時事解説「ディストピア」

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北朝鮮が日朝協議を拒んだ本当の理由

2015-04-04 00:46:19 | 北朝鮮
恐らく、北朝鮮に関するニュースほど読み手の専門知識が要されるものはないと思える。



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北朝鮮「日朝政府間協議できない」と通知


朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会トップの議長の自宅などを、
警察が捜索したことなどを受けて、北朝鮮は、
「こうした状況では政府間協議もできなくなっている」とする通知文を
日本政府に送ったと発表し、日本への反発を強めています。


北朝鮮は、2日、国営の朝鮮中央通信を通じて、
日本側にみずからの立場を通知したと発表しました。


それによりますと、北朝鮮から大量のマツタケを不正に輸入したとして、
東京の食品卸売会社の経営者が逮捕された事件に関連して、先月、警察が、
朝鮮総連のトップ、ホ・ジョンマン(許宗萬)議長などの自宅を捜索したことなどについて、
「前代未聞の主権侵害だ」と主張し、日本政府に謝罪を求めました。

さらに去年5月に拉致被害者らの再調査などを約束した日朝の合意について、
「日本側が両国の間で解決するとした合意を破り、
国連の場で拉致問題を国際化させている」として日本側の対応を非難しました。


そのうえで「こうした状況では政府間協議もできなくなっている」として、
外交ルートを通じて2日、日本政府に通知文を送ったということです。


朝鮮総連の議長の自宅が捜索されたことなどを巡って北朝鮮が、
日朝の政府間協議の中断をちらつかせるのは今回が初めてで、日本政府への反発を強めています。



岸田外務大臣は、2日夜、東京都内で記者団に対し、
「大使館ルートを通じて北朝鮮から連絡があった。
 日本側は、去年5月の日朝合意を誠実に履行しており
 今回の北朝鮮の発表は受け入れることはできない。
 日朝合意に基づいて、北朝鮮に対し、迅速に、
 正直に調査を行っていくよう求めていく日本の立場は変わらない」と述べました。


拉致被害者の家族会の代表で、田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは
「どんな状況になっても、拉致被害者を救出し帰国させることは
 われわれにとって譲れない一線です。
 政府は、こうした北朝鮮の揺さぶりに振り回されず
 状況をきちんと分析し、被害者の帰国を実現させてほしい」と話しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150402/k10010036821000.html
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上のNHKのニュースを見て、
はじめは私も「なぜ、このタイミングで北朝鮮が強硬姿勢を!?」と驚いたが、
調べてみると、「むしろ当然の反応だ」と思うようになった。



簡単に説明すると、日本政府は3月31日に、
対北朝鮮制裁措置の延長を閣議決定していたのだ。



この北朝鮮への経済制裁の解除は日本側が負う義務の一つだ。
日本政府の国連における拉致問題に関するロビー活動や検察の強制家宅捜査には
我慢強く耐えていた北朝鮮だが、仏の顔も三度まで、いい加減にしろと怒ったわけである。
(ロビー活動、家宅捜査、双方とも今回から比較的前に行われたことである)


日本が先に経済制裁の解除という約束を破棄したという事実を知らずに、
ニュースだけを読むと、あたかも北朝鮮が突然暴れだしたかのように見える。


しかし、実際には逆で、日本が先にお手つきをしていたのである。
これを伝えないNHKは本当にヤバい。




制裁続行を知らない人間がこのニュースだけを読む(或いは観る)ならば、
当然、北朝鮮に対する憎悪や不信感、相対的に自民党へ対するプラスイメージが生まれるだろう。


こういう露骨なプロパガンダが公共放送で平然と行われている。
ウクライナ問題もそうだが、この国の情報産業は、時には学者が先導しながら
一面的(すぎて結果的に誤報となっている)情報を絶対の真実として拡散している。



学者や政治家、記者たちが抗議の2日前に制裁続行が決定されたことを知らないわけがない。
にも関わらず、北朝鮮を絶対的悪として描き、自国の政府の裏切りには沈黙している。

これをプロパガンダと言わず、何をプロパガンダと言えば良いのか?



・4月5日追記

北朝鮮の人権問題(強制収容所に政治犯を送り拷問をしている)についても、
かなり誤解されていることなので、個別の記事を作っておいた。

北朝鮮の人権問題の真相(強制収容所のいま)

一言で言えば、我々がイメージしている北朝鮮の姿は90年代後半、
同国が最も政治的にも経済的にも孤立し、甚大な被害を生んだ時期のものである。

あれから15年は経過しているのだが、未だに古い情報をそのまま使う人間が多い。
(しかも、最新情報と大嘘をついている。これは代金を支払っている消費者に対する裏切りだ)


最新の情報は、海外メディア、それもロシアやイランなどの反米国家で
取得できることが多いのだが、やはり英語が読めないと少し厳しい。

結果的に殆どの日本人は情報が公開されているのに情報を読めないようになっている。

これが独裁国家の本当の姿なのだと私は思う。
(イギリスのプロパガンダ作家、オーウェルの述べるような世界ではなく)