名古屋のため池で外来カメと日本産カメの交雑個体が発見されました。
朝日新聞 名古屋のため池に外来種との交雑カメ 在来種駆逐の恐れ
部分的に引用します。
>交雑したカメが確認されたのは、名古屋市昭和区の住宅街にある「隼人(はやと)池」。市や市民が昨年9月に調査した際、35匹の在来種のカメのほか、外形からは種を分類できないカメが9匹見つかった。
愛知学泉大の矢部隆教授(動物生態学)らが8匹のDNAを分析したところ、台湾や中国南部などに生息するハナガメと在来種との交雑カメと確認。2匹はニホンイシガメとの交雑カメで、6匹はクサガメとの交雑カメだった。元の3種類のカメは同じイシガメ科だが、属が異なる。ハナガメはペットとして国内に入り、放されたとみられる。
交雑カメは見た目も、親世代の特徴が交ざっている。ハナガメは頭部から前脚にかけて黄緑色のストライプ模様があるが、クサガメは線や点が混在している。一方、交雑カメは頭の上側がストライプで、下側にはクサガメに似た模様が入っている。
クサガメとイシガメは甲羅にキール(稜線)が3本入っているかどうかで見分けられます(キールが3本あったらクサガメ)が、外形からわからなかったということは甲羅のキールの数はまちまちで個体間の変異が大きいということでしょうか。
>矢部教授は、交雑が繰り返されて遺伝子の汚染が広がることを懸念する。「生物は進化によって地域に合うように遺伝子を構成している。交雑してしまうと、遺伝子が劣化して、地域の遺伝集団が衰退する可能性がある」と話す。
この部分をどうやって説明するかは悩ましいなぁと思います。僕も今、遺伝的多様性についてちょっとやっているわけだけど、上手い説明というものがなかなか出てきません。結局、こういう説明の仕方になることが多いんですが、可能性だけだといまいち実感が伴わないんじゃあないかと思ってます。本当に難しい。
>また、交雑が広がる過程で、交雑カメによって在来種が駆逐されるおそれもある。
ハナガメは、ニホンイシガメやクサガメより体が大きく、1回に産む卵も多い。交雑カメはハナガメの特徴を持つため、エサや生息地域が重なった場合、在来種より優位になるという。矢部教授は「交雑カメが増えて在来種が減れば、その地域固有の生態系が変わり、生態系の多様性が失われてしまう」と指摘する。
雑種強勢といって、交雑した個体が親個体たちよりも繁殖力や生命力が強いことがあります。こういった場合、記事にも書かれているように交雑個体が在来種を駆逐することがあります。エサや住処など必要とする条件が重なりやすいため競争が起こるわけですね。そして、競争に在来種が負けてしまうと、そこから駆逐されてしまいます。ここは「自然淘汰」について知っていればわかりやすいですね。
朝日新聞 名古屋のため池に外来種との交雑カメ 在来種駆逐の恐れ
部分的に引用します。
>交雑したカメが確認されたのは、名古屋市昭和区の住宅街にある「隼人(はやと)池」。市や市民が昨年9月に調査した際、35匹の在来種のカメのほか、外形からは種を分類できないカメが9匹見つかった。
愛知学泉大の矢部隆教授(動物生態学)らが8匹のDNAを分析したところ、台湾や中国南部などに生息するハナガメと在来種との交雑カメと確認。2匹はニホンイシガメとの交雑カメで、6匹はクサガメとの交雑カメだった。元の3種類のカメは同じイシガメ科だが、属が異なる。ハナガメはペットとして国内に入り、放されたとみられる。
交雑カメは見た目も、親世代の特徴が交ざっている。ハナガメは頭部から前脚にかけて黄緑色のストライプ模様があるが、クサガメは線や点が混在している。一方、交雑カメは頭の上側がストライプで、下側にはクサガメに似た模様が入っている。
クサガメとイシガメは甲羅にキール(稜線)が3本入っているかどうかで見分けられます(キールが3本あったらクサガメ)が、外形からわからなかったということは甲羅のキールの数はまちまちで個体間の変異が大きいということでしょうか。
>矢部教授は、交雑が繰り返されて遺伝子の汚染が広がることを懸念する。「生物は進化によって地域に合うように遺伝子を構成している。交雑してしまうと、遺伝子が劣化して、地域の遺伝集団が衰退する可能性がある」と話す。
この部分をどうやって説明するかは悩ましいなぁと思います。僕も今、遺伝的多様性についてちょっとやっているわけだけど、上手い説明というものがなかなか出てきません。結局、こういう説明の仕方になることが多いんですが、可能性だけだといまいち実感が伴わないんじゃあないかと思ってます。本当に難しい。
>また、交雑が広がる過程で、交雑カメによって在来種が駆逐されるおそれもある。
ハナガメは、ニホンイシガメやクサガメより体が大きく、1回に産む卵も多い。交雑カメはハナガメの特徴を持つため、エサや生息地域が重なった場合、在来種より優位になるという。矢部教授は「交雑カメが増えて在来種が減れば、その地域固有の生態系が変わり、生態系の多様性が失われてしまう」と指摘する。
雑種強勢といって、交雑した個体が親個体たちよりも繁殖力や生命力が強いことがあります。こういった場合、記事にも書かれているように交雑個体が在来種を駆逐することがあります。エサや住処など必要とする条件が重なりやすいため競争が起こるわけですね。そして、競争に在来種が負けてしまうと、そこから駆逐されてしまいます。ここは「自然淘汰」について知っていればわかりやすいですね。
論理が破綻しすぎていて、コメントのしようがありません(笑)
さて、
>交雑してしまうと、遺伝子が劣化して、地域の遺伝集団が衰退する可能性がある
この文章は、たぶん記者さんがわかりやすさを意識しすぎて、内容がずれちゃったのだと思います(よくあることです)。
一般的に、遺伝的劣化は「多様性の減少、ホモ接合度の増加、有害遺伝子頻度の増加」を意味するので、今回の場合に使うのは不適で、本来使うべきは「遺伝子汚染」でしょう。
今回の交雑によって「何か悪いこと」が起きるかどうかは、わかりません。起きないかもしれません。
しかし、遺伝子汚染によって、在来種の遺伝的な純系が保たれません。
違う言い方をすると、本来存在しないはずの生物ができあがってしまいます。
人類の影響によって新しい生物(しかも、家畜ではなく野生で)を作り出すことの是非は、梨さんにコメントする必要もないですよね。
論理が破綻しすぎていて、コメントのしようがありません(笑)
いやぁ~自分でもあそこまでカオスになるとは。
>この文章は、たぶん記者さんがわかりやすさを意識しすぎて、内容がずれちゃったのだと思います(よくあることです)。
そっちの可能性がありますね。少しうかつだったかも。
>一般的に、遺伝的劣化は「多様性の減少、ホモ接合度の増加、有害遺伝子頻度の増加」を意味するので、今回の場合に使うのは不適で、本来使うべきは「遺伝子汚染」でしょう。
ほとんど異論はないんですが、「遺伝子汚染」と呼ぶのか「遺伝子攪乱」と呼ぶのかはいまだに統一されていないですね。僕自身は「日本の外来生物―決定版 多紀 保彦 監修」にしたがって「遺伝子攪乱」を使っていますけど。