ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

交雑って遺伝的多様性だけの問題じゃないんだよね

2008-09-11 22:22:41 | 外来生物
 モツゴという魚がいます。主に関西を中心に生息しているコイ科魚類の一種です。この近縁種で関東や東北に生息するシナイモツゴという魚がおり2007年度レッドリストの絶滅危惧IA類になっています。このシナイモツゴの減少原因の一つにモツゴとの交雑があります。
現象のメカニズムとしては
1.シナイモツゴ個体群にモツゴが混ざる(混ざる原因としてはコイの放流など)
2.モツゴとシナイモツゴ間で交雑が生じる。このとき交雑するのはモツゴのオスとシナイモツゴのメスでありモツゴのメスとシナイモツゴのオスは交雑しない。
3.交雑個体が生じる。この交雑個体には子供を作る能力がない場合が多い。
4.これが繰り返されるとシナイモツゴの数は減り、モツゴの数は増える。なぜならシナイモツゴはモツゴに繁殖相手を奪われているが、モツゴはそうでないからである。
5.シナイモツゴ絶滅、さらに交雑個体の死亡をもってシナイモツゴの遺伝子がすべて消滅。あとにはモツゴだけが残る。つまりモツゴは交雑を通してシナイモツゴを絶滅させている(種多様性の減少)。
このように交雑というのは単なる遺伝子の問題だけじゃないわけです。

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1 コメント

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Unknown (バーバー)
2010-01-27 17:33:04
ここにはモツゴが遺伝的に多様化する可能性を考慮していない。種は常に変動し分化していくものだ。
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