貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

想像の世界を様々に!!

2021-12-20 15:35:34 | 日記
令和3年12月20日(月)
閑さや 
  岩にしみ入 
      蟬の声
 山奥の静かさのさなか、
心地よく澄んだ耳に蟬の鳴き声がする。
 堅い大きな岩に吸い込まれて、
また静かになる。
 蟬の鳴き声が、何と静かさを深めることよ、
という心象風景がまず考えられる。
 蟬の声を、
斎藤茂吉はアブラゼミとしたが、
小宮豊隆はニイニイゼミとした。
 これは、後者の勝ちになったという。
 ニイニイゼミの鳴き声だ。
 じいっと長く尾を引く鳴き声だが、
途切れた時に息継ぎのような静寂がある。
 それを芭蕉は逃さず感得したのだ。
 しかし、芭蕉は散文では、
寺は「物の音聞こえず」と書いている
のだから、蟬は鳴かなかったとも言える。
 すると、
「岩に巌を重ねて山とし」の岩が
生命を持つ蟬を飲み込んだ後の静けさを、
つまり岩が生きているかのような
アニミズムの世界を描いているとも言える。
 とにかく、面白い。
 様々な想像を読む人に恵んでくれる
秀句だ。


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