亡くなった父には、ひとつだけ苦手な食べ物がありました。
たまたまそれが食卓にのった時には
いつもは穏やかな父の機嫌が悪くなりました。
小学一年生の時の国語の宿題は
「上から読んでも下から読んでも同じ言葉を探していらっしゃい。」
メイおばさん、最初に書いたのがそれでした。
真夏の太陽の下、遊び疲れて帰ってきた時のおやつは
おばあちゃんが井戸水で冷やしていてくれたそれでした。
塩もマヨネーズもつけずに、そのままガブリと食べました。
そうです、「トマト」です。
メイおじさんと出会って初めて家を訪ねた時に
料理をしない、より正確にはできないメイおじさんが
一生懸命作ってくれたのが、忘れもしません
トマトをぶつ切りにしてご飯にのせただけの「トマトライス」なるものでした(笑)。
野菜の季節感などほとんどなくなってしまった今では
年がら年中スーパーの野菜売り場に並ぶようになって
便利にはなりましたが、ワクワク感はなくなりました。
真冬の今日だって、メイおばさん、こんなのを食べました。
用事があって出向いた区役所の食堂の「トマトカレー」です。
今年の1月には食通の友人グループが
「真冬にトマトを食べる会」を計画しました。
あいにくアメリカにいて参加できませんでしたが
後からこんな写真が届きました。
その頃メイおばさんは、年末の大怪我で手術をして
左腕にカチカチのギプスをはめていました。
退院後、すぐに飛んで来てキッチンに立ってくれた
中国からの大学院生が、冷凍保存ができるようにと作ってくれたのは
大量の餃子と、同じく大量のワンタンでした。
ついでに、厚揚げと白菜とトマトをちゃちゃっと炒めてくれました。
腕が治って料理ができるようになったメイおばさんは
日本の友から教えてもらったこれをよく作ります。
驚くほど簡単なのに、とても美味しいのです。
カボチャのピューレ(缶詰のパンプキンスープでOKです。)を
お皿に敷いた上に
フライパンで焼いた白身のお魚をのせて
刻んだトマトをトッピングするだけなのですが
黄色と白と赤の取り合わせもきれいなら
甘さと酸っぱさとお魚の相性もなかなかなのです。
トマトサラダは、輪切りにして玉ねぎのみじん切りをトッピングしてみたり
缶詰のみかんを合わせてみたりもします。
ギリシャの山羊のチーズ、フェタとの組み合わせは最高です。
シンプルなトマトパスタもよく作ります。
他のお野菜と炒めて、付け合せにしたりもします。
缶詰のパイナップルと合わせることもあります。
いつでも手に入るようになって
季節感はなくなりましたけれど
その分、一年中いつでもこんな料理を楽しめるようになりました。
そうそう、これは今年の春のイギリスの田舎の朝ごはん。
驚いたことにはお皿に丸ごとトマトがのってきました。
翌日は焼きトマトでした。
ああ、でもやっぱり
子供のころにおばあちゃんが井戸で冷やしていてくれていた
「かぶりつきトマト」が一番かな~(笑)。
読んでくださってありがとうございました。
ランキングの方もどうぞよろしくお願い致します。
↓
↓