろ中国は米国債の世界最大の買い手なのだ。
人民元の支持なしには米ドルは紙屑になるほど堅い絆で結ばれている。



哀れなのは、日本だ。昨年秋の安倍・習近平対話の横向き笑顔なしの冷たい関係は大方の記憶に新しい。



「地球儀を俯瞰する外交」によって
「中国封じ込め」を図ると豪語してきた安倍対中外交は完敗に終わった。




表向きの理由としては、AIIBの
①運営に 不透明さが残る、②融資の審査が甘ければ焦げ付く、
③中国のアジアでの影響力拡大を助長する、④独裁政権や環境に悪影響を与える、
⑤米国との関係悪化の懸念あり、等々を「参加見送り」の口実としてきたが、
これらの口実がほとんど子供騙しの煙幕にすぎないことは、当初から明らかであった。



日本がこれらの煙幕で中国無視を続けているうちに、
米国を除く主要7カ国がすべて参加表明を行い、
アジアに位置する日本だけが一人取り残され、完全に孤立した。
この誤算は、何を意味するか。




歳川隆雄「ニュースの深層」(2015年4月4日)によると、
AIIBは「中国外交の完全勝利、間違った安倍首相は、官邸で財務省、外務省幹部を怒鳴った」という。


騒ぎの口火を切ったのは、「維新の党」の江田憲司代表である。
4月2日の記者会見で、中国主導によって発足するアジアインフラ投資銀行(AIIB)
参加国・地域が50カ国・地域を超えたことについて、

「中国外交の勝利、日本外交の完全敗北だ」と述べた上で
「今からでも遅くないので(日本政府は)参加して欲しい」と要求した。


あてが外れたのは、安倍首相も同じであったようだ。

3月31日午後、首相官邸で財務省の山崎達雄財務官(1979年旧大蔵省入省)、
淺川雅嗣国際局長(80年同)、外務省の長嶺安政外務審議官(経済担当・77年外務省)と会った際、


聞いていた話と違うじゃないか。
 君たちは、いったい何処から情報を取っていたんだ
」と怒鳴りつけた由である。


~中略~

そもそもは安倍官邸が「中国封じ込め」などと
はしゃぎまくるので、これに迎合しつつ、財務官僚は
アジア開銀の既得権益擁護の私利私欲からAIIBを軽視、無視し続けた。


外務省は日米外交しか脳裏になく、
徹底的な対米追随こそが国益と錯覚するトラウマにとらわれてきた。

ここから浮かび上がるのは、
安倍官邸の外交オンチぶりだけではなく、これに迎合するのみで、
何ら建設的な役割を果たし得ない霞が関官僚の劣化ぶりだ。

政治の劣化を支える官僚の劣化、
両者の相乗作用が今回の大失敗の原因ではないか。


(全文はこちら。http://chikyuza.net/archives/52164)
---------------------------------------------------------


シナの言うことなんか聞かないもんね、ヘヘーン!
と騒いでいたらいつの間にか、自分だけ大損していた。

笑えない事態である。



メディアが沈黙するのも無理はなかろう。
なお、共産党はAIIB設立は米国主導の金融システムが時代遅れになったことが背景にあると述べている。


-------------------------------------------------------

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の動きは、
大きくとらえると、世界銀行・国際通貨基金(IMF)体制が
アジア経済、世界経済の変化―世界の構造変化に対応できなくなっているもとでの動きです。



急成長するアジアでは、経済成長を支えるインフラ整備も巨額になっています。
その時に、米国主導の世界銀行・IMF体制、
そのもとでのアジア開発銀行(ADB)が急成長するアジア諸国の金融上の諸課題、
とりわけインフラ整備に必要な長期資金の要求に応えられなくなっています。


また、融資にあたって「構造改革」の名でアメリカ型経済システムを押し付けるなど、
米国主導の国際金融システムへの不満が非常に大きくなっています。



そうしたもとでAIIBの動きは、
従来の一部の大国中心の経済秩序ではない、
新しい国際経済秩序を求める動きといっていいと思います。



この動きにきわめて消極的な日本政府の対応は、
世界とアジアの大きな動きをとらえられない視野の狭さ、
もっぱらアメリカの顔色だけをうかがうという自主性のなさが露呈した、あまりにも拙劣なものです。

(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-02/2015040202_01_1.html)
--------------------------------------------------------------------

次のスクープトニクの記事は一読の価値があるだろう。



--------------------------------------------------------------------
中国の海南島で開かれた「ボアオ・アジア・フォーラム」は、
経済界で「アジア版ダボス会議」と呼ばれて久しい。


「ボアオ・アジア・フォーラム」の今年のテーマは、「アジアの新未来」だった。
「アジアの新未来」のために、「ボアオ・アジア・フォーラム」には
19カ国の首脳と閣僚80人、そして世界の大手企業200社のトップが出席した。


「ボアオ・アジア・フォーラム」では、
シルクロード経済ベルト構想の陸路および海路の「ロードマップ」の発表が大きな関心を集めた。

この大規模プロジェクトを実現するためには、
鉄道や自動車道、新たな工業団地や発電所の建設、情報技術の構築などが必要となる。


シルクロード経済ベルトの財政基盤となるのは、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)だ。


中国が主導するこの新たな国際金融機関は、
アジア版国際通貨基金(IMF)ならびに世界銀行として2014年に設立された。


米国の反対にもかかわらず、アジア太平洋地域の中国のパートナー国だけでなく、
欧州の大多数の国々もAIIBへの加盟を表明した。
最近ロシアと韓国もALLBへの加盟を決定したことが報じられた。



米国はAIIBの設立を中国側からの新たな挑戦であると考えている。
米国のあらゆる努力にもかかわらず、米国の近しい同盟国である韓国までもが、
米国の意見を無視した。これは韓米関係にどのように反映されるのだろうか?


韓国のアサン政策研究所のアン・ソンギュ責任者は、次のように語っている。



米国は韓国のAIIBへの参加決定にネガティブな反応を示しているが、
特段の問題は一切生じないと思われる。米国は中国が地域で台頭することを懸念している。


なぜならAIIBは、中国のイニシアチブで設立され、
すでに形成された国際金融秩序に『挑戦状』をつきつけているからだ。



米国のネガティブな態度が理由となり、韓国がAIIBへの参加決定の発表を控えていたのは明らかだ。
中国のイニシアチブによって設立されたAIBBは、
経済面において韓国にポジティブな影響を与えるのは明らかだ。

現在すでに29カ国がAIIBへ加盟し、35カ国が加盟の意向を表している。
このような状況で、韓国の決定を米国が批判するのは難しいだろう。」


続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20150330/121214.html#ixzz3WXqnqVi8

---------------------------------------------------------------


今後、仮に日本がAIIBに加入を申し出るとするならば、中国に頭を下げなければならない。
(参加申し込み期日が先月末日だった)


どうして、こんなザマになってしまったのか。

思うに、日本メディアの中国総バッシングが背景にあるように思えてならない。
ためしに、「中国 経済 崩壊(あるいは危機)」と打ち込んでAmazonで検索してみると良い。


中国経済はヤバいんだ、中国経済は崩壊するんだ、中国はもうお終いなんだという
本ばっかりが右翼どもによって大量生産されていることに気づかされるだろう。


あの池上彰も中国経済はバブルでヤバい説を1年以上前から宣伝していた(YouTubeで視聴可能)。

こういう中国蔑視に基づいた中国経済崩壊論は2000年頃から、ずっと言われてきた。


これら否定論が非常に疑わしいものであることは、
ここ15年ばかりの中国経済の歩みを見れば一目瞭然だが、経済学からの論駁も可能だ。

中国の不動産市場に日本式「バブル崩壊」は起こるか

不動産価格が低下、バブル崩壊の可能性は低い=専門家


要するに、客観的に見れば、最近の中国経済は異常な成長率から脱却しつつあり、
短期で見れば減速しているが、長期で見ればより安全な状態へと移行しているのだが、
これに気づかず「ほーら、バブルが弾けるぞー!」と騒ぎまくっているわけである。


こういう右翼を中心に展開されてきた言論が渦を巻く今、
安倍を含めた保守系政治家、官僚が正しい判断が出来なかったのは当然の結果だろう。


・追記

ちなみに、ネトウヨはこの事態を好意的に受け止めている(えぇ~!?)


「現時点で51カ国が名乗りを上げたとしても、
 ルール作りの段階で『そんな条件は飲めない!』と脱退する国が続出するのは目に見えている。
 日本の領土である尖閣諸島への侵略行為や沖縄への内政干渉をやめない中国を
 日本人が信用するわけない。よって日本を待たずに出発してください。ちなみにADBの加盟国は67カ国。」


「目の前にあざとく停車して、いつまで経ってもどっか行ってくれない支那バス 
 日本車庫発北京経由地獄行き」

「評論家の中にAIIBの参加国が50ヶ国を超えたことで
 パックスアメリカーナの終わりとまで言う者がいるが、
 歴史も現実も見えない愚か者か、中国の手先だ。

 米国ルー財務長官は北京でAIIBはIMF、世銀と同じレベルの高い基準で運営されるべきで、
 既存の国際機関と協力すべしと注文をつけたのだ。」

「地獄行きのバスに乗り遅れたのがそんなに悔しいのか」

「シナは日本が慌てて参加すると見込んでたんだろうな。
 日本から巨額の拠出金をむしり取り、自国の不良債権処理にでも使うつもりだったんだろう。
 当てが外れて残念だったね。」

(http://matome.naver.jp/odai/2142784466135585101?&page=1)



現実では、中国は日本のことなど歯牙にもかけていない(アメリカを見ている)のだが……
イソップ寓話の「キツネとブドウ」という話を思い出す。