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ミューのガーデン日記

八ヶ岳南麓清里高原のペンション「ゲストハウスミュー」のブログです♪
庭の薔薇たちや猫のこと、清里暮らしの日々を・・・・

言葉の力

2010年10月29日 | 日記・エッセイ・コラム

「黒井健絵本ハウス」は黒井健さんの絵本の原画が展示してある素敵なミュージアム。ほんとに近くにあるのに、なかなか行けなくて年一回何とか行っている。今年もお客さまに勧められてやっと先日行ってきた。「だれかがぼくを」の原画が展示してあった。この絵は5年も描くことができなかったと黒井さんが書いていた。重い題材の絵本だったが、海の色の変化からお花畑に変わり見事に表現されていた。                                          表紙のカバーの裏に作者・内田麟太郎さんが、わたしは六才で生みの母を亡くしている。まもなく新しい母が来てくれたが、愛されることが薄く、その面当てにヤクザになろうと考えていたときがある。その継母も晩年には「愛さなくて、ごめんね」と謝ってくれたが。今、ヤクザになることはなく、絵本の世界にいる。どうしてだろうか。それは顔もおぼろげに憶えていない母が、「りんちゃん、かわいい」「りんちゃん、かわいい」と、くり返してくれていたからだと思う。母はそうくり返しながら、わたしを抱きしめてくれたにちがいない。わたしはむろん微笑んだだろう。   本を書くということは、人を信じ言葉の橋を架けることである。荒んでいたわたしのこころに宿っていた人への信頼。わたしは引き返すことが出来た。母がくり返してくれていた、言葉の力で。と書いている。