奈良市の南西、大和郡山市にある慈光院は、臨済宗の古刹で、
石州流茶道の祖、片桐石州が創建し、茶の湯の寺とも呼ばれ
る、簡素で静謐なお寺です。お庭とその向こうに広がる大和
平野の眺めは、いくら見ても飽きることがありません。
正面の門を入り、小雨に濡れる静かな小道を行くと
檜皮葺の茨木門があります。これは片桐石州の出生地摂津茨木の
お城が取り壊されたとき、門だけを譲り受けて、移築したものだ
そうで、志賀直哉も愛したという趣のある門です。
今は桜が美しい季節ですが、これが五月ともなると、ツツジの大刈込
が見事な花を見せてくれるようです。松も梅も桜も、土塀の先の先ま
で整然と美しく、さりげない形の蹲(つくばい)なども、禅寺らしい
凛としたたたずまいです。
額縁窓から見る外の景色も、なんとも言えない風情があります。
入山料に含まれるお薄をいただいて、お蕎麦もいただきました。
材料は全て寺内で採れたものだそうです。優しい良いお味でした。
雨の日の昼下がり、心安らぐひとときを過ごしました。
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