ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

これくらいは知っておきたい外来生物問題

2010-07-03 18:11:15 | 外来生物
 武田氏は外来生物の具体的な事例を知っていなかったために見るも無様なくらいに突っ込まれてしまったわけですが、外来生物のことをあまり知らない人が外来生物問題のことを語るときに押さえておきたい外来生物問題の事例をいくつか紹介します。あくまでここにあるのは最低限レベルのことにすぎませんので、過信は危険ですけどね。選んだ基準は国内にいる外来生物で、ある程度本などになって研究がまとまっている外来生物を分類群ごとに1~2種選んでいます。

魚類
ブラックバス(オオクチバス、コクチバス)
 おそらく日本で一番有名な外来生物問題でしょう。ブラックバスというのはオオクチバスとコクチバスという2種類の魚の総称です。水田や水路の構造変化とともに日本の淡水魚の減少の一端を担った外来生物です。ちなみにネット上にこれらの文献などをまとめたいいHPがあります。→ゼブラノート

ブルーギル
 今の天皇陛下が皇太子のときにアメリカから送られた外来生物です。なぜかブラックバスの餌となるとされてブラックバスと一緒に各地に密放流されました。実際には食べにくいブルーギルより在来のタナゴやヨシノボリのほうがバスには好まれ、ブルーギルはそれらの卵を食べるという嬉しくない効果を発揮してくれました。

両生類
ウシガエル
 食用として持ち込まれた外来生物のひとつですが、食用として広まらずに放棄されました。在来生物への食害が怖いですが、拡がりすぎた以上現在取れる対策は新たに侵入した場所で駆除することでこれ以上分布を広げないことです。

爬虫類
グリーンアノール
 日本のガラパゴスともいわれる小笠原諸島で固有の昆虫に猛威をふるっているアメリカ原産のトカゲです。現在ではゴキブリホイホイのような粘着式の罠で個体数は減ってきています。

鳥類
コウライキジ
 狩猟用に国外から持ち込まれ、国産のキジと交雑を起こしています。現在では純系のニホンキジはいないとも言われており、種分化の歴史に人間が横やりを入れている実例となっています。

哺乳類
ノヤギ
 小笠原諸島など世界の主に島で猛威をふるう外来生物です。持ち込まれる経緯は食料として持ち込んでそのまま放置というパターンが多いようです。根こそぎ植物を食べつくしてしまい、露出した表土が雨で流出して海の生物にも影響を与えるというまさに生態系を変える外来生物です。

マングース
 有名な動物学者がハブ対策に持ち込んだはいいが、予想とは異なりハブを食べずに固有種や作物を荒らしています。ちなみにウシガエルを持ち込んだのも同一人物です。外来生物問題の特徴である「何が起こるかわからない」というフランケンシュタイン効果の実例といえる外来生物です。

植物
ホテイアオイ
 淀川などで非常に増えている外来生物です。リン、窒素を吸収するので水質浄化に用いられる外来生物ですが、水面を覆い尽くすので水中の水草に日光が届かなくて壊滅という負の側面ももっています。

昆虫
セイヨウオオマルハナバチ
 トマトの受粉のために導入された外来生物です。しかし、管理の不注意で野外に逃げ出し在来のマルハナバチ類と競争し排除しています。また、在来のマルハナバチがセイヨウオオマルハナバチのオスと交雑すると不妊化つまり子供を産めなくなることがわかっています。

外来甲虫類
要はカブトムシやクワガタムシのことです。熱帯や亜熱帯の種であっても、寒冷な高地にすむ種が結構いるので日本にそれらの種が定着する可能性は大いにあります。原産地が熱帯地方だからと言って甘く見ないように。コウライキジのように在来種と交雑するだけでなく、ダニやウイルスを持ち込んで病気を媒介する危険性があります。種によっては農業被害もありえます。

参考文献
外来生物が日本を襲う! 池田透監修
外来生物クライシス 松井正文著

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